『密室を開ける手/藤本 ひとみ』

主人公が高校生と言う設定がどうにも無理があるようにも思える。
父の行動に対する謎解きに終止して話を進めるためなのだろうが、母親との関係を絡めたことは余計であるように感じた。子どもの頃のタズとのエピソードも、あまりにも衝撃的なものなのに、あっさりと思い出話にされてしまうのもどうか。
亡くなった祖父との思い出を辿る、と言うのでもなく、父との邂逅を主軸にするでもなく、その密室の先にあったものの正体も、結局誰も幸せに出来なかった。
謎解きの結果、医師を志すきっかけになった、といういみのわけでもなく、物語自体もあっけなく終わってしまい、主人公に対する感情移入が難しかったせいもあり、あまり楽しめなかった。
ひとつひとつのエピソード自体は面白いだけに残念だった。

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