十月
二〇二三年に書いた自分宛の手紙が八月の終わりに届いた。
初めての彼氏が出来た直後で、内定も決まって、ライブも立て続けに当たっていた頃の浮かれた私からの手紙だった。不安と言ったら、社会人になるうえでのあれこれ、くらい。
何だか微笑ましいですね。
一年後の自分に手紙が書けるっていう事実だけにただただ面白みを感じて、今年はひとりで書きに行ってきました。私の生活の一部でもあった彼が居なくなって、一緒に行っていた友人にも断られ、一年間で状況も考え方も変わった。たかが一年、されど一年。
社会人になってから、付き合っていた彼と予定が全く合わなくなって、でも少しでも会えたらなんて、少し可愛げのある気持ちを抱いて己の休みは全て謙譲していた。数カ月前の自分の生活を考えると完全にどうかしていたな、と思うけれど、その間、私の好きなことだったり、趣味だったりは放っておかれていて、私にとってもやさしい生活とは到底言い難かった。
手紙は早々に書き終わって、あとの時間はずっと本を読んでいた。
今までずっと盲目になっていて、忘れていたけれど私は本を読むことが好きだったことに気付いた。文章を書くことや、人とは少し違うことをすることも好きだった。
彼と別れて一カ月。
私の心の穴は到底埋まることは無さそうだけれど、少しずつ自分にやさしく居られていたあの時を思い出しつつある。
先日友人に言われた「前の”湯”の方が色々やってて楽しそうだったよ、」の言葉が忘れられない。暖かくて、少しだけ冷たかった。
自分に優しく居られるように、
やさしい生活を送れる環境に身を置ける有難みに気付けるように、
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