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13.一歩踏み出す勇気

1.歩真

私ね、「歩真」っていうんです。
「あゆま」って読みます。
有りそうでなかなか無い名前ランキングが存在するならば、堂々ランクインできるんじゃ無いかな〜、と思います。
だってアユミさんもアユムさんも世の中には沢山いらっしゃいますから。

何をするにものんびりしていて、マイペースな私をみて、母が言いました。

「アユマって名前の響きがもうキリッとして
 ないもんなぁ、だからのんびり屋さんなん
 だわ。
 せめて、真を馬にすれば、もう少し行動が
 早くなったかもしれないのにな〜。」

「ぜってぇ関係ねぇって笑笑」そう返すと、

「いーーや、関係あるね」と、言う母。

聞いていないと思ってた父が
「歩く馬じゃあ、そりゃポニーだから
 速くねえぞ。」

私も母も大笑いして
「じゃあ、馬だとしてもトロいまんまだわ」

なーんて会話をしたことがあるくらい、
私、行動が遅いのです。
めんどくさがりというか、後回しにしやすいといか、、、。
タバコだって、わざわざ外に出るのがめんどくさいとか、そんな理由で吸わない時だってあるくらいです。
ニコチンの依存よりも、私のめんどくさがりは強いというわけです。

そんな私。
ただいま海外におります。
サラリーマンを辞めて、フリーターになり、
上京し、モデルを目指す。
撮影やら、週10シフトのバイトをこなし、
上京してから7か月後、海外へ。

あれれ、私はめんどくさがりでは無かったんでしたっけ??

2.面倒<興味

その通り。
私はめんどくさがりのまんまです。

ただ、面倒に唯一勝てるものが存在します。
それが、”興味”です。
または、好きという感情です。

これはみんなそうなんじゃないかな、と思います。
面倒くさいが勝つような興味じゃあ、
本当の意味で好きではないのだと思います。

つまり、私のタバコは好きなのではなく、依存によるものなのです。
ただ唯一面倒だと感じない時間があり、それが朝です。
私は朝のニコチン摂取によるクラクラ(俗にヤニクラ)が好きで、毎日生きていることを、その時間に実感するわけです。

好きだという感情は、人の行動を促進させる効果があり、その行動までの道のりや時間は、自然と面倒だと思わないものです。

私は、サラリーマン好きでしたか?
モデルが好きですか?

サラリーマンは、あまり好きでは無かったです。
ほんっと面倒だし、週末の休みのために生きているみたいなものでした。
でも仕事の中で楽しいと思える瞬間は幾つかあったので、全く大嫌いというわけではありませんでしたね。
もちろん、上昇志向もあったので、
やるからにはトコトン、登り詰めてやる!とも思ってた時もあるくらいです。

モデルに関して、正直に言ってしまえば、好きじゃないです。
好きじゃないんですけど、面白いんです。
私、クリエイティブなことをするのが好きなタイプで、何かを作る、そんな作業が結構好きなんですよね。
だから面白いんです。
そして、感覚としては、
結構難しいRPGゲームをしている、みたいな感じ。
私というキャラは変えられず、ただ育てることはできる。
それで負けたり勝ったり、運が回ってきたり、作戦を練ったり。
体験型のゲームをしているような感じなんです。
だから、モデルのお仕事は面白い。
別に撮られることが好きなわけではないんですよね、歩くことが好きなわけじゃないんです。
自分の実力を試したり、そのクリエイティブな現場に参加できる、そんなところが楽しいと思うんですよね。
そう、好きっていうか、興味がある。
そんなイメージです。

だから、
面倒だと思っても、筋トレはするし、
面倒だと思っても、食事は気をつけるし、
でも、面倒だと思うことが圧倒的に少ないのが、モデルというお仕事。

そこそこ好きなんです、モデル。
まぁまだその一片にしか触れてないですが。

3.たかが一歩、されど一歩

よく言われます。
行動力がすごいね、と。
私はいつも言われた時に、そうかな〜と思います。
大して凄くないと思ってますから。
性根はめんどくさがりですからね。
でも、サラリーマンを辞めて、紆余曲折あり、海外にいるわけです。

脱サラなんて、離婚みたいなもんです。
はじめの一つはたくさん考えて腹を括り、決断します。大抵の人は。
そのあとの2歩目、3歩目、なんてのは1歩目に比べればなんてこともなくて、ホイホイいけちゃうもんなんです。

肝心なのは、1歩目。
0から1を作ること。
これはかなり覚悟が要りますね。


私は腹を切ってから1歩目を踏み出したつもりでいます。
だから、それまでの私は死んだのです。
今の私は、その死んだ私の骸を丁重に、大切に戴いたのです。
墓も建てず、食べてしまいました。

そうして今を過ごしていると、
生前の私が大切にしていた人やモノ。
一緒に噛み締めて、大切にしようと思えました。

私は全く別の人間に生まれ変わったわけではありません。
生まれ変わろうともしてません。
前の私も好きでしたからね。
ディフェンスフォルムからアタックフォルムへ、変身。そんな感じでしょうね。

たかが1歩なのに、です。

4.何歩目かにみた景色

海外にいて、たくさん歩きました、それは物理的に。
積極的に歩きました。
以前、海外に来て、モデル事務所が決まり、
お仕事のオーディションに行けるようになってから、虚無症候群に陥ったことがあります。

自分でも驚くほどに、何にもやる気が出ないのです。
夢は叶えたときより、目指していた時の方が楽しいな、そう思いました。

そんなnoteを記した時、よく撮影で一緒になるヘアスタイリストさんからInstagramで DMが届いたんです。

「おれも30歳過ぎてロンドンに行った時、
 同じような事を日記書いたなぁ。
 大丈夫、その繰り返しで人間の深みが
 増すから。きっと感度が高い分、無感になる
 こともあるんだと思う。
 沢山海外の空気を吸って、世界の広さを知
 ってくること、これが大事だと思う。
 頑張ってね」

そんな感じの内容でありました。

私はスキンヘッドですから、その人にヘアをどうこうしてもらったことは一度もないのに、
応援してくれて、メッセージをくれます。
身に、心に、いたく染みました。

世界は、本当に広いです。
初めて、日本ではない夏を経験して、文化を知り、街をみて、こんなに違うものか、と思います。

イタリアの夏は陽の出てる時間が非常に長く、
朝は5時過ぎから、夜は22時くらいまで明るいものです。
だから、1ヶ月以上過ごしているのに、気が付きませんでした。
ふと、バルコニーでタバコを吸い、上を見たら、星が見えたんです。
少し前は、大きな満月を見ました。
当たり前だと思うでしょう。
当たり前なのですが、よく考えてみてください。

きっと日本で、今、見ている星や月と、
私が今イタリアで見ている星や月は、違うんですよ。
同じ空なのに、見えているものは違うんです。

そう考えたら、なんだかロマンチックじゃありませんか?
これをルームメイトに話してみたら、
何言ってんだ、このハゲは。
みたいな顔してましたね。
彼はきっと、地球を平面だと思っているのかもしれません。

私は夕方という時間が好きで、
あの夜が近づいてきた時の少し爽やかな風や
影がどんどんと街を飲み込んでいく様子を
見ていることが好きです。
部屋の中で、呼吸しているカーテンや、向かいの建物に染める影、最後の力を振り絞るかのように赤く燃える太陽の光を見ているのが、幸せだと感じます。
部屋の中で、この幸せを感じ、ニヤニヤとしていたら、ルームメイトに、キモっと言われてしましたが。

その時間を公園で過ごしたことがありました。
公園の中の丘のようなところで見晴らしがよく、風で草木が穏やかに揺れていました。
鳥や子供の鳴き声を混ぜた、風の音を聴くと、
自然と心が和らぎ、今までを少し振り返ってみました。

そうしたら、私はとても幸せ者だということに気がつきました。

たくさんの人が私を支えてくれて、
その中で、やりたい事に挑戦できる。
結果を喜んでくれる人たちがいる。
帰ったら会おうと言ってくれる。
言葉もわからないイタリアで、下手な英語なのに、食事に誘ってくれる人がいる。
夕方のナヴィリーでビールを飲んでいたら、
とんでもない量の蚊がよってきて、
おれがキルリーダーだ!なーんて言いながら
殺していたら、隣のマダムが、虫除けを貸してくれる。
メニューを分からなそうにみていたら、優しく説明してくれるピザ屋さんのお兄さんもいる。

大きかったり、小さかったり、
でもたくさんの優しさを感じました。

ありがとうよりも、
thank you よりも、
grazieよりも、伝える方法を探りましたが、
なかなか見つからず、会った時にハグしようと決めました。
今の私には、それが精一杯の表現みたいです。

5.軌跡

幸せだと気がつけた私。
腹を切って、孵化して、飛び立ってみました。

行動して本当に良かった、と思ってます。

そりゃぁ、大変なことも一つや二つじゃありませんでしたよ。
この行動によって、切れてしまったり、離れてしまった大切なものもあります。

それでも、人生において、こんなに素晴らしい経験が出来た、と思えることは、これから先、何度あるでしょうか。
きっとその一つはこれだと思います。
そう思えるくらいに、満ち足りてます。

言われた通りに、たくさん空気を吸って、世界の広さを知ってみたら、自分の悩みなんて、
ほんのちっぽけで取るに足らないものだと思いました。
そして、人との繋がりは、本当にちっぽけじゃなくて、大切だと思えて、私は、私の中で繋げているものを補強するべきです。

でも行動が全てではないです。
行動することが正義ではないです。
正解でもありません。
しないこと、それも選択で行動です。
逃げることも、悪いことじゃありません。
立ち向かうことも、毎回良いとは限りません。

死ぬ時、
「あぁ楽しかった〜、
 アレとアレはやり残したけど、
 来世でやればいいや〜、またね〜」
くらい満足できる人生であれば良いなと思います。

よくこのマガジンで登場する大介さん。
こんなこと言ってました。

Q.人生やり直すとしたら何しますか?
 モデルしますか?
A.たぶんやり直しても同じ事すると思うな。
 ただ、やり直したなら、もっと巧くやる。
 後悔はしてねぇ。

だそうです、かっこいいですね。
こういう歳の取り方、良いなぁと思います。
「後悔はしてねぇ」私もはっきりと言いたいものです。

私、後悔してますか?
今までの行動で。

してません。
全くと言ったら嘘になりますが、
でも、してません。

今を得るために、手から離れてしまったもの、
あの選択は二者択一でした。
片方を得れば、片方は失う。
どっちもを得ることはできませんでした。
だから、手を離して、今を得ています。
あの時、離した方を掴んでいたら、私は
やらなかった後悔”をずっと背負うことになるでしょう。
それは、嫌です。
だから、離した方は来世でやることにします。
きっと運命なら、来世でも出逢えますから。

だから、今のところ、後悔はしていません

6.歩真

私、「あゆま」と言います。
“真っ直ぐ歩く”と書いて、歩真です。
きっと、ありそうで無い名前ランキングがあるならば、上位にランクインしそうなものです。

両親は、
「真実に向かって、真っ直ぐ歩いてほしい」
そんな願いを込めて、名前を付けてくれました。

真実に真っ直ぐ、難しいものです。

たくさん寄り道はしたと思っていたけれども、
振り返ってみると余計な事はなくて、
それは、真っ直ぐかな、と思います。

だから、両親のおかげで、私は真っ直ぐ歩けています。

母のいう通り、
名前の意味は大切みたいですね。

歩馬だったら、どうだったのか気になるものです。
来世では、ぜひ歩馬と名付けて欲しいものです。

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