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狂犬病予防法施行規則(昭和25年成立時)/ これから読みます

今まで狂犬病予防法が昭和25年に出来たときのものを、素人なりに読んできた。
今ではネット上に多くの資料が公開されているので、当時の状況も想像できるようになり「狂犬病の撲滅は急務だったんだな」と感じたし「それまでできなかったのに撲滅できたのは何故? ~ なるほど野犬(外を自由に歩いている犬)が少なくなったこととワクチンが出来て普及したからなのか」と感覚的理解できるようになりました。

それを実現するために狂犬病予防法が公布・施行(昭和25年8月26日)されましたが、その附則で「犬の所有者は9月30日までに登録と予防注射を行わなければならないと厚生省令で定めるように」と書かれていました。
一ヶ月ちょっとで厚生省令を作って、犬の登録と予防注射を行わせるのは無理があるのでは?

素人ですから、まず「厚生省令って何?」となる。調べてみたら「狂犬病予防法施行規則」のことだった。

この狂犬病予防法施行規則は、9月22日に公布・施行される。その中で「9月末日までに登録と予防注射を済ませるように」と定められている。強引にも感じますが当時としては必要なことだったのでしょう。

昭和25年制定時の狂犬病予防法施行規則と今のものを比べてみると骨格部分は変わっていませんでした。
私は今の狂犬病予防法施行規則を読み始めて挫折したことがあります。しかしこれなら読み切れると思ったので読んでました。改めて、今の狂犬病予防法施行規則を読んだら、何処がメインで何処がオプションかが分かり、全体的に理解出来るようになりました。

読み始める前に、素人らしい素朴な疑問を幾つか挙げておきます。


「施行」は、「しこう」それとも「せこう」?

法律関係の情報を見聞きしていると、この単語によく目にしますが、どちらの読みが正しいのか悩むことがあります。議員さんの答弁などでも統一されていません。

調べてみました。
検索で上位に出て来て、私が分かり易いと感じたものを紹介しておきます。
「施行」の読みは[シコー][セコー]? | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所 @ NHK放送文化研究所
正しく(辞書の主見出し語)は「シコー」、しかし法律関係者の間では「セコー」と読む習慣があるらしい。理由は「執行(シッコー)」と区別するため。

勉強をする上では「しこう」、法律関係者と話をする時(たぶんないです)は「せこう」とすると良さそうです。

ちみに工事の施工は「せこう」ですよね。これと区別するために、法律の施行は「しこう」と読むのが一般的と書かれているものもありました。

「施行規則」と「施行令」

これも法律を読み続けていると両方出てきて「何が違うの?」と思いながらもそのままにしていましたので、ネットで検索してみました。
検索して上の方に出てきたものの中から、素人でも理解し易そうなものを紹介しておきます。
政令(施行令)と省令(施行規則)の違い とは?基本を解説! @ すすむ・はかどる、契約学習「契約ウォッチ」

よく目にする法律関係のものの力関係として
法律(国会) > 政令(施行令)(内閣) > 省令(施行規則)(各省大臣)

施行令は、憲法・法律を実施するために制定されるルール
施行規則は、各省大臣が担当する行政事務について、法律・命令を施行するため、又は法律・政令の委任に基づいて定めるルール
施行規則の方が現場寄りの細かいことになるようです。

無理なスケジュールなのでは?

先にも書きましたが、法律で8月26日に定めはしたものの9月22日に「9月末まで登録と予防注射を済ませるように」というのは無理なスケジュールなのでは?と感じました。

法律を読むだけでも素人ですが、その施行の実情について考えることは乏しい知識による妄想に近いものがありますが、それなりに考えてみました。

私の知識として、法律ができる以前も、首輪などに飼い主の住所氏名を書いておくことが求められた規則は(都道府県単位ですが)ありました。これらは登録もないし予防注射もないのでお金がかからないと思っていました。

ふと小川未明の「青い石とメダル」と思い出しました。たしか昭和一桁が初出のものであり、その冒頭に「畜犬票をもらって」という部分があったと思うので登録のようなものはあったようです。また戦前に書かれた文筆家の文章の中にも「犬を籍に入れる」などの文を読んだ記憶があります。

しかし多くの飼い主が登録のようなことをしなったことは「青い石とメダル」や戦前に書かれた犬に関する文章からも想像できます。

気になって検索してみたところ以下のページから当時(大正から昭和初期)の雰囲気が分かります。
わが国における犬の狂犬病の流行と防疫の歴史 6 @ 人と動物の共通感染症研究会
犬は「登録」ではなく「届出」、そうそう「買い取り」もありました、そして「街路上で繰り広げられる撲殺行為」それに対する「慰霊碑の建立」など。

そのような状況を変えるために狂犬病予防法、そして狂犬病予防法施行規則が制定されたのでしょう。その結果、日本における狂犬病の撲滅が実現しました。
狂犬病予防法による登録と狂犬病の撲滅についての考察は以下の論文の3~4ページ辺りを読めば納得できると思います。
狂犬病予防法が狂犬病撲滅に果たした役割 @ J-STAGE(J-STAGEの利用には登録が必要なものもありますが個人での利用は無料です)

素晴らしい結果となりましたが、あまりに無謀なスケジュールだと感じます。
当時の状況を考えると「野犬対策を進めるために、野犬でない犬(管理されている犬)を定義する必要があったのだろうな」と素人なりの納得をしました。

法律について、あまり考える機会のない人間としては「法律は全ての国民が厳格に守らねばならないものであり、刑事罰規定のある違反をしたら必ず罰せられる」と思うのですが、実情はそうでもみたいです。
例えば交通法規の違反。取り締まりをすれば、違反切符を切れる車やバイクが見つかります。つまり多くの人が日常的に(厳格にいえば)交通法規違反をしている。
他のことでも「法律あるのにいいのかな?」と思うことがあります。法律とはそういうものなのかもしれません。

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