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優勝

2023年10月22日、私は人生で初めて、優勝という体験をした。あんなに誰かのことを祈って、酸欠でフラフラになるまで声を出して。優勝が決まった瞬間は、本当に心が動いた。心臓がバクバクした。

私は、大学で水上スキー部に入部した。もともと大学ではダンスをやるつもりだったから、水上スキーなんてやる気はなかった。が、水上スキーという競技を知って、面白そうだと思った。今やらなきゃ一生やる機会がないと思った。とりあえず入部して、ダンスも続けて、どっちにするか、または両方最後までやるか、そんなものは初めてから決めればいいやと思った。

入ってから、辞めたいと思う瞬間が何度もあった。今でもある。休日の練習は7:30から日が暮れるまで居るのに、自分が練習する時間はたったの15分。なのに驚く額の部費。夏休みは毎日合宿。しかも3:30起き。もちろん午前。大学生の夏休みとは。寝泊まりする合宿所は、引くほど汚い。何気なく放たれる男尊女卑の言葉。授業よりも優先しろ、という上からの圧。

本当に頭がおかしいと思う。

でも、一度くらい、何かに本気になったっていいんじゃないかと思う自分がいる。

小さい頃からやっていた習い事も、中高の部活も。全て、これくらいでいいやと思ってやっていた。妥協していたのとはちょっと違う。頑張っていたか、頑張っていなかったか、で言うと、頑張ってはいた。だけどそこに「本気」はなかった。

私がこれまで本気になれなかったのは、怖かったからなのかもしれない。本気になった分、犠牲になるものは増える。優柔不断で同時にいくつも手を出す私にとって、何かを諦めたり、辞めることは苦手なことだ。そして、本気になったのに、望んだ結果を得られなかったら、、。と本気になる前から考えてしまう。そして何より、自分に甘いから、「やりきる」ことができないでいた。いつも8割どころか、7割、6割くらいで辞めてしまう。

今まで、本気になろうともしなかった私が、本気になってもいいのかもしれない、と思うようになったのは立派な成長だと思う。

水温が低くなって、寒い寒い言いながらも練習をする自分は、もうちゃーんと、水上スキーにハマっている。あと3年間。どこまで本気になれるか。

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