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恋心という異物と暮らした1ヶ月

前回に続き、またしても恋愛ネタなんだけど、本当に感情って過ぎると忘れちゃうのよね。毎日ありありと感じていたことでも、慣れると忘れちゃう。

忘れる前に、せめてここに落とし込みたい。なので書いてみる。

彼と出会ったのは9月の第一週。
本当に血液が沸騰しているのかと思うほどにドキドキがおさまらなかった。

2度目に会う約束をしたのはその1週間後。
会うまでの間の、LINEが来ないかスマホを握りしめたりして、いつもは寝室に持ち込まないと決めているのに連絡が来るかもとドキドキ待ち受け画面を見つめる日々。

2度目に会ったのはカジュアルなイタリアンレストランで、遅れたことを詫びる彼の姿に、わたしがもし犬だったら引きちぎれんばかりに尻尾を振っていただろうに平静を装って普通におしゃべりをした。やっぱり彼と飲むビールは美味しかった。

その帰りに、恋心が耐え切れず、目も合わせられないまま告白して両思いがわかって家に帰る時も、まだまだ夢見心地で、わたしの人生に久しぶりに現れた恋心ってやつを馴染ませるのにまだまだ時間がかかりそうだった。

これがずっと続かないかもしれない。続いて欲しい。彼のことが好きだ。別れてもすぐ会いたい。心がとても忙しかった。恋の病とはまさにこのことよ。

3度目はその翌週に彼の好きなアーティストのライブに一緒に行った。駅の改札ですぐに彼を見つけた。たくさん人がいてもすぐ見つけられた。恋心は目のセンサーさえもバージョンアップさせる。お利口ね。

手を繋いでくれる彼にキュンキュンしながら会場に向かった。まだ彼と手を繋ぐという行為がわたしの生活に馴染んでいなくて、でも少しずつ異例のことから通例のことに変わっていくグラデーションが心地よかった。

ライブの後で一緒にビールを飲んで、やっぱり彼と飲むビールは美味しくてたくさん飲んでしまった。酔いもあり、わたし自身のこれまでの人より多めなセクシャル経験値について触れたときも、興味をもちこそすれ、否定の態度は一切出なかった。

その後一緒に寝て、それがすごく心地良くて、お互いの身体が馴染んでいくのを感じられた。物理的快楽ももちろんあるけれど、一つになるってことが心から嬉しいなって思えた。

4度目はうちに泊まりに来て、猫たちともご挨拶してもらった。事前に猫たちには大切な人が来るよと伝えていたので、和やかに交流できた。(本当にいい子たち!!)

簡単なおつまみを作って、ビールを飲んでやっぱり美味しくて、見栄を張ることもなく暮らしを共にできる感覚が自然と湧き起こってきた。みんなで楽しく過ごせたらいいなって。出来そうだなって。

5度目のデートのとき、もう恋心がはちゃめちゃになることはなかった。わたしにとって彼という存在がインストールされた。

一緒にいることが自然で、触れ合うことは自然で、思い合っているこの現実をしっかりと受け止めることが出来ていた。

もう寝室にスマホは持ち込まなくて平気だし、次の約束をヒリヒリしながら取り付ける必要もない。1ヶ月という時間がしっかりと”彼といるわたし自身”も育ててくれたみたい。

もちろん恋心は消えてはいないけれど、激しくて振り回されるような第一形態から、じんわりと育んでいく第二形態に変化した模様。この異物と一体化できる日もそう遠くないだろう。それが今は楽しみだ。

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