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#引き継ぎがその人の価値になる

先日、私の仕事の後任の、そのまた後任の後任ぐらいの人から相談を受けました。

前任者から引き継ぎを受けた後、わからないところがあったのに、結局教えてもらえず困っているとの事で、回り回って私に質問がきたようです。残念ながら、引き継ぎがうまくいかなかったようで、その内容を聞くと、思ったより深刻でした。

引き継ぎというのは、引き継ぎを受けた直後からは、受け手の責任になってきます。それが引き継ぎをした側の落ち度としても。だからこそ、受け手にとっても引き継ぎは成功させなくてはならないものだと思います。

私の元上司が、「永遠さんが出した数字は固かった」と彼女に言っていたようで、私に聞いてみるように言われたようです。人づてに褒められると嬉しいものでした。

ただ、私がその仕事をしていたのが、3年か4年も前なので、もう何の参考にもならないかもしれないけどいいのかな?と思いつつ、古いメールを探して、参考になりそうなメールを彼女に転送しました。

彼女とそんなやり取りをしていると、引き継ぎにまつわる過去のほろ苦い記憶が蘇りました。私があまりに若く頼りなく、色々な感情がまだ未熟だった頃に遡ります。

『上手な引き継ぎをしたら、あなたの価値が上がる』

20代後半。秘書の仕事から、突然異動することになったのですが、異動の話があまりにも急で気持ちの整理がつかず、しかも当時の上司から「3日で引き継ぎをするように」との指示がありパニック状態に。仕事への思い入れもあいまって、モヤモヤしている気持ちの中、私の気持ちを押してくれたのが、隣の席の同僚の一言でした。

上手な引き継ぎをしたら、あなたの価値が上がるよ。後任の人がしっかり仕事をしていたら、あなたがちゃんと引き継ぎをしたという事になって、評価が上がるから良い引き継ぎをするんだよ。」その言葉が頭から離れなくなりました。

その人に、自分の心情を言ったわけでもなかったのに、何故か見透かされていたようでした。私はただ彼のその言葉に頷きました。

私のその時の心情というのは、こんな感じでした。『思い入れがある仕事を、最短で引き継ぎをして出ていかなくてはいけなくて、しかも出て行くのは寂しい』
しかし、同僚のその言葉を聞いて、それもそうかと思い直し、しっかりマニュアルを練り直すことに専念しました。難しい上司の取り扱い説明書も作成しました。
上司の取り扱い説明書には、食べ物は◯◯が嫌い、席の後ろを通るのが嫌い、ccには出来るだけ入れない、何事もまず1番に相談する…など、本当に細かい事まで記しました。後日談ですが、その取り扱い説明書が、後にその次の後任まで引き継がれ、とても重宝されたようです。

私が去った後、後任の秘書が優秀だと人づてに聞きました。私と比べてやはり優秀なのかと納得とともに悔しい気持ちもありましたが、嬉しい気持ちにもなりました。そうか、私が褒められたと思ったら良いのだと、気持ちが落ち着きました。

初めての異動を経験し、私はいつか仕事は引き継ぐものなのだ、と身をもって学びました。
私がいる部署に、女性の先輩がいなかったので、ほとんどの基本的なことを自分で気づいていかないといけなかったのです。

仕事は、個人に紐づいたものではなく、たまたま、その仕事にご縁があったのが私だっただけ。その仕事がさも自分の物のように思えたら危険ですよね。

それ以来、自分が他の人に仕事を引き継ぐ時は、本当にそれこそ真剣そのもので取り組みました。
あの時彼が言った言葉は正しかったのか、わかりません。他の人から同じ言葉を聞いた事がなくて。
ただ、その言葉の通りになるように、私はしたいなと思っています。現実を動かすことが出来るのは、他ならぬ自分なのです。

異動後に残るもの

幾度かの引き継ぎを受けたり、引き継ぎをしたりしていくうちに気付いたことがありました。

気付きというのは、引き継ぎは、自分がその仕事の担い手になった瞬間から始まっているのではということです。

引き継ぎ期間は短く、1人でやらないといけなくなった時に1番参考にするのが、前任者がしてきたことになります。何もなく、最初から自分で判断というのはまず無理ですし、危険かと思います。

しっかりした仕事をすることは、きちんと痕跡を残していくことにもなり、しいては仕事を引き継ぐことにつながるのではないでしょうか。

物理的に資料もそうですが、目に見えないけれど確かなもの、例えば、後から残る、部署への信頼だったり評価などが残る気がします。その目に見えないものを引き継ぐことこそが大事なことだと思います。

引き継ぎをするのに、大事なのは?

引き継ぎに必要なのは何でしょうか。
マニュアルも大事ですが、やはり引き継ぎをするにあたり、大事なのは残された人の事を考えて心をこめて引き継ぐことだと思います。
あまりに普通のことですが、結構それが難しいかもしれません。自分が引き継ぎをされる側になったことをイメージするのがいいのかもしれないですね。

引き継ぎを受ける方も、やはり気持ちとしては、気持ち良く受けるのが良いのではと思います。質問は引き継ぎの時に出来るだけするとか、それもまた引き継ぎの成功には必要かと思います。

いずれ来たる日のために

今回、自分の何代か後の後任からの相談でしたが、何となく自分がその一端をまだ担っている気もして、あらためて引き継ぎの大切さについて考える機会になりました。

いずれ誰かにいつでも引き継げるようにマニュアルを更新しておきたいと思いますし、毎日、いつか来たる引き継ぎの日に向けて、後輩のためにも良い仕事をしておきたいと思います。

私が最初の引き継ぎの時に目指したものは自分への評価を上げたいという、個人的なものでしたが、長い年月とともに後任の人や部署に貢献したいという気持ちの方が強くなりました。

引き継ぎは、残された人のために出来る、1番大事な仕事と言えますね。
ただ、残念ながら、引き継ぎがうまくいかないことも多くて、身につまされることがあります。異動の数年後に聞かれても答えられるように、私も覚えておきたいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。😊


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