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12.初仕事から学んだモデル精神論

1.初お仕事

それはそれは、貴重な経験で。
決まった時は飛び上がるほどに嬉しく、
終わった後はすごく疲れ、
自分へのご褒美でハンバーガーとコーラを飲んだ日だった。
努力の結果が形となり、自信になる。

自分に自信がつく。
それは自分を好きになる事と似ている。

2.モデル業界ってざっくり何

かなり閉鎖的な業界、モデル。
実態を素人が理解するのは、かなり難しい。

それは、モデルの業界での立場や、
タレントモデルや読者モデルをモデルと呼ぶ日本特有の風潮、
モデル自身があまり努力や業界のことを話したがらない(かっこいいところだけを見せたい)傾向にある人が多い、
フリーランスモデルやインフルエンサーの台頭、などなど。
考えれば沢山あるほどに、不透明な業界である。

そんな業界をサラッと説明する。
通常、モデル事務所からオーディションの連絡をもらい、モデルはオーディションに行く。
このオーディションを”casting”と呼ぶ。
そのキャスティングに受かった時のみ、事務所から連絡があり、それを”confirm”という。
これが一般的、だと思う。

そして、仕事の日程の連絡が来て、お仕事をする。
コンファームしたのに、直前になってキャンセルや延期になることもある、とんでもない業界である。
まぁ、ざっくりとそんな流れ。

3.私の戦歴(ミラノ編)

1ヶ月と2週間の滞在。
その中で受けたキャスティングは、8本。
もちろん、その内訳は様々で、ショーもあれば雑誌もある。

約50日弱の中で、8本。
これは普通の人間であれば、少ないと感じるはず。
そう、これしかない。
あとの日にちは、くるかもしれないキャスティングに向け、毎日準備をし続ける日々を送る。

ちなみに私はこの貴重な8本のうち、1本をすっぽかしている。
理由は、日にちを勘違いしており、キャスティングに行かず、美術館に行っておりました。
ほとほと自分が嫌になるほどの失態であります、、、。

そしてその勝率、勝ち獲った本数は、というと

私は今のところ、2本、勝ち獲った。

つまり、コンファームの連絡をいただいたのが、2本あるわけだ。
これを少ないと思うか、多いと思うか。
たぶん、ド新人のモデルにしては、多い方だと思う。

大体、野球の好打率と似ていると考えてもらえれば、分かりやすいかな〜と思う。

8打数2安打。打率は2割5分といったところ。
ね、ルーキーにしては多いでしょ。

さらに細かく書くと、
1打席目→❌(三振)
2打席目→❌(三振)
3打席目→❌(すっぽかし)
4打席目→❌(内野ゴロ)
5打席目→❌(外野フライ)
6打席目→⭕️(内野安打!)
7打席目→⭕️(右中間2塁打!!)
8打席目→❌(犠牲フライ)

そう、後半に2打席連続安打であり、
たまたま、2本連続で獲れただけなわけ。

じゃあなぜ、今まで全くダメだったのに、
急に好成績を叩き出したのか。

4.行動のおさらい

《ターニングポイント①》
パリ・ミラノのモデル事務所には、大惨敗を喫しており、私の自信は粉々になった。

その中で、やっと見つけてもらって、所属できた事務所が、今のモデル事務所である。

その後、早速キャスティングに行かせてもらい、
たくさんのモデルたちを目の前に、少し緊張して硬くなったり、モデルに成ろうとしていた日々が続く。
これが4打席目までの私。
モデルに成ろうとしていた。
私がモデルに歩み寄り、真似ていた。


《ターニングポイント②》
そして、5打席目。
上手くいかない毎日の中、空前のチャンスが到来する。
「リクエスト」
キャスティング会社やクライアントが、
私を指名して、呼ばれるキャスティングという、願ってもみない好機であった。
「やらなきゃ!絶対取るぞ!!」

会場に向かった時、驚いたのは、
今までキャスティング会場で会ってきたモデルたちとは、一線を画す、モデルたちの数々。
今まで感じていたモデルらしさ、それは集団でのモデルらしさであり、
この時会ったモデルたちは、モデルというより、個として粒だっているように感じた。
「あぁ、モデルになろうとするんじゃなくて、
 おれになろう。おれを磨こう。
 覚醒するための革命を起こすぞ!」
結果はダメだったけど、
それでも得たものは大きかった。

《ターニングポイント③》
その後のキャスティングで、初めてコンファームを貰った。
つまり、仕事をゲットしたのだ!!
その連絡が来た時、正直驚いた。
そのお仕事は、かなり大きなブランドだったし、手応えも、まぁまぁかな、と言うところだったからだ。
だからマネージャーから連絡が来た時は飛び上がってガッツポーズしたなぁ〜。
居ても立っても居られなくて、無駄に散歩したっけ。
まぁ、仕事の日にちが延期になり、まだお仕事はしてないんですけどね、、、。

ただ、この出来事は大きかった。
初めての成功体験は、自信を育てるのには最良の肥料であり、スクスクと育ちつつある。
まぁ延期なんですけどね、、、。(根に持つな)

《ターニングポイント④》
次のキャスティングで、なんと連続コンファーム!!
正直受ける前、ガチで、ほんっとに、落ちる気がしなかった。
ターニングポイント③のおかげで、
「おれはおれだし、あいつはあいつでしょ?
 べーつに、タイプ違うし〜。」

さらに、いつもは
「キャスティングなんて、30秒で終わるから、
 終わったら何時で、何しようかな〜。」から
「今日フッティング(本番の衣装を着ること)
 したら、大体何時位か〜、明日仕事だし、
 まっすぐ帰ろうかな」
という病気とも言える妄想癖を自然に発動していた。

そしてその結果。
信じられないほどの成功体験をした。
他のモデルをすべて差し置き、立っただけで、
指を刺され、着替え、歩き、関係者の「うぁーお。」が聞こえた時、
逆に、今までなんッとも緊張していなかったし
「おれをみろ!!」
くらいの精神で挑んだのに、急に緊張してきた。
心臓はドキドキして、どんな表情していいか分からなくなっちゃった。
私というのは、なんとも可愛らしい生き物ですな〜。

《ターニングポイント⑤》
ちゃんと予定通り本番は開催され、
リハーサルを行った時に気がついた。
学生デザイナーのファッションショーのお仕事で、デザイナー1人に対して、モデルは4人。
つまりモデルは120人はいたわけだ。
これね、とんでも無い人数なんです。
普通のファッションショーの2倍くらいかな。

その中で、ファーストルックを勝ち獲った。

またしても私の自信はニョキっと育った。

《ターニングポイント⑥》
そしてこの直後のキャスティング。
3本連続で獲れたらガチすげえじゃーん!
やったろ〜、まじ落ちる気しねぇ!
と思ったが、
もはや関係者と目すら合わず。
2時間以上並び、1分も経たずに帰らされた。

あ、そうそう、キャスティングってこんな感じよね、あっぶな、天狗になるところだったわ。

このターニングポイントと思われる行動たちを振り返り、私は何が変わったから、仕事を手に入れることができたか。

絶対的に言えること。
“メンタルがまるっきり違う”

5.精神が及ぼす影響

嘘みたいなホントの話。
メンタルが違うから、キャスティングが受かる??
そしたらみんな苦労しねえって〜。
間違いない。

ただこういう人は、メンタルが及ぼす影響を実感していないんだと思う。
メンタルが変わると言っても様々である。
臨み方、失敗した後の受け取り方、他のモデルの捉え方、などなど。
それが意識せずとも、行動は変化していて、
他人が見た時に、
「あ、なんか違うな、こいつ」
と思わせられる要因の一つになると思う。

もちろん、運もあった。
受けてきたキャスティング、順番が違えば、私の精神は今と違う形をとっていたかもしれない。
だから、今、私がこの精神でいれること。
これはかなりありがたいと思う。

そして、仕事をした後のキャスティング。
2時間以上待って、1分もかからずに終わった、アレ。
手応えはもちろん無いから、期待もしてなかったのだが、後にマネージャーから連絡があった。
その場にいたカメラマンが、テストシュート(簡単に言えば撮影)をしてくれるらしい。

これで3連続で、ただのオーディションから
何か次に繋がる形で終わるオーディションへ
変わってきている。

こんなに違うものか?!
たかだか気の持ちよう一つで。

容姿を売りにする仕事、モデル。
何か変わらなきゃ!そう思って、
たくさん考えて、たくさんのモノを観て、
たくさんの人と話したつもりでいる。

その結果、知らず知らずのうちに、精神の持ちようが変わり、
そして成果が変わった。

外見は中身から。
全くもってその通り。

整形を否定するつもりはないが、
その人の不細工な部分も、美しい部分も、
全部ひっくるめて自分を認めて、受け入れた時
その人だけの美しさがある。
それを観た人たちは、言葉にするには難しいかもしれないし、できないかもしれない。
でも魅力的だという印象を与えられる。

モデルという仕事の素敵なところは、
自分の容姿の嫌いなところ、
それをチャームポイントや武器に出来うるというところ。

自分の嫌なところ、全部ひっくるめて自分。
そこも全部愛して、育てた先に、
その人だけの美しさがあると思う。

みんな違って、みんないい。
違っても良いんだぜ。

安心して、君はすでに美しい。
君はその美しさに気がつく必要がある。

これがクッサイ私流精神論。

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