愚形リーチのみ

愚形リーチのみに対する認識

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https://twitter.com/yamatechi_/status/1284370928344817665?s=20

上の愚形リーチのみに関するツイート及び返信を見てふと思い立ったので、久々のnote更新に至りましたよ、ええ。

愚形リーチのみって「あがれたとしても安いからリターンが少ない」「押し返しに弱い」辺りの点から、多くの人に弱いと思われている(というか実際弱い方なんだけど)。
そういうこともあって、愚形リーチのみに対して消極的な選択を選ぶ人がかなり多いように見える。見えるだけ。

先に結論から述べよう。
悪形リーチのみの聴牌は「先制であれば基本的に即リーチ」。
悪形2600と似たような感じで、難しく考えずリーチしとけば問題ないんです。

なぜ先制ならリーチしていいのか

あいや待たれい、そんなん自殺行為ちゃうんけ!?てきとーなこと言っとんなあおんどれは!?

みたいな感じで懐疑的な視線を送ってる人がいるのをまだ公開していないこのタイミングですでに感じ取っているので、下に根拠を羅列しておこう。

まず、みーにんさんの『「統計学」のマージャン戦術』によると、先制愚形のみ手リーチの局収支は

・5巡目・・・500点
・8巡目・・・-100点
・12巡目・・・-600点

となっており、これは和了放棄した場合の局収支-1500と比較した場合はまあまあ大差で有利な選択になる。

実際には先制聴牌時点であれば「すぐに和了放棄してベタオリ」という選択ではなく「聴牌外し」もしくは「聴牌取りダマ」の選択を取ることになるため、完全ベタオリよりは局収支は上がると思われる。

そこで、堀内正人氏の『神速の麻雀~堀内システム51~』を参照。すると、P.32に「役なしドラなし悪形(リーチ時の打点1300)の場合」というタイトルの局収支グラフが載っている。

その図を見ると、ほとんどの巡目において「リーチ1300>役なしドラなし悪形(ツモ専)」であることが確認できる。参考程度に、5巡目・8巡目・12巡目のダマテン時の局収支はそれぞれ

・5巡目・・・0点
・8巡目・・・-300~400点
・12巡目・・・-700~800点

と読み取ることができる。

「いやいや、そういうデータって待ちにもよるじゃんwww」
っていう質問が飛んできそうなので、その前に今度はこちらを見てもらおう。

nisiさんのブログ『とりあえず麻雀研究始めてみました』より、「真ん中無筋カンチャンリーチのみの是非」
http://epsilon69399.blog20.fc2.com/blog-entry-164.html

こちらの記事では

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このような46カンチャン待ちの役なしドラなし聴牌になる牌姿においてシミュレーションを行い、その結果を公開している。

それによると、完全先制の場合は一段目こそ聴牌外しに分があるが二段目に入る辺りからリーチ有利になる、と。また副露が入っている場合はむしろリーチ寄りになるそうで。

また同ブログの「愚形リーのみを再考するその4・両面変化4種のシャボ待ち」より
http://epsilon69399.blog20.fc2.com/blog-entry-244.html

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このような内寄りのシャボ待ちになった場合も基本的にリーチ有利。もっと内寄りのシャボになればやっと微妙~ダマ寄りになるくらいであるとのこと。

という感じで、少なくとも局収支という観点から見た場合、先制であれば多くの場合でリーチ有利になるし、条件が悪い手であってもリーチとダマで微差→リーチで大きな間違いにはならないと言えるんだよな。

逆に被先制時なら?

ところで僕は「先制なら」と死ぬほどうるさく付け加えまくってるんだけれども。じゃあ先制リーチをすでに受けている場合はどうなるのか、というところも一応述べておこう。

先に結論を言うと、「親はリーチ、子はベタオリ」で大体正解になる。これはまあもともとみんなそう思ってるかw
けど、ベタオリがどのくらい優るか、というところに関しては知らない人も多そうだよね。

先制時でも引用させていただいた、みーにんさんの『「統計学」のマージャン戦術』によると

<自分も相手も子>
ベタオリ・・・-1100点
・8巡目・・・安牌切り-900点、10%牌切り-1300点
・11巡目・・・安牌切り-800点、10%牌切り-1300点
・14巡目・・・安牌切り-700点、10%牌切り-1200点

<相手が親>
ベタオリ・・・-1700点
・8巡目・・・安牌切り-1800点、10%牌切り-2300点
・11巡目・・・安牌切り-1600点、10%牌切り-2200点
・14巡目・・・安牌切り-1400点、10%牌切り-2000点

<自分が親>
ベタオリ・・・-1700点
・8巡目・・・安牌切り-900点、10%牌切り-1300点
・11巡目・・・安牌切り-800点、10%牌切り-1300点
・14巡目・・・安牌切り-700点、10%牌切り-1200点

という感じになる。10%牌切りっていうのは「宣言牌の放銃率が10%ある牌を切る場合」のこと。
そう、実は「宣言牌が安牌なら親相手だろうが勝負になる」のだ。このことは雀ゴロKさんの『フリー麻雀でもネット麻雀でも使える現代麻雀最新セオリー』でも述べられており、両無スジ456や中盤以降の無スジ2378のような危険牌切りでもなければ被先制であってもリーチで問題なかったりする。
この本が出たときそのことで結構話題になってたよねw

じゃあなんで「子はベタオリ」としたのかというと、のみ手悪形になるような手の場合、変化を強く見る影響で宣言牌が安牌になることが少ないってのが主な理由で。
上にあるように危険牌切りの場合はベタオリに劣る場合がほとんどで、大抵はそういう局面になるのでそっちをベースに基準を置いておくのが実戦で判断しやすいと考える。

親だったら危険牌切りでもリーチ有利になる
から簡単なんだけどねー。

じゃあ先制でリーチしない場合って?

以上のことから、悪形リーチのみの聴牌は「先制であれば基本的に即リーチ」という基準で判断しておけば大体正解になることがわかったと思う。・・・たぶん。

じゃあとりあえず全部曲げとけばいいんだな!ってなるかというとそういうわけでもなく。だから「大体」正解っていう表現をしてるわけだけど・・・てことで例外もここで挙げておこう。

・待ちが特に薄い場合
・変化が特に多い、または強い変化がある場合
・相手の仕掛けが「高打点かつ聴牌率が高そう」と読める場合

他にもあるかもしれないけど、主にこの辺。

ここで「あれ?点数状況は?」ってなった人も中にはいるかと思う。実は、点数状況の変化はリーチ判断にそこまで大きく影響を与えるというほどではないのだ。もちろん全くないなんてことはないけどね。

『とりあえず麻雀研究始めてみました』より、「愚形リーのみを再考するその2・通常の場の点棒状況」
http://epsilon69399.blog20.fc2.com/blog-entry-242.html

『とりあえず麻雀研究始めてみました』より、「愚形リーのみを再考するその3・高い場の点棒状況」
http://epsilon69399.blog20.fc2.com/blog-entry-243.html

詳しいデータは記事を参照していただくとして、「負けているかつ残り局数が少ない」場合が聴牌外し寄り、「勝っているかつ残り局数が多い」場合が即リーチ寄りになるくらいで、基本的に判断を都度変えるほどではないように見える。

もっとも点数状況が18000~32000の範囲内でのシミュレーション結果なので、例えば断ラスとかだと聴牌外しになるケースは増えそうではあるけどね。断トツの場合は和了自体が偉いから大体即リーチで問題なさそう。

それよりは上で挙げた3点の方が重要度が高いのかなと思うので、それらについて。

・待ちが特に薄い場合

毎度お世話になっております、『「統計学」のマージャン戦術』では「2枚見えの愚形待ちで立直できるのは19牌のみと知れ」という項目がある。そのまんまの意味である。

最初の先制愚形リーチの局収支は、全ての愚形待ちを一緒くたにして求められているもので、それぞれの巡目で用いられた和了率は

・5巡目・・・53%
・8巡目・・・43%
・12巡目・・・31%

となっている。5~12巡目でざっくり40%強といったところ。

しかし当然悪い待ちならその分和了率も悪くなるってこって。例えば両無スジ456の2枚待ちになると和了率は23%になる。まーひどい。

その場合の局収支をざっくりと計算すると
0.23×(2600+1500)-1500=-557
※『「統計学」のマージャン戦術』の「先制時における簡易な局収支の求め方」により算出

堀内正人氏の『神速の麻雀~堀内システム51~』から出したダマテン時の局収支がざっくり-300~400点辺りになることを考えると、即リーチが正解とは言い難い。

無スジ37の2枚待ちでも
0.28×(2600+1500)-1500=-352
これでもかなーり微妙。

ということで、明らかに弱い待ちの場合はさすがにリーチは控えておくのが無難ということになる。

・変化が特に多い、または強い変化がある場合

ここまでの例は単独カンチャンの話だったり、打点上昇変化のない(平和を除く)手の話だったけど、当然それらの条件が変われば判断も変わってくる。

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→打7sダマ。ネマタさんの『勝つための現代麻雀技術論』より。7m5sのツモ和了抽選を受けながら、ツモ68m1346sでの好形変化を残せるので「のみ手悪形」ということもあってダマテンが有力になるやつ。ツモ6sはフリテンだが3面張で平和も付くので変化に含めて良さそう。

ただし基本的に和了率は即リーチ>役なしダマとなるため、「好形変化のためだけにダマテン及び聴牌外しはしない」セオリーから、これくらいだとリーチでもそこまで悪くなさそうかな。

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→打1p。いつもの『「統計学」のマージャン戦術』より。今度はツモ2347p2345678sでの打点上昇変化がある。こうなると即リーチ→聴牌外しで

5巡目・・・500点→1300点
8巡目・・・100点→400点

とそこそこ以上の差で聴牌外しが良くなる。同様に

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→打2m。こちらは『勝つための現代麻雀技術論』より。赤やドラなどの浮き牌がある場合も同様に判断すればいい。

このような打点上昇変化は、ドラ1の場合でも積極的に狙うべきではあるが、のみ手のようなリターンの少ない手をリターンの大きい手にできることの恩恵はすごく大きいのだ。

・相手の仕掛けが「高打点かつ聴牌率が高そう」と読める場合

今度は「押し引き」の観点から。上の方のnisiさんの記事で、「2副露1手出しが入っている」場合でもそこまでダマ有利にはならない、というデータがあった。ただ聴牌率が高いだけならやはりリーチで大体問題ないのである。

じゃあ問題があるとしたら?と考えたら、それは「聴牌率が高そうな上に高打点であると読める」場合になるのである。

上でも言ったよね、「リーチにはベタオリ」すると。ならそれに近い局面でも同様にベタオリとした方がいいわけで。

例えば
・ドラポンを含む2副露
・混一色の仕掛け(3翻以上)が入っていて、かつ染め色の牌が余っている
などはリーチと同様に判断する感じで良さそう。

相手によって判断が変わる?

この項目だけ追記になります。もともとこの項目について自分の意見を出したかったのに、なんで忘れてるのかwww

結論から言うと、リーチ判断に関しては基本的に変えなくていいと思ってる。
よく「押してくる相手に対してのみ手愚形リーチを打つとがん押しされて放銃するから曲げたくない」みたいな意見を聞くんだけど。

それで増える押しってのが「ノーテンからの押し」、かつ普通は押さないような手からの押しであるのであれば、さほど影響はないと考える。むしろこちらの和了率上昇の影響のほうが大きいんじゃないかな、待ちの枚数が少ないことを差し引いても。

普通に押し有利な手で押されることに関してはおそらく統計データの方には含まれているはずで、それ込みでリーチ有利になっているはず。
ただ、全員十段とか天鳳位とかトッププロとかみたいなくっそハイレベルで効率的に押し返してくる相手とかなら話は変わってくるかもしれないけどね。

逆にリーチで簡単に降りてくれる人が多い卓なら、打点上昇手変わりがない場合はさっさと曲げてしまったほうが良さそう。これは感覚的にわかると思うけどね。

また「下位の卓では同様の理由からのみ手愚形リーチを控えるべき」という話もあるけど、そうなると正しくない押し返し方をしてくることも出てくるから、放銃率が一気に上がるなんてこともなく。

ただしこれも程度問題で、リーチ判断が微妙とかそもそもダマ有利とかならじゃあダマにしてみよう、みたいな判断の仕方ができればそれで十分かなと思うます。

それ以前に

ここまでが「愚形リーチのみ」の聴牌時でのおおよその考え方。

ここで話が終わると思いきやもう一つ大事な話があって、それは「聴牌するまでの段階でより良い手を作ること」なのだ。
そもそも愚形リーチのみの聴牌にならないようにすれば、聴牌した時点で唸ることもなくなるのだよ。

・・・もっともどうあがいてものみ手悪形聴牌にしかならない、みたいなパターンもあるっちゃあるんだけどね。

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→打2s。『勝つための現代麻雀技術論』より。このまま打1mとしても愚形リーチのみにしかならないので、ツモ56mのイッツー変化を見る。

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僕の実戦譜より。チー打1sとした。ツモ8pか2sならカン2sおよびカン8pで即リーチとするところ(ツモ4sならタンヤオ変化があるので聴牌取りダマが有力そう)だが、チーしてタンヤオの鳴ける一向聴に。
こうすればピンズの副露も利くため、好形聴牌にもなりやすい。

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どや( ・´ー・`)

最後に

愚形リーチのみの手って人によって評価及び判断が結構違くて、でも全体的に「愚形リーチのみは悪」と捉えている人が多いように感じる。

なんでそうなるかって、人にとっては得るときに感じる価値よりも、失うときに感じる価値のほうが大きくなるという「損失回避性」の心理が働いているから。
40%くらい発生する「あがれた!嬉しい!」っていう感情よりも10%くらいしか発生しない「放銃した!くそが!」っていう感情の方が頭に残りやすいってこった。

そんなこんなで、最後に簡単にまとめると

・愚形のみ手は先制なら基本的に即リーチ
・先制リーチを受けている場合は親は追っかけ、子はベタオリ
・待ちが特に薄い場合はリーチしない
・変化が多い、特に打点上昇手変わりがある場合はダマテンまたは聴牌外し
・超上級者相手とかでもない限り、判断は大きく変えなくて良い
・聴牌するまでにより良い手にできるかどうかを考える

この辺りがざっくりとした愚形リーチのみに関する考え方だ。ぜひ活かしていただければ!

・・・ここまでガチな記事書くの初めてや。

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