DevRelにおける人間的な要素の重要性： 共感、思いやり、リスペクト、熱意

こんにちは。職業「戸倉彩」です。
今回は、DevRel Advent Calendar 2023 Day3 エントリー記事をお届けします。

1. はじめに

Developer Relations (以下、DevRel)は、言葉の通り単に技術の伝達者ではなく、開発者や技術者(Developer)との橋渡し役 (Relations) としての多面的な役割を担います。この領域で成功するためには、技術的知識と同じくらい「人間」と向き合うことも重要視する必要があります。そのためには、共感、思いやり、リスペクト、熱意などといった人間的な要素が、DevRelの成功の鍵を握っています。

2. 共感力とは何か？

「共感」は、他人の感情や立場を理解し、それに対応する能力です。この能力は、特にDevRelの専門家.(DevRelの役割を担ってプロとして業務を遂行している方々) にとって不可欠です。なぜなら、この仕事は単に技術を伝えることだけではなく、開発者コミュニティとの深い信頼関係を築くことにあり、それには共感が重要な役割を果たします。

3. 共感がDevRelにおいて重要な理由

DevRelの職責は多岐にわたりますが、その中核には常に「コミュニティ」が存在します。共感を持って接することで、開発者個々のニーズや課題に寄り添うことが可能となります。例えば、ある開発者が特定の技術的困難に直面している場合、その問題を深く理解し、開発者の方々が必要とするサポートやリソースを提供することができます。これは、問題解決のための技術的なアドバイスを提供すること以上の意味を持ちます。開発者が直面する挑戦に一緒に向き合い共感することで、開発者の方々は自分の問題が理解され、大切されていると感じることができます。

4. 共感による信頼関係の構築

「共感」は、信頼関係を築く上でも重要な要素です。DevRelの専門家が開発者の立場に立って考え、開発者の方々の意見やフィードバックを尊重することで、より強固な信頼関係が築かれます。この信頼は、長期的な関係の基盤となり、コミュニティの持続的なエンゲージメントを促進します。

また、「思いやり」を持つことも忘れてはなりません。技術的なアドバイスを提供することを超え、開発者個人の成長に対しても配慮を示せることが望ましいです。バックグラウンドや置かれている状況が異なる開発者一人一人には、技術的な進歩やキャリア発展のための独自のタイムラインが存在しています。それにともない、ニーズに合わせてたサポートが求められる場合があります。もし、DevRelを通じて関わりを持った開発者に、できなかったことができるようになった、という成功体験を届けることができたなら、それは一つの素晴らしい瞬間と言えます。一緒に成長を喜ぶことができた場合、個々の自信を高められると同時に、いいカタチで連帯感も生まれるかもしれません。ワタシの中では、こうした人間っぽい部分も味わえるのが、DevRelの醍醐味でもあると感じています。

5. 熱意を持つということ

DevRelの専門家は、自社の製品、サービス、または技術に対する深い知識に加えて「熱意」を持って取り組むことが大切です。これにより、開発者に伝えるメッセージに信憑性と影響力を加え、開発者や他のステークホルダーにポジティブな影響を与えます。また、自分自身の中でも新しいアイデアやコラボレーションが生まれやすくなります。ただし、知識や技術力がともなっていないけど熱意だけはある、という場合には空回りしているように見えてしまうので、継続的なスキルアップは強くお勧めします。(自戒を込めて)

実際に、技術力と熱意の両方を兼ね備えて活躍しているテクニカルエバンジェリストやデベロッパーアドボケイトの方々と会話していると、外部から見ていても「何の人」なのかが分かりやすく、うまくパーソナルブランドを形成することにも繋がっている印象を持ちます。

まとめ

DevRelの専門家には、技術的スキルはもちろん重要ですが、それと同じくらい、共感力、熱意と思いやりを持った人間関係の構築能力が求められています。とくに開発者コミュニティとの信頼関係を築き、ニーズと期待に応えるためには、これらの人間的な要素が不可欠です。
もちろん、ワタシ自身も完璧な人間ではないので、技術面でも人間面でも表現方法や伝達方法など改善ポイントを周りの方々からアドバイスやフィードバックをいただきながら日々精進し続けています。

いつの時代もDevRelの専門家に期待されていることは、「技術的な知識」と「人間的な洞察力と行動力」を融合させ、技術発展や社会貢献に繋げる道筋を作ることだと理解しています。このバランスこそが、DevRelの専門家自身の成功を収めるためにも重要であり、DevRelの成功を人間が支えていることの意義でもあるとワタシ自身は考えています。