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パートナーの呼び方問題

未婚のカップルのお互いの呼称が彼氏・彼女であって、それは第3者目線の場合でも彼氏・彼女という言い方をするのでフェアな感じでよいのだけれど、これがこと既婚のカップルとなると途端にいろんな呼称が増えて、しかもそれらは様々な問題を孕んでいます。
主人、旦那、嫁、奥さん、家内のような古い価値観の言葉が意識的か無意識かは別として令和5年の今も普通に使われている事実があって、それをたとえば自分と近しい人との会話や文章などで聞いたり見たりするたび、心の中で「おお、そうか」となってしまう。
ほとんどの場合は言葉の厳密的な意味なんて気にせずに使っていると言われればそれまでで、そもそも外野がどうこう言うことではないのだろうし、まあ意識高いだの言葉の形骸化だの言われるのならお話にならないのだけれど、まあでもむしろ特にこだわりが無いのなら妻や夫と呼ぶのがいいのではなかろうか。

そう言いながらこの問題は実にややこしく、たとえば俺が既婚者の友人との会話の中で相手の配偶者のことを「妻」「夫」と呼ぶのはどうも不自然な感じになってしまう、という実際。「奥さん」「旦那さん」なら自然なのに「妻さん」「夫さん」というのは正しいはずなのにどこかぎこちなく、不恰好な感じがしてしまう。これは単に今まで一般的に使われてこなかったから、ということなのでしょうか。。
坂本裕二氏が脚本を務めたテレビドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』では、岡田将生さん演じる慎森という男が元妻(松たか子さん演じる大豆田)の現配偶者のことを「夫さん」と呼ぶのだけれど、この違和感こそ慎森の神経質でミステリアスなキャラクターを印象付けていた言葉選びだったことを思うと、やはりこれが一般的に使われることは想像に難く、かく言う俺もその引っ掛かりよりも場のスムーズさを優先してしまい結局は「奥さん」「旦那さん」という言葉を選んで使ってしまうことも多々あるのであって、なんだか。

ラジオに届くメールの文章も、年齢に関係なくやはりいまだに「主人」や「奥さん」「嫁」という表現を使っている人が多い印象で、これもまた微妙な話だけれど、番組内でメールを紹介するときにその部分を「夫」や「妻」と言い換えて紹介することがある。しかしその度「これ、メールくれた人はふだん使わない夫とか妻などという言葉で自分のメールが紹介されていることに違和感を覚えるのだろうな…」という気持ちも当然あって、煮え切らない。原文ママ読むべきだろうか、という葛藤が常にある。

でもたとえば「主人」という言葉を使っている方からの番組に届くメールも、内容を読めばパートナーへの愚痴だったり、文面から察するにこれは主従関係どころかむしろ尻に敷いてる(この表現もなんか古いね)よね、という印象を受けるものも多いので、ほんとうにただただ無意識にそういうものとしてそういった言葉を使っているのだろうけど。たかが言葉されど言葉。どうせならコンシャスに生きられるといいな、と思う。自戒の念も込めて。
ただ、こういうことを男性である俺が言うこと自体もはやフェアではないような気もしちゃって、ほんとうにほんとうに、ほんとうに難しい。


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