君の手が僕よりも あたたかかったからさ
4年間好きだった推しメンの活動休止、そして卒業発表。
どうしても物分かりのいい良いファンの子 でいたかったし、
実際そういう風に振る舞えたつもりだった。
推しメンには前向きな言葉をかけ続けたし、生じる寂しさにだけはやんわりとヴェールをかけつつ向き合っていたものの、それ以外のマイナスな感情は増幅させないよう見ないふりをして過ごしていた。
ちょっと寂しそうにはしてしまったけど、泣かずに最後まで話せたし。
自分の想定する良いオタク像をうまく務められていると思っていた。
私は私のメンタルのタフさを過信していたらしい。
たしかにガワは比較的上手に保てていたけれど、自分でも気づかないうちに中身はボロボロだった。
そんなときに出会い直したのが彼だった。
今まで何度か彼という人物には触れてきたはずだったけれど、
ぽっかり空いた時間で改めて彼に注目しているうちにその甘く優しい歌声や言葉がどうしようもなく染みて、
気付けば彼のことを考える時間が増えていった。
友人のおかげでたまたま最前に入れたツアーのとある公演、ソロを担当した彼による最後の挨拶。
「今日は俺のソロということで、俺推しがたくさん来てくれて本当に嬉しかったです!」
そう話す彼のはにかんだ笑顔を見つめながら、烏滸がましいながらもいちばん前の真ん中で赤を振るその一人になれたことがとても幸せだと思った。
またいつか彼のために駆け付け赤を灯す一人になりたい、と朧気に感じた。
彼は本当にやさしい人なんだなと思う。
前述の推しメンが卒業して本格的に彼の元へ通うようになった後も、
彼はそのあたたかさで包み続けてくれている。
アイドル相手に綴るにはあまりにバカみたいな一文だとも思う。
だけどこれは実感として本当のことなのだ。
でもね、こんなの嘘だって思われても仕方ないけどね。
今わたしが君のこと好きだって気持ちは嘘偽りなく、たしかにここにあるんだよ。
決してあの人の代わりじゃない、
他の誰でもない君だったから、私は今もこうして立っていられるんだって
君は信じてくれますか?
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