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M&A 中小企業の契約書の調整

当事者の気持ち

 中小企業のM&A法務として、最終契約書と最後のクロージングに必要な書類に10年以上携わってきました。もちろん、最終契約にどのように落とし込むかという前処理段階での法務的な部分に対応してきました。
 最近、改めて、中小企業のM&A法務では、法的な論点ももちろん重要ながら、当事者の気持ちを契約書にうまく反映させることで、最終的な当事者の満足度はあがるように思っています。
 少しのニュアンスの違いを調整したり、後にもめそうな項目を洗い出して契約書に落とし込むことは、楽しい仕事です。現場のコンサルタントの方からM&A当事者の思いや温度感をしっかりと共有いただけたときは、このバランスがピタッとはまります。
 今日は、M&A後の旧オーナーの引継ぎの部分で考慮することになる車両の話をお伝えします。

車両

 旧オーナーが使用してきた対象法人が所有またはリースする車両を引き続き使用したいと言う要望をいただくことはよくあります。M&A前までは、旧オーナーは、仕事、通勤以外にも普段の生活にも当該車両を使用していることが一般的です。
 そこで、M&A後この車両を使用する場合、以下の項目について対象会社か旧オーナーのいずれの負担にするのか、全部対象会社の負担にしてよいのか等整理しておくことが考えられます。
 ・リース料、税金
   契約者、所有者である対象会社負担とすることが一般的です。
 ・車両の任意保険
   対象会社負担とすることが多いです。
 ・車両の車検・整備費
   対象会社負担とすることが多いです。
 ・ガソリン代
   業務・通勤でのガソリン代は、対象会社負担。
   私用でのガソリン代は、買手がよいなら対象会社負担とします。ただ 
   し、上限を設定することもあります。ガソリン代は、業務・通勤と私
   用とが明確に区別できないので、全額を対象会社負担としていただけ
   ることは、旧オーナーにとっては安心でうれしいことです。
 ・ETCカード代
   業務・通勤でのガソリン代は、対象会社負担。
   ガソリン代と異なり、明細が明確であるため、私用での使用分の負担 
   は、個人負担とすることも一般的です。
 

 一般的に、オーナーは、ベンツ、BMW、フェラーリなど高級車を利用されていますので、M&Aの譲受会社によっては、自社の役員とのバランスから子会社旧オーナーにそのような車両を使用してもらうことができないこともあります。その場合などには、当該車両は、M&Aと同時に旧オーナーに買い取っていただくことになります。なお、リサイクル預託金の金額は、以下で確認することができます。
<自動車リサイクルシステム>
 http://www.jars.gr.jp/gus/exju0010.html


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