広尾TC2022年「追加」募集馬を血統分解から見てみるページ

①フォーエヴァーユアーズ21  牡馬

リアルスティール×フォーエヴァーユアーズ  奥村厩舎

おそらく牝馬を購入してパカパカに預託し生まれた当馬。クエストフォーワンダーのように、今後も産駒が募集される可能性が高いです。

血統という点においては、個人的にこれまであげてきた血統解説のなかでも最高に自分好みで、最大級の評価ができる牝馬だと思います。

まず母フォーエヴァーユアーズ単体から見ていくと、父Motivator。タイトルホルダーの母父ですね。パンサラッサでおなじみモンジューに対してアメリカのスピードをもたらすGoneWest産駒が配合されています。
牝系からはEverlastの父にDanzig系のAnabaa、母からはKris、ShirleyHeightsの広尾おなじみ走る欧州血統。タイトルホルダーも母メーヴェがShirleyHeightsを牝系からなので結構似てますよね。

若旦那さんが発見してくれましたが、Motivator×母父Anabaaというと、凱旋門でオルフェに勝ったTreveがあてはまります。
また、KingmanはDanzigにSharpenUp、GoneWestからのLyphardなのでこちらにもニアリーしていると言えます。

興奮していっぱい書いて雑になりそうなので素晴らしい点をピックアップします。

①最重要ポイント。Motivatorの良いところはサドラーのスタミナ強化のようなモンジューだけでなく、OutWestにあります。OutWest内のGoneWestとSharpenUpでMixedMarriageが4×4を形成しています。このMotivatorにAnabaa+CutlassのEverlastを配合することで、Kris内のSharpenUpともさらにクロスすることができます。MixedMarriageという血統は欧州ではかなりクロスを狙って配合されるくらいで、日本でも近年ファインニードルなどのこれを狙った配合が少なくないです。
Treveの交配相手がKingmanのようで、ただでさえお互いニアリーなのにその2頭を配合されるトンデモ事案。MixedMarriageのクロス効果も狙ってのことでしょうかね。

②Anabaaはナスキロが黄金配合です。ゲイメセン内のRivermanと脈絡することで活躍馬を出しています。
 →CutlassのShirleyHeightsはもちろんGoneWest内にSecretariat、リアルスティールからStormcatも脈絡。

ということでフォーエヴァーユアーズという牝馬は、Treve(トレヴ)プチ強化版といったところです。
よくこんな良い血統仕入れましたね。広尾の血統担当してるひとはほんとにこういう血が好きなんだなと思います。

続いては父リアルスティール。いろいろな場所で解説されているので細かく書きませんが、
ディープに対して黄金配合であるStormcat、牝系からはKingmanboの全妹というかなりの良血ですね。

亀谷理論としてはリアルスティールには欧州系かつ重すぎないのが良い、とのことで合っていると思います。

リアルスティールの要素がいろいろありすぎてもう文字数があれなので、リアルスティールと配合されて良い点をあげるとすると、
上記の②で書いたようにナスキロ増幅が実現できます。StormcatだけでなくAlzaoにも脈絡できます。

また、TreveやKingmanは牝系からのポイントとしてLyphardがいるところがあげられます。
今回ディープ系と配合されたことでAlzaoのLyphardと脈絡することができるうえ、サンデーを取り入れることでよりジャパンナイズされると。

ということでフォーエヴァーユアーズがいかに素晴らしい配合していて今回のリアルスティール仔も配合からみれば期待できる馬かと思います。
毎産駒募集されると思うので楽しみです。


②ピエノフィオレ21  牝馬


エピファネイア×ピエノフィオレ  蛯名厩舎

ピエノフィオレ21はセレクションセールで牝馬で2番目に高額落札された馬です。

デアリングタクト、クラヴェル、スカイグルーヴをはじめとしたエピファネイア×母父キンカメという勝ち上がり率が無茶苦茶高い配合です。
このエピカメが成功した要因としてはサドラー≒Nureyev、マルゼンスキー≒ラストタイクーンといったニアリークロスといった基本的なところはもちろん、奥の方でいうとSexAppeal≒TriArgoからHyperion・マンノウォーがクロス、ラトロワンヌも含めたパワー底力が支えていることが大きな要因かと思います。

エピファネイア単体の血統は個人的には「軽い」という言葉を自分は使ってます。
シーザリオの牝系であるHabitatがいることで、しなやかではあるけど非力みがあると思っています。
対してシーザリオに似た血統のステラリードは欧州底力が支えているので、「重い」ととらえています。

エピカメになることで上記のニアリークロスたちがその弱点を補うので、元々のエピファの種牡馬の素質にプラスになって走る率が高いんだろうと思います。
デアリングタクトはDanzigに牝系からハイペリオン多めで支えているし、スカイグルーヴもエアグルーヴからハイペリオンたくさん。

これを見たうえでピエノフィオレ21を見ていくと、まずは面白いことに気が付きます。
クレッシェンドラヴを輩出した牝系のハイアーラヴが、フォーリアの3/4同血となります。ハイアーラヴのHighSpritedとフォーリアのDunoofが全兄弟でかつそこにサドラー。世代が1つ違うだけになりますね。
サドラーというスタミナパワーの良血はもちろん、推し血統ShirleyHeightsがやわらかいキレとスタミナを補完。

ハイアーラヴじたいがもともとナスペリオンに優れている血なので、大いに親和性はあると思われます。
いずれは繫殖牝馬にする可能性は非常に高い本馬。まずはどんな現役生活になるか楽しみです。


③ベネディーレ21  牝馬

リオンディーズ×ベネディーレ  田中克典厩舎

先述のピエノフィオレでエピファネイア×キングカメハメハは黄金配合だと記述したと思います。
そこでは「このエピカメが成功した要因としてはサドラー≒Nureyev、マルゼンスキー≒ラストタイクーンといったニアリークロスといった基本的なところはもちろん、奥の方でいうとSexAppeal≒TriArgoからHyperion・マンノウォーがクロス、ラトロワンヌも含めたパワー底力が支えていることが大きな要因かと思います。」
と書きました。

リオンディーズ×ベネディーレはこの要素と全く同じことがいえます。
まずリオンディーズ単体でサドラー≒Nureyev。キンカメ系なのでラストタイクーンを持っており、ベネディーレ・シーザリオがマルゼンスキーを持っており453でニアリークロス。ブレッシング内のMenowクロス、BullLeaクロス、Buckpasser、さらにとどめのRobertoといった超パワー要素の下支え。
こういった点からすべての要素でエピカメ成功要素を兼ね備えています。
というかベネディーレ内のブレッシングそのものがシンボリクリスエスのニアリーな感じありますね。
リオン×クロフネ、リオン×ボリクリの相性の良さを両方網羅しているように思います。

半姉アリシアンは軽いエピファでありながらベネディーレのパワー要素が多分に引き出されているタイプに思います。
本馬は多少小柄ではあるものの筋肉の見栄えが良いのはさすがベネディーレ仔、かつスピードがありそうな足運びなのは重たいパワータイプというわけではなさそうなので良いと思います。気性で勝ったリオンディーズをつけた、という明確な配合意思もありつつ、血統的にもよく考えられた馬だと思います。


④クエストフォーワンダー21


同じ配合のためこちらをご覧ください


⑤ゴッドフロアー22  牡馬

モズアスコット×ゴッドフロアー  矢作厩舎

ゴッドフロアー22は写真がもう筋肉すごすぎて当歳とは思えませんよね。
ということで気合をいれて血統解説していきます。

いくつかの視点から見ていきます。

まずは父父フランケルから。
日本での成功例であるモズアスコットやソウルスターリングなどなどから紐解いていくと、
ポイントはStormcatに脈絡する血統たちになります。
自分の解説でもしょっちゅう使う言葉ですがナスキロにTomFool。ナスキロはミルリーフ系やセクレタリアトがいい。
あとはNijinsky要素があるとプラス。この辺は全部Stormcatに脈絡する。
さらに必須に思えるのがミスプロ。
すっごいざっくりいうと米系たっぷりがいいですね。

モズアスコットはそれこそStormcat系にミスプロ、Hopespringeternalの素敵なナスキロTomFool、Nijinsky。
Miswakiが直接クロスすることでミスプロとナスキロTomFoolを全部ダブル増しにしてしまうすげぇ配合。
ソウルスターリングはスタセリタの父Monsunがバチクソ異系だけど牝系はだいすきShirleyHeightsのナスキロにTomFool。

今回は父がモズアスコットになるけどこの理論は継続して良いと思うんですよね。実際ディープ孫でも同じ話ですし。

ゴッドフロアーと配合された本馬は父がハーツクライ。母がおなじみ広尾の核血統のひとつウェルシュステラ。
ウェルシュステラのGoneWestの良さはフォーエヴァーユアーズを参照ください。
このGoneWestという血統はほぼMiswakiです。ミスプロにセクレタリアトのナスキロ+TomFool。
Miswaki≒GoneWestが544というとんでもねぇ配合してやがる。
さらにいうと毎年話題に出しますがNijinsky≒TheMinstrelなのでこのニアリーもそのまま実現。
さらに奥の話をするとサドラー多重クロスでSpecialがいっぱいですがそのスピードをさらに飛躍させるのがGoldBridgeという血統といわれていてこれがZafonicの中でクロスしています。

Zafonicひとつをとってもこんな激ヤバマシンガンですが、ウェルシュステラのすごいところはWelshLoveの中のEla-Mana-MouとWelsh Flameというふたつの底力血統。このあたりもパワーの後押しをすると思われます。

さらにさらに、母父ハーツクライをとってみてもハーツクライと相性の良い血統は全体を見ても無茶苦茶持ってます。
あとなんといってもデインヒル。ハーツにデインヒルの牡馬は鉄板ですよね。ハーツ×フランケルは鈍重になりそうに見えますが、
その他ありあまる米系の血でちょうどいい感じになりそう。
広尾解説の言葉を借りるとデインヒル≒OurTinaMarieが3×3なのでこのクロスにハーツクライをあてるのも大きそうです。
(デインヒルはND系Danzigにリボー+TomFool。OurTinaMarieはND系Nijinskyにリボー+EightThirty。TomFool≒EightThirtyなのでがっつりニアリーですね)

遺伝子も早期デビュー、スピード○なCCとのことで文句なし。
ウェルシュステラの小回り適正との兼ね合いもありますがピッチというわけでもないし、
ここは父系からの柔らかなナスキロ走りをする大箱向きなマイラーとみたいと思います。

かなりのレベルで完成度の高い配合。


⑥スマートオランプ22  牡馬

ミッキーアイル×スマートオランプ  武英智厩舎

ミッキーアイルはディープインパクトに対してBe My Guest、Nureyev、デインヒルといったHyperionやSon-in-LawにFairTrialなど先行パワー底力スタミナな血統のスターアイルと配合。
快速というよりは逃げてふんばってといった血統。

ミッキーアイル産駒については少しずつ活躍馬の傾向が見えてきました。
まずHalo。Nureyev≒サドラー。ミスプロ。底力血統。

活躍馬はだいたいこういった「軽さ」「スピード」「底力」の三点倒立がしっかりしているように思います。
スピードにおいてはStormcatだったりミスプロだったり、底力はそれこそサドラーだったりRobertoだったり。

わりと素直にディープに合いそうな血統そのままがよさそう。サンデーサイレンスのクロスも全然おっけー。という形。

スマートオランプはミスプロ系Kingmanboにドイツ名牝Allegrettaのキングズベストが父で、
母はスイープトウショウの母のタバサトウショウ。

広尾解説にあるようにディープインパクトとダンシングブレーヴはニックスでLyphardを直接クロスできるうえ牝系はHaloにいきつくTurnTo系。
思った以上にミッキーアイルに適している血統かもしれません。
理由としてはLyphardとあわされたNavajoPrincessはTurn-Toの仔SirGaylord。そこにTomFoolにMahmoud。
PagoPagoはクロフネ母の系統ですね。
SirGaylordはナスキロのなかでも特に柔らかさ・軽さのタイプなので上記に適しています。ディープインパクトとの親和性では◎。

牝系からはトウショウボーイ。

KingmanboのNureyevとスターアイルのNureyevがクロス。ドイツ系Allegrettaが底力を。そしてミスプロ。
牝系からディープの相性と良いダンシングブレーヴ。

スマートオランプ単体では確かにスピードにかける配合ですがミッキーアイルをつけたことで明確に補完はできているように思います。


⑦ヴェイパー22  牝馬

ブリックスアンドモルタル×ヴェイパー  栗田厩舎

Giant's CausewayにBeyond the Wavesという牝馬がかけあわされたブリックスアンドモルタル。StormCatがニアリークロスしているといえます。牝系がAureole直系なのもいいですね。そんな系統ですが芝馬をたくさん排出したのがGiant's Causeway。ブリックスアンドモルタルも芝馬。StormCatを持っていないサンデー系の受け皿として日本に入ってきた形ですね。

ブリックスアンドモルタルが正直距離適性は間違いなく引き継ぐだろうけど、広尾解説にあるようにスピードがどうか?というところに尽きると思います。とはいえこのあたりはモーリスだったりエイシンフラッシュだったり、スピードの出所がわからない系の種牡馬っぽいので、実際にこれから産駒がはしってみないと正直血統配合の良しあしはわかりかねるのが正直なところ。

ヴェイパーは単体で見るとサドラーにAllegretta・MiswakiのUrbanSeaをあわせたGalileo。
凱旋門賞馬RainbowQuestにNijinsky、Hail to Reasonにナスキロ。
良い血統してますよね。

そんな重厚そうな血統してるわりに、ヴェイパー産駒は素軽い印象のほうがあるんですよね。
リナーシェしかり、ニルカンタテソーロしかり。

重たすぎる!!という結果にならないほうが良い組み合わせゆえこのあたりはプラスにとらえられそう。
おそらくヴェイパーの遺伝はGalileoよりも牝系のBlushing Groom・Nijinsky+Hail to Reasonにナスキロが強いのかも。

そういう意味ではStormcat系とあわせるのは良いと思うし父系のGloriousSongも活きてきそう。
GalileoのMiswakiも相乗効果になってくれれば面白いと思います。

サンデーサイレンスそのものの血がないことから繁殖としても面白いかもしれません。


本募集のページはこちら
https://note.com/ayasecharlotte/n/n9e68ee7d963c

また募集されたら頑張ります(´ω`)