コロナ禍の闇の組織

暗い夜道を一人の男が歩いていた。マスクとサングラスによって、表情を読み取ることができなかったが、少し笑っているように思えた。

「ようやくだ。ついに俺も組織の一員になれたんだ。」

男は、そうつぶやいた。

これだけ聞くと、いい年をした厨二病患者に思われるかもしれない。しかし、男は真剣であった。小さいころから、闇の組織に憧れていたのだ。そして、ついに夢を叶えることができたのだ。

「この世界で俺は、天下をとってやる。いずれ俺が社会を牛耳るんだ。」

男は、そう考えながら、最初のミッションの指令を受けるために、指定された公園のベンチに向かっていた。

「お、これだな」

男はベンチにつくと、裏側に貼り付けてある便箋を手にとった。開いてみるとこう書かれていた。

「この度は、当組織の採用選考をお受け頂き、まことにありがとうございました。当組織は、新型コロナウイルスの世界的流行の影響により、採用を見遅らせていただくこととなりました。まことに心苦しいのですが、なにとぞご了承いただけるようお願い致します。

なお、この手紙は三秒後に、自動的に消滅します。」




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