インサイドセールスにおけるリードを手放すという選択
こんにちは!
株式会社SmartHRでESBセールスをしている斎藤です。
今回の記事では、インサイドセールスとクロージングセールスに携わっている私が行ったある選択についてつらつらと記載しました。
・インサイドセールスを行う中で1日のToDoが遅延しがち
・インサイドセールスを行う中で価値を見いだせない
(アポ取りだけなの?/今後何が求められるのかイメージできない‥等)
という方に読んでいただけると非常に嬉しいです。
(主にSMB領域を担当している方向けかもしれません。)
きっかけ
前回記事を投稿した際に、多くの方に聞かれた質問があります。
「一気通貫をやる中で何が1番大変か?」
(採用面接でもこういった逆質問を多く受けました)
結論、時間の使い方が難しく大変でした。
以下に、これまでと現在のアクション数などを簡単に記載します。
◆これまで(インサイドセールス専任だった頃):
・勤務時間ほとんどを架電やメールなど追客に充てられる
(商談創出に100%注力できる)
→結果として1日の総アクション数*は平均50件
*架電数とメール数を純粋に足したもの
◆一気通貫(インサイドセールス×クロージングセールス):
・1日担当する商談は平均2〜3件
・その他にも提案中企業へのフォロー・追客
・未商談企業への追客(商談創出)
→結果として1日の総アクション数は平均20件
商談を担当するようになり、自分がコンタクトを取る相手は増えているのに、そのために充てられる時間が少なくなってしまいました。
こうした状況の変化から、限られた時間の中で機械損失を防ぐためには
今までのやり方を変えないといけない必要性に直面しました。
そして実行したのは、特に未商談企業への追客に対して、
お客様と次回の約束ができたものしか保有しない(リードを手放す)ことです。
約束とは
ここで言う約束とは、
「次回1週間後くらいに電話しますね」→「いいよ」というものではありません。
ネクストアクションが明確になっているものだけを保有することです。
インサイドセールス専任だったころは、簡略的に表すと下図のような追客をしていました。
約束に至らなかったもの=図のピンク色の部分(と、この記事内では定義します)
上記を徹底的になくすようにしていました。
なぜその選択をしたのか?
理由はいくつかありますが、本記事内でお伝えしたいのは下記2点です。
・お客様が望んでいない連絡は何も生まない
・自分のキャパシティには限界があるが、それを担ってくれる部署がある
お客様が望まない連絡は何も生まない
(我ながらとっても辛辣な表現ですね・・・)
お客様とうまく約束が握れないときにあの手この手と連絡する口実が欲しくてついついやってしまう、
「(前回連絡した時から)少しお時間空いたので連絡しました」
「新しい機能がリリース/アップデートされました」
‥などなど。
私自身よくやっていたのですが、振り返ってみるとそれで商談に繋がったことってあまり多くなかったな‥と思います。
仮に商談に繋がっても、商談実施後の本格検討に進む割合も心なしか低かったり、
本格検討に進んだ多くの場合、そのお客様はご自身で並行して資料を見ていたり、
WEBページにアクセスをしていたりして別の形で観測できていたり‥ということもありました。
上記背景もあり、ESBチームが掲げている「顧客体験の向上」にあわせて
お客様が望まない連絡を取るのはやめました。
(ここで挙げている顧客体験の向上は、お客様が欲しい・必要としているタイミングを逃さないこととします。)
自分のキャパシティには限界があるが、それを担ってくれる部署がある
一気通貫でインサイドセールスとクロージングセールスを行ってみると、
マーケの方に支えられているな〜と感じる場面が多くなりました。
理由として弊社のマーケチームでは、一部抜粋となりますが、
・インサイドセールスが追客を終えたお客様に定期的にアプローチ
・新機能のリリース
・お客様の状況に応じたご案内(職種や業界、検討状況等)
・お客様の動線キャッチ
・資料ダウンロード
・WEBサイトアクセスの有無、またその動線把握 等々
などなど、日々お客様のアクションやサインを逃さないようにしてくれています。
👆さらっと書いてしまったけど、これってとても凄いことだと思っています。
(逆にインサイドセールスで追客中のリードに対してマーケチームは上記を行わないため、完全に人力での対応になります。)
その結果として、インサイドセールス側では今追客するべきお客様に注力してアプローチ・お客様と弊社側双方にとって有意義な商談機会を創出することができます。
インサイドセールス専任の時は、アプローチできるリソースがあったためこの部分をあまり活用できていませんでした。
理由として、創出できる商談数は、ある程度自身が対応しているリード数が母数となっており、
件数を目標として持っていた当時はとにかく多くのお客様にアプローチしなくては!という心理が働いていたからだと思っています。
一気通貫で活動をする中で、The Modelを則っているからこそ受けられる恩恵の有難さに気づけたのは大きかったと思います。
自分のキャパシティを超えるToDoを保有するリスク
・1日の活動も終わりに近づく頃、設定したToDoが残ってしまっている
・残っているToDoは、期日をずらして明日対応しよう・・・
という経験をしたことのある人は多いかもしれません(私もあります)。
自身で対応する(追客をする)リード数を担保したくてやってしまいたくなるのですが、
これもお客様目線に立つと本来あってはいけない姿なのではないかと感じます。
・資料請求をしたら、その日のうちに連絡が来た
・資料請求をして、その2〜3日後に連絡が来た
上記の場合、当日に連絡が来る方がお客様から見ても記憶が鮮明なので
関心や優先度も一定高いと考えコンタクトを取られても迷惑には感じない(感じづらい)。
かつ、インサイドセールス側からすると商談機会を創出しやすい状態。
一方で時間が経てば経つほど、
お客様の中では記憶が薄くなり、場合によっては関心や優先度も下がります。
(結果として、機会損失を生み出してしまっているかもしれません)
なので、先方のアクションへはこちらも早く対応するのが鉄則です。
即時対応するためには、
1日の対応できるキャパシティを把握することが重要です。
ToDoが遅延しがちな方は、もしかすると
・自身のキャパシティを越えるToDo数を設定している
・お客様が望まない連絡を設定している
この2点が原因かもしれません。
その場合、少し勇気を持ってリードを手放す選択をすることも有効だと考えます。
手放すと聞くと、とても失礼な物言いかもしれませんが、実際には、
【お客様目線】
・必要なときに適切な情報が届く
・アクションを起こしたら即座に連絡がもらえる
【インサイドセールス目線】
・ToDoの遅延をなくせる
・リード対応の優先順位がこれまで以上に決めやすくなる
このようなメリットがあるのではないかと考えています。
この循環が加速していくと、中長期的な結果としては、
インサイドセールスは今向き合うべきお客様への対応に専念できるので、
・商談の質にさらにこだわることができる
・お客様の機会損失を防ぐことができる
・お客様からの信頼や関係性の構築がこれまで以上にできるようになる
(インサイドセールスはお客様と商材をつなぐ最初のセクションだから)
上記のような価値を作り上げていくことも不可能ではないと考えています。
(そのためにはKPIの見直しなども必要かと思うので一朝一夕で目指すことは難しいかもしれませんが…)
おわりに
インサイドセールスでは今後、商談機会の創出だけではない価値や使命が
求められていくのではないか?と日々感じています。
個人的には、今後インサイドセールスでも量だけを意識する時代は終わり、
質(創出した商談の受注金額等)を指標とする時代が来る/必要と考えています。
その過程で、
・今やっていることを変えてみる
・今やっていることに工夫を加えてみる
上記が求められる場面が必ず来るとも考えています。
一気通貫で活動する中で、目標が商談件数ではなく受注金額となったことを契機に
私はリードを手放す選択をしてみました。
記事を読んでくださっている人の中では、
この選択を良しとする人/悪しとする人で分かれると思います。
同じインサイドセールスを行っている方がどんな風に思うのか、
ぜひコメントをいただけると嬉しいです。(意見交換とかしてみたいです)