見出し画像

世界で一番雑なジロ・デ・イタリア2023プレビュー

5月になった。ジロ・デ・イタリアの季節到来である。

いよいよグランツール初戦が始まるというのに、気圧の乱高下や気温差で不調な春を過ごしていたので(言い訳)全く予習ができていない。そして気付けば開幕が明後日5月6日(土)に迫っている。もう時間がない。

ということで、細かいことは置いておいて、ざっくりコースと注目選手をチェックしていく。自分と同じく「アッもうジロ始まるんじゃん!」と焦っている方へお届けしたいnoteである。

Giro d'Italia 2023 complete route map (Image credit: RCS)

とりあえず見たもの

GCNのプレビュー動画

安心と信頼のGCN様のプレビュー動画を視聴。GCNサブスクに入っていなくてもYouTubeで観ることができる。
何がいいって、30分以内で終わるのがいい。内容がコースと注目選手、総合表彰台予想と大変プレーンで、余計な話がないのもいい。

他にも是非チェックしたい動画とかポッドキャストはいっぱいあるのだが、長いねん全部。いやホント1時間超とか、みんないつチェックしてるの?実は一日30時間あるの?影武者がいるの?

公式web

ガリバルディと呼ばれるロードブックが毎年掲載されるので、ざっくり読む。コース情報などめぼしいことはここに全部書いてある。
なお広告が多いので、見た目程ボリュームはない。

準備

コース概要・スタート/フィニッシュ、配信開始時間まとめ

ジロ、J SPORTS、そしてGCNの公式webを確認して、全21ステージのコース概要と時間情報をまとめたメモを作っておく。

ちまちまと情報を転記した自分用メモ。

何故こんなものを作るのか?予定調整のためである。
期間中はできるだけ早く視聴体制に入りたいが、そうは言っても仕事やなんやで思わぬ予定が入ったり、帰宅が遅くなることもある。そんな時、平坦ステージならまあ最後30km観られたらいいかとか、今日は逃げが決まりそうだから早く帰ってスタート直後のアタック合戦を観るぞとか、そういう計算をするために使う。

これだけやったらもう時間切れ十分である。それではプレビューいってみよう。

コースプレビュー

第1週

イタリア国内スタートで、移動日がないので第1週が長い。

今年のジロも個人タイムトライアルでスタート。GCNのプレビュー動画によると「おそらく主催者がレムコ・エヴェネプールのために用意したコース」とのことだが、エヴェネプールと並ぶ注目選手にして東京五輪金メダリストのプリモシュ・ログリッチ、TTスペシャリストのフィリッポ・ガンナなど優勝候補多数のため、初日から大盛り上がり間違いなし。誰が勝ってマリアローザ(総合リーダジャージ)を獲得するかに注目が集まる。

第1週最終日の第9ステージも個人タイムトライアルだが、35kmと距離が長い。初日は登りありのテクニカルなレイアウトであるのに対して、この日は平坦基調。約30kmのフラットな個人タイムトライアルといえば、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージではエヴェネプールがログリッチに1分弱の差をつけて圧勝したが、今回はどうなるだろうか。

総合争いでは大会最初の山岳ステージにして山頂フィニッシュが登場する第7ステージに注目。いわゆる「最初のテスト」で、延々と続く山道を舞台に総合優勝を狙う選手たちが火花を散らす。

この日のフィニッシュであるグラン・サッソ・ディタリアが前回登場したのは2018年大会。マリアローザを着たサイモン・イェーツが鮮やかに勝利を飾った。
雑プレビューにも関わらずイェーツ豆を入れずにいられない自分…この時のサイモンの背中には羽根が生えていた。彼は昨年宣言した通り今年からツールにシフトするので、ジロはしばらくお休みである。

第2週

いよいよジロ本番スタートという感じ。

大会最初の難易度5つ星となる第13ステージでチーマ・コッピ(大会最高峰)が登場。標高2,469mのグラン・サン・ベルナルド山頂は先週時点で4mの雪壁に覆われていたそうで、走るの無理なんじゃね?ジロあるあるで、カットされそうな予感がぷんぷんする。

ベルガモ湖にフィニッシュする第15ステージはミニ・イル・ロンバルディア。アップダウンと平坦で構成されたパンチのあるコースで、総合争いと逃げ切り両方の展開があり得るコース。今年のジロで楽しみな日のひとつだ。

第3週

休息日明けからフルスロットル。第16ステージは難易度5つ星の山岳ステージ、しかも200km超え。で、獲得標高5,200mの翌日が300mしか登らない平坦ステージという緩急がいかにもジロらしい。バランスって言葉知ってます?

第18ステージから本当の総合争いがスタート。山岳TTで締めくくる3連戦のスタートである。第19ステージが今年の「タッポーネ(最難関ステージ)」で、ドロミテ山脈のカテゴリー山岳5つが詰め込まれている。そのうち3つが標高2000m超え、過酷さは推して知るべし。

第20ステージは今大会最後の個人タイムトライアル。18.6kmで1,050m登るというプロフィールからうかがえる通りの激坂ステージ。最後の7.3kmは平均勾配12.3%と強烈な登りが続く。
グランツール最終決戦の山岳TTといえば2020年のツール・ド・フランス。あの日は世紀の大逆転が起こった。あの衝撃を超える何かが起こる、かもしれない。

ちなみに最終日はローマでのスプリント。個人タイムトライアルで終わることが多いジロだが、今年はマリアローザのパレードランを拝むことができる。

注目選手プレビュー

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)

現世界チャンピオンにして昨年のブエルタ覇者、銀河系GCライダーとして成長街道を爆走中のエヴェネプールが果たしてジロをどこまで戦えるんかい、というのが世界中の関心事である。昨年のブエルタ前にも同じようなことを言われていたが、ジロはブエルタに比べて登りの難易度が格段に高い。特に標高2,000mを超える山が多く登場する3週目まで力を残せるかがポイントになる。
またチームとしての登坂力がライバルチームに比べて劣るので、エヴェネプールが単独でライバルたちの攻撃に対処しなければならない場面が多そうなのも気になるところ。上手く立ち回ることができるか、23歳。

プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)

みんなエヴェネプールばっかり見てるけど、総合争いでは経験豊かなログリッチが一歩も二歩もリード、というのが大方の見方である。タイムトライアルも得意だし、スプリントにも強い。ボーナスタイムを含めてクレバーに差をつけてくるだろう。
ログリッチを支えるチームメイトの登坂力と経験も他チームを凌駕する…はずだったのだが、COVID-19の影響でメンバー入れ替えが複数発生し、やや不安が残る布陣になってしまった。

ゲラント・トーマス、テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ)

経験という点ではゲラント・トーマスを忘れてはいけない。ポガチャルとヴィンゲゴー(とユンボの愉快な仲間たち)が宇宙大戦争を繰り広げた昨年のツールで堂々の総合3位入賞を果たした剛の者である。個人タイムトライアルも強い。
そんなGとWエースを張るのが2020年ジロ覇者のゲイガンハート。一昨年と昨年は怪我や病気により本調子で走ることができなかった彼が今季は絶好調。友人の贔屓目(筆者はゲイガンハートとはお友達で、ファンコミュニティーを運営しています)を差し引いて見ても、総合上位に食い込んでくると思われる。余談だが、最近髪の毛を切ってほぼ坊主になったので、チームのロースター発表写真とは別人になっている。
イネオスはアシスト陣も超強力だし、個人タイムトライアル元世界チャンプにしてジロのTTステージでは負けなしのガンナさんもいるので、なんやかんやでレースを盛り上げてくれるでしょう。

その他

総合ではいいチームを連れてきているUAEがダークホース。エースはアルメイダだろうが、ツアー・ダウンアンダーを制したヴァインが楽しみ。

スプリントはピーダスンが複数ステージを勝ってスプリント賞を持って帰りそう。マシューズも勝ってほしい、というか勝たないとジェイコはUCIポイントランキング的にやばい。
もっとやばいのがアスタナだが、何故このチームはカヴェンディッシュにスプリントトレインを付けてあげないのだろうか…プロトン七不思議のひとつである。