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「呆然」について

「呆然」という場を立ち上げます。報酬も未定、人数も未定、場所も未定、公演をする時期も未定、何もかもが未定です。ただ私は、新しい上演について皆で思考する場を、新たに立ち上げたいです。3月末までに、私のTwitterのDMに、呆然としたことを300字以内で送ってください。応募条件はそれだけです。

DMは誰でも送れるようになっています。立場は問いませんが、募集人員を5人以内とします。リモートワークにも限界があると判断し、意思疎通可能な人数で取り組みたいからです。今のところ、舞台芸術に関する何かを創作したいですが、従来の座組の概念は根本的に疑問視し、破壊する試みと捉えて下さい。

近日中に「呆然」についてのnoteをまとめ、掲載します。これは非常に衝動的な提案です。そして、このような状況では、衝動的な行為を基本的に尊重していきたいと考えています。前例がない事態の中では、前例がないことを積極的に行わなければなりません。多くの人は過去に縛られますが、今は未来です。

「呆然」noteがまだ準備中の段階であるにも関わらず、様々な方面からご連絡を頂いております。ありがとうございます。ここまで、何をするのかよくわからないプロジェクトは経験したことがありませんが、多くの方が新しい何らかのアクションを起こさなければならないと考えていること、受け取りました。

https://twitter.com/ayatoyuuki/status/1240215998243827713?s=19

 このツイッターの最初の一文を衝動的に書き始めたのが、2020年3月18日18時過ぎ、渋谷駅でのことでした。あれから、本当に「呆然」とすることが続いています。何に「呆然」としたのか、させられたのか、多すぎるのでここではいちいち述べません。私が今なにをしているかといえば、来たるべき東京のロックダウンに備えて、最低限の荷物をまとめ始めたところです。実家には帰りませんし帰れませんが(現時点で感染者ゼロの故郷を守りたい気持ちが強いです)、長期間の孤立はそれはそれで危険なので、関東圏の知り合い同士で身を寄せ合い、可能なかぎり家から出ず、今後生きていくための対策をじっくりと練りあげていくつもりです。最初は仕事が飛び始めたことを憂えていましたけれど、率直に言って、それどころではないな、と思っています。仕事は生活を支えるものではありますが、最悪、なくてもある程度は生活できます。より大切なのは人からの支えです。たとえそれが、実際に会うことを意味しなくても。

「演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です」「ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは『演劇の死』を意味しかねません。劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはなりません」野田秀樹氏の意見書から引用しました。私は連帯を表明しましたし、その気持ちに変わりはないですが、考え方は変えなければならないと思います。観客を劇場の席に座っている人間に限定するのなら(演目次第では立っていることもありますが)、劇場閉鎖が『演劇の死』を意味するのなら、遅かれ早かれ死ぬだろう、というのが正直なところです。まず真っ先に都民からでしょうが、外出制限がかかり、ほとんど家で過ごす生活を余儀なくされるでしょう。スマホやPCの観客となる多くの人々に、上演の映像を提供する(それも非常に重要なことですが)以外のやり方で、演劇を創ることを模索しなければなりません。密閉空間に集まって稽古をしたり、大勢を劇場に集めて公演をしたり、という、疑いもしなかった大前提を、一度、粉々に破壊するようなやり方で。

「呆然」という場において、私は作をするわけでも、演出をするわけでもありません。なんだったら主宰でもありません(発起人とはいってもいいかもしれませんが、ニュアンスの違い、伝わりますでしょうか)。応募する方がどこに住んでいるかも問いません、リモートワークが主となるでしょう。マネタイズも最優先の課題ではありません、とてもいい方法を思いついたら、改めて話し合いましょう。稽古場(無理やりこう呼びます)はnoteやTwitter、zoomなどを検討しています。公演をするのに適切な場所と時期は、プロジェクトの内容とその時の状況次第で、臨機応変に対応しましょう。もちろん、稽古も本番も必要ないかもしれません。

 何をするつもりなのか私にもわかりません。ひとつわかるのは、いつものように戯曲を書いて、キャストやスタッフにオファーの連絡をして…みたいな公演を行う最初の段階からすでに、疑いが生まれてしまっている、ということです。それでも、今年いっぱいは大人しくするのではなくて、何か新しいことを誰かとやってみたいです。

 それが何になるのか、誰とやるのか、今からとても楽しみにしています。※1

2020年3月25日(水)
「呆然」綾門優季

※1 応募について締め切りました。多数のご応募をいただきました、ありがとうございました。選考の結果、綾門優季、エノモトナルミ、小野晃太朗、セクシーなかむら、德岡希和、福谷圭祐の6名で「呆然」は活動していきます。各々のプロフィールについては、下記をご参照ください。

https://twitter.com/ayatoyuuki/status/1250714304052989955?s=19

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