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Aquiraxのファンかというと、そうでもないけど

東京オペラシティアートギャラリーにて開催されている「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」に行ってきて、心がじんわり熱くなった。

私はめちゃくちゃ宇野亞喜良さんのファンかというと、そうでもない。だけど短い人生を振り返ると、自分が熱っぽくなっているモノの側にいつも宇野さんのイラストがあったことを思い出した。

高校時代に何百回も聴いたSHAKALABBITSのジャケット(LISMOで聴きまくった)、イラストを描いている友達の絵が宇野亞喜良さん風だったこと、真似するほど好きだった天井桟敷のポスター。

影響を受けている友達は複数人いて、皆んな線のタッチがよく似ていた。宇野さん以外のイラストレーターの話もしていたけど、作品に影響が出るくらいなので、特別なんだなと思いながら聞いていた。好きなことを熱っぽく話してくれる友達が好きだった。

天井桟敷のポスターをはじめ、当時の文字とイラストレーションを組み合わせたグラフィックデザインがとても好きだった。

これは私が初めて東京に行った時の話。兵庫県の田舎住まいの私は、東京の神保町にある小宮山書店に行けば、遊、ユリイカ、エピステーメー等が買えると聞き、「友達の家に泊まりに行ってくる」とお母さんに言い(ごめん)、なけなしのお金を握りしめて深夜バスで東京に来た。大学2年生の時の話だ。

初めての東京で訳が分からなかったけど、小宮山書店に着いた時の達成感は「どこでも行ける…!」という自信に変わった(これをきっかけに行動量がめっちゃ増えた)。

当時の私は、本の内容は二の次で装丁に興味があった。夢中になっていた60〜80年代くらいのアヴァンギャルドなデザインの実物をとにかく見たかった、欲しかった、集められるだけ集めたかった。

探しに行った全ての本に、宇野さんのイラストが使われていたわけではない。ただ、好きなデザイナーのインタビューを読むと宇野さんの名前が出てくる。夢中になっていたデザインの作品や歴史を辿ると宇野さんの名前が出てくる。このポスターめっちゃ好きだなと思ったら宇野さんのイラストだったりする。自分が熱っぽくなっているものには宇野さんのイラストがあったなと思った。

私の中で、創造的でエネルギーに満ちた経験の側には宇野さんのイラストがあった。今日展示を見て、なんだか色々思い出した。いま、SHAKALABBITSを聴いていて、ちょっと当時の気分でもある。

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