夢と現実 4話
とある喫茶店。ここは、私と彼が付き合ってた頃によく来たお店。あのあと、彼から待ち合わせ場所と日付と時間が送られてきた。
待ち合わせ時間の少し前に着いたものの、彼はまだ来てなかった。案内された席は奇しくも付き合ってた頃によく案内された席。懐かしいなぁと思いながら席に座ると店員さんがオーダーを取りに来る。私は待ち人が来るまではいらないと伝えてスマホを開く。
約束の時間になっても彼は現れない。連絡しようか迷ったがとりあえず待つことに。イタズラに時間だけが過ぎていく。30分経っても来る気配がない。1時間経っても来なかったら帰ろうと決めた。
約束の時間から1時間。彼が現れないので帰ろうと支度していると喫茶店のドアが開く。ようやく彼が現れた。私を見つけると小走りで近づいてくる。
ごめん。テレビの収録が長引いて。早めに終わる予定やったんやけど。なかなか終わらんくて。連絡すりゃ良かったんやけど、それより早く行きたいと思って。
彼は理由を話すと席に座る。私も荷物を置き座った。
芸人になると言って別れて10年。久々に見た彼の表情は昔と変わらぬ優しい表情。少し疲れてる感じもあった。店員さんがオーダーを聞きに来ると彼はコーヒー、私はカフェオレを頼んだ。
で、会えば分かるって言ってたけど何が分かるの?
俺がお前をどれだけ好きかってこと。
いやいや、何を言おうと私は色々知ってるの。弁解は無意味。それでも言える?
言えるよ。あれは過去の話やんか。何してるんやろ俺はと思ってたし
私がこの10年どういう思いでいたか知らないでしょ?誰とも付き合わないでいたことなんて知らないでしょ?なのに、、、あんたは好き放題しやがって。気軽に迎えに来たとか言わないでよ!!
この10年私には長かった。1人の人を待つというのは辛い日々だった。だけど、好きだから待てた訳で。
言いたいことを言えた私の心はかなりスッキリしていた。