私にとって特別な場所 エジプト

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今は遠くなってしまった国、エジプト。

私とエジプトとの出会いは、添乗先だった。
私は海外旅行の添乗員をしていた。
添乗員になって何年目かの夏、エジプトの仕事が入った。
暑さと水が合わないので(もちろんミネラルウォーターを飲んでいた)、何となく、体調がおかしかった。
仕事から帰って、2度とエジプトには行きたくないと思っていたのに、またすぐに入ってしまった。
ところが!
2度目のエジプトで私は心奪われてしまったのだ。

朝一に訪れたカルナック神殿、朝もやの中のカルナック神殿は神秘的で、言葉には表せない気持ちになった。
お客様も私に「○○さん(私の名前)いい!」と気持ちを表わされた。
お客様と気持ちを共有できたことに私は感動した。
エジプトの良さをわかってくれたんだ、とうれしかった。それ以来私はエジプトの魅力に魅せられ、アサイン担当者にエジプトの仕事を入れるよう頼んだ。
仕事では何度訪れただろう。ツアーで行く8日や10日では飽き足らず、私は休みを取って、2か月エジプトに滞在した。

エジプトにはたくさんの日本人ガイドがいる。20代の若いガイドさんも多い。
皆、観光で訪れて、エジプトの魅力にはまり、それでガイドをしているのだ。

日本に戻って、また添乗の仕事を始めたころ、ショッキングな出来事が起こった。
ニュースにもなったが、日本人観光客がテロによって殺害されるという事件が起こった。
そこは私も何度も訪れたところ。
仕事でエジプトを訪れながら、そろそろエジプトやばいなと思っていた。
寝台列車に乗れば、テロがあったというし、その時組んだ女性ガイドさんは「畳の上で死にたい」と言っていた。エジプト人と結婚し、ヒジャブも被っていたが、顔が日本人なので、怖いと言うのだ。
事件を起こしたイスラム原理主義者は、神聖なエジプトに観光に来ることは許さないと言うのだ。
 
あるグループが考古学博物館に停めていたバスの中に、テロリストが入ってきたというのだ。
私のグループもその日、そこで観光があり、バスを停めていた。

いよいよ怖くなり、私はエジプトの仕事を断った。

それ以来、訪れていない。
行きたくてもいけない国。私は今でもエジプトを訪れることを躊躇してしまう。

夢だったのかと思うほど、エジプトが遠くなってしまった。
でも私は行きたくて仕方ない。
エジプトは私にとって特別な国だ。
エジプトという国に出逢ったこと、私にはとても大きかった。
私にとても大きな影響を与えた。

夕暮れ時のロマンチックなナイル川が忘れられない。
大好きな人とエジプトを訪れることが私の夢のひとつだ。



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