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M&A株式1-9 新株予約権が発行されているときはどうする?
新株予約権が発行されている場合には、行使による影響を考え、事前の行使、放棄等の対応をします。
新株予約権(ストック・オプション)とは
新株予約権とは、あらかじめ定められた期間に株式会社に対して行使することにより、当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利です。つまり、株式の卵のようなものです。
M&Aによる株式譲渡により譲受企業が譲渡企業の発行済株式の全部を取得したとしても、新株予約権が行使されると新たな株式が発行されてしまい、100%の支配ではなくなりますので、M&A前になんらかの対応が必要です。
対応方法
対応方法は、新株予約権の内容を登記事項証明書と新株予約権発行時の株主総会議事録、取締役会議事録、引受契約書等で確認したうえで、新株予約権の目的や案件に応じて以下のとおり検討します。放棄、譲渡を行う場合には、取引当事者の課税関係にも注意が必要です。
方法1 新株予約権を行使する
新株予約権者が、新株予約権を行使し、すべて株式に変更します。新株予約権者の属性、行使期間の定めによっては行使できない場合があります。
方法2 新株予約権を放棄する
新株予約権者が、新株予約権を放棄します。放棄された新株予約権は行使できなくなりますので、新株予約権は消滅します(会287)。
新株予約権者が株式を譲渡する株主である場合は、理解が得られやすく、わかりやすい方法です。新株予約権者が従業員や第三者の場合は、無償で発行された新株予約権については、放棄について協力が得られやすいですが、有償で発行された新株予約権の場合には、放棄してもらうにはなんらかの対価が必要となることがあります。
書式株式1-9①「新株予約権放棄証書」
方法3 新株予約権を買い取る
譲受企業等が、新株予約権者から、新株予約権を買い取る方法があります。譲渡制限新株予約権を譲渡するには会社の承認が必要です(会236Ⅰ⑥)。譲渡制限新株予約権の内容は登記されませんので、新株予約権の発行時の書類から内容を確認します。
方法4 新株予約権を譲渡企業が取得する
新株予約権が、一定の事由が生じた場合に株式会社が取得する取得条項付新株予約権(会236Ⅰ⑦)であれば、譲渡企業が取得することも可能です。 取得条項付新株予約権は、登記事項ですので、登記事項証明書で取得の条件を確認します。株式会社が取得した自己新株予約権は、別途消却の手続をしない限り消滅しません。
取締役会の決議(取締役会設置会社でない会社においては取締役の決定)で自己新株予約権を消却した場合には、新株予約権の変更の登記を行います。
方法5 そのままにする
従業員に対するインセンティブ等としての新株予約権である場合には、新株予約権の行使により与えられる株式の内容を確認したうえで、そのままにすることもあります。
新株予約権の行使によって与えられる株式の内容が議決権制限株式(議決権がない株式)でない場合には、譲受企業の譲渡企業における議決権割合が減ることにもなりますので、新株予約権の内容をよく検討したうえで対応します。
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