ぶいちゃdaysを短歌で染めろ!〜歌人かさねの短歌旅#2
お待たせしました。いや、かさね本人が一番待ち焦がれていました。皆様こんばんは、素人歌人系ぶいちゃ民こと、かさねです。
今回はかさね短歌旅の第二回!胸中で個人的かつ自主的なムーブメントを引き起こしたあの企画です。
とはいっても。前回のあの素晴らしく文化的なnoteをまだ読んでいない、という極めて幸運で将来性に満ちた皆様の為に軽く説明を挟んでおきましょう。
VRChatに数多く存在するチルワールド。かなり作り込まれているというのに、我々は日々そこでくつろぎ喋るだけで製作者の意図や細かい造り込みに気づこうともしません。
そんな状態を打破すべく生まれたのがこの遊び。チルワールドで写真を撮り、それを元にして日本古来のやんごとなく雅な文化たる短歌を詠もうというお話です。
日本語が扱えれば誰にだって短歌は詠める!御託はこの辺にして早速始めていきましょう。
ご飯派でも短歌は詠める!!!
今回訪れるワールドも引き続きフレンドのワールド、『喫茶薫風』。
薫風、という名の通り初夏の爽やかさを感じさせる綺麗な海沿いのカフェワールドです。室内にはケーキを選んだり食べたりするスペースがあるだけでなく、奥まで進めば自分でパンを作ることも出来ます。
そんなワールドで景気付けに一句。
湖に 薫る煙と 揺れる浮 日がな一日 夏の無駄遣い
何とも言えない感じですが、夏の無駄遣いという表現は割と好きですね。段々と日が長くなっていく中、贅沢に時間を費やす。釣りという行為は魚を釣るというだけに過ぎず、忙しない現代人が失ってしまったゆとりを思い出す行為なのかもしれません。
まぁかさねは辛抱とは程遠い人間なので釣りなど絶対にやりませんが。
単に綺麗な景色、というだけではなくこういった生活感のあるワールドで句を詠むのも趣深いなと思い始めてきました。日常的に和歌を詠む平安人にでもなった気持ちで次にいきましょう。
コンロの火 日差しの暑さと 違えども 背中で浴びる 初夏の息遣い
海に行く、川で遊ぶ、山を登る。夏を楽しむ方法は様々ですが、夏を楽しんでもらう為に働く人々もいます。そんな労働者の直向きな姿勢を唄ったこの句も割と気に入りました。
息遣い、という部分に比喩的な意味と背後にいるであろうお客さん達の息という直接的な意味が含まれ非常に趣深いですね。
やはり二句ぐらい詠むと調子が上がってくる。イケイケどんどーん!
気まぐれの 彼は誰時に 家を出て 一人食べるは 取りすぎの飯
彼は誰時、という言葉に聞き馴染みはあるでしょうか。夕方を表す黄昏時とは対照的に日が登る前の早朝を指す語で、目の前にいる人が誰かもよく分からない霞んだ朝という意味を有しています。
朝のカフェほど気持ちのいいものはない。他の客はおらず、ただコーヒを煎る音と食器の音だけが響く。そのあまりに心地よさからつい食事量がバグり、二人分としか思えない量の朝飯を前に頭を抱えてしまいそう。
日本、主に味噌くさいどっかの地方でよく見受けられそうないい情景ですね。
さてこのワールドはこの辺で次に行きましょう。
終末世界に残す言の葉
今度はかさねがVRChatで最も好きなワールド、『終末の可惜夜』。
壊れた高層ビルの上に残った小洒落たバー。瓦礫を横目にカクテルを作ったり、荒廃した世界を眺めながら眠りにつくことが出来るポストアポカリプスな世界観がエモエモのエモなワールドです。
待つ人も 肩寄せる人も 現れず ただ眺めるは あの日の名残
ポストアポカリプスの何がいいって、人間の営みを感じれるところなんですよね。実際にそこで生きている人は誰もいない。けれど確かに誰かが生きた名残があって、切なくもあるその感覚を一人静かに受け止める。
平時であれば煩わしいことこの上ないエレベーターの待ち時間すら、懐かしく物悲しい。そんな追憶のこもった一句が出来上がりました。
ビバ!終末世界!
一人芝居 笑みを忘れぬ ためにこそ 酒を混ぜつつ 言葉を紡ぐ
ん〜ん!まずい!ポストアポカリプスすっこすこ民だから全部の句が似たり寄ったりの雰囲気になってしまいますね!
かさねがこのワールドを好きな理由は、雰囲気点が半分、構造が半分って感じなのですが、よくよく考えれば別にかさねとの親和性は低いんですよね。酒飲まないからバーとか行ったことないし、洒落た言葉も思いつかない。
もしかしてこのワールドって短歌旅における最高難易度では?って気がしてきたところで最後の句。
終わりゆく 世界に一人 腰をかけ 欠けゆく月に 身をかさねつつ
雰囲気に呑まれるのであればそれを活かした句を詠めばよい!戦いの中で成長するジャンプ主人公的歌人たるかさねを象徴するような句が出来ましたね。
ワールド名にも入っている可惜夜、という言葉は「終わってしまうのが惜しいほど美しい夜」みたいな意味を有しています。
世界は終わり、一人きり。本来であれば今すぐ首を括って、夜はおろか人生に幕を下ろしても構わない状況の中訪れる月の夜。結局人間の生存本能を奮い立たせるのは、前向きな言葉でも愛しい人でもなく圧倒的な自然の力なのでしょう。
皆の衆、短歌を詠め
さぁ、今回の短歌旅はこれで終わり。極めて日常的な風景を描いた『喫茶薫風』と非日常を切り取る『終末の可惜夜』。対照的ではありましたが、どちらも中々に楽しめましたね。
詠みやすさ、という一点においては背後の文脈をこちらで想像できる前者のようなワールドが良いのかもしれませんが、後者のような雰囲気のあるワールドの良さを短歌によって引き出した時の喜びは計り知れませんね。まして自分の好きなワールドともなれば尚更です。
全国のおはツイぶいちゃ民!写真と共に長々としたポエムを綴るのも楽しいが、偶には三十一文字に感情を込めてみるのも楽しいぞ!
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