見出し画像

M&A株式1-10 端株がある?単元未満株式とは?

端株は、M&A実行前に処理します。
端株と単元未満株式とは別のものです。
端株は譲渡できませんが、単元未満株式は譲渡できます。


端株とは

   端株とは、商法時代の制度であり、株式の1株に満たない端数(100 分の1の整数倍にあたるもの)で、端株原簿に記載されたものです。会社法において、端株制度は廃止されましたが、会社法施行前から存在する端株は、旧商法が適用されています(整備法86Ⅰ)。端株には、議決権はありません。
 以下で説明する単元未満株式のことを端株ということもありますが、端株と単元未満株式とは異なるものです。

端株を処理する方法

 端株は譲渡することができません。譲渡するには、以下のいずれかの方法により端株を解消する必要があります。

方法1   株式分割
1株を100株以上にする株式分割をします。これにより、端株はなくなります。

1株を100株に分割する場合
    0.01株→1株になる

方法2 株式買取請求
 端株主は、会社に対し自己の端株の買取りを請求することができます(旧商法220の6)。買取価格の合意ができない場合は、裁判所に価格の決定を申し立てることができます(旧商法204の4)。

方法3 株式買増請求
 端株主は以下の場合に限り、端株が1株になるように株式会社に対し、端株を売り渡すことを請求することができます(旧商法220の7)。

<株式買増請求の条件>
・定款に株式買増請求ができる旨の規定があること。
・株式会社が端株を所有していること。

方法4 定款変更による端株制度の廃止
 株主総会の特別決議で、定款に「端数を端株として端株原簿に記載または記録せざる旨」を定め、端株制度を廃止します(旧商法220の2Ⅲ)。端株の合計数に相当する株式を競売または売却し、その代金を端株主に交付します(旧商法220の2Ⅴ、同220Ⅰ~Ⅲ)。
また、種類株式発行会社では、端数等無償割当て(整備法88)を利用することもあります。

単元未満株式

 単元株制度とは、株式会社が定款で、一定数の株式をもって一単元とし、株主が株主総会で議決権を行使する単位とする制度です(会188)。たとえば、10株が1単元であれば、107株持っていれば、10個の議決権を有することになります。1単元の数は、定款のほか、登記事項証明書に記載されています。
 1単元に満たない株式のことを「単元未満株式」といいます。単元未満株式は、通常の株式と同様に譲渡することができます。株券発行会社の株式譲渡では、単元未満株式であっても株券を発行して譲渡します。単元未満株式の株券を発行しないことができる旨を定款で定めていても(会189Ⅲ)、定款を変更することなく株券を発行することはできます。ただし、単元未満株式には、議決権がなく、その他の株主の権利が制限されています(会189)ので、市場での取引は原則されません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?