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痴漢された事実を認めたくなかった私

最近Netflixでリリースされた、未成年女性に対する性的暴行や人身売買の容疑で起訴され獄中自殺したとされる富豪ジェフリー・エプスタインのドキュメンタリーを視聴して、ここ数日考えてきたことを自分の中で整理するためにも、noteに書いてみようと思う。この記事についてポッドキャストも収録したので合わせて聞いて欲しい。

※過去に性被害を受けた方も含め、気分が悪くなりフラッシュバックやPTSDを誘発する恐れがあるので、無理をせず読んでいただければと思います。

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このシリーズは全部で4話配信されているのだが、言葉が悪いが1話目から見ていて「胸糞が悪く」なり、私は最後の4話をまだ視聴できずにいる。

政治的な方面から、ジェフリー・エプスタインは罠にめられた等の陰謀説や、その他にもいろんな見方があると思うが、彼に性的虐待を受けてきたサバイバーと呼ばれる被害者の女性たちの口から語られる、彼が犯したおぞましい性的虐待の描写は、一般の人が想像もつかないほど卑劣で残虐であり、到底そのサバイバーの女性たちがでっち上げた話とは思えないのである。「事実は小説より奇なり」とはこのことだ。

エプスタインの手口は、未成年の女の子たちを自宅に呼び出し、二人きりの部屋ではじめはマッサージと称して自らの脚を触らせ、その後女の子に裸になるように命令し、自らの陰茎を触らせたり口に含んで愛撫しオーラルセックスをするように命じ、時には強姦し、行為が終わると彼女らの手に200ドルを握らせ、ドライバー付きの車で自宅に送らせていたとういう。その行為から逃れたいと望む女の子には、他の未成年の女の子を連れてくるように言い、連れてくると報酬として200ドルを握らせ、共犯者に仕立て上あげる。家庭環境に恵まれず、経済的に困窮している女の子を好んで狙っていたという。親から虐待を受けていた女の子の中には、彼から渡される報酬のおかげで経済的に自立し、部屋を借りて生活できるようになったので感謝していたり、幼心ながら彼に身体を求められるうちに恋心をいだいてしまう少女もいたという。あるサバイバーの証言によると、エプスタインは非常に性欲が強く、1日に7回セックスをしないと収まらなかったという。それはもうセックス依存症である。こうして未成年のハーレム帝国を築き上げたジェフリー・エプスタインは起訴されながらも全く罪の意識がなく、反省もせず、責任も感じず、供述録では「どんな質問にも答えます」と言いながらも「被告の人権擁護のため弁護士の助言に従います」「人権保護の合衆国修正第5条、6条、14条を行使します」を連呼し、検察官の質問に一切答えないのである。そして最後には自殺しすべての真相を永遠の闇へと葬り去ったのである。(他殺の可能性もあるらしい)

裁判中エプスタインの弁護団は、被害者の少女を追いかけ回し「3回の堕胎は本当か?」「堕胎と性的マッサージとどっちが悪いと思う?」といった類のことを問いかけてきたという。(アメリカではキリスト教の教えから望まない妊娠であったとしても人工妊娠中絶には否定的な意見が多く、人工中絶が法律で禁止されている州もある)
10代の女性は(男性であっても)自分が正しいことをしているのかどうかの判断をするにはまだ未熟で、大人から非難されると「自分に落ち度があったから被害にあってしまった」と不安になってしまうほど脆いものである。

性被害にあったという人生の汚点

性被害に会う女性は、自らに落ち度がある、男と二人きりで会うのが悪い、肌の露出が多い服を着ているのが悪い、拒否しなかったのが悪い、と必ず言われる。時には自身の親からも言われるのである。そのように非難され助けを求められない被害者は「被害にあった自分が悪い、だったらその事実を隠しておきたい」というのが一般的な思考ではないだろうか?

私が物心をついてからはっきり記憶として思い出せるのは高校時代からなのだが、小学校低学年の頃に痴漢の被害にあった記憶は今でもハッキリ覚えている。学校帰りだっただろうか、私は住んでいたマンションの入り口にひとりでいた。そこにメガネを掛けた30代前後の細身で顔色の悪い男に「〇〇小学校はどこですか?」と訪ねられた。日頃から「知らない人に話しかけられてもついていってはいけない」と言われていたが、私の通ってる小学校だし、道を教えるくらいの事はしてあげた方がいいんじゃないかと思い「あっち」と通学路の道を指差した。そうするとその男は「よく分からないから、高い所から教えて」と言って、マンションの3階の階段の踊り場まで私をつれて言った。踊り場で私は「あっちの方」と指をさしていたら、不意にその男が私の身体を持ち上げ、私の股間に指を押し付けてきた。私は何をされているのか分からず、その不快感から逃れようと身体を動かすと、その男の指が下着越しに私の小陰唇の割れ目にグイっとさらに食い込み、無理やり押し付けられた痛さでとても不快だった。だがこの時点で私はまだ自分が痴漢されているという認識がないのである。どうやってその男から逃げたか覚えていないが、家に帰ってから自分が悪い事をした気分になり、親にその事があった事を伝えられずにいたと思う。あれが痴漢だったと認識できるようになったのはここ数年の話である。それまでは「あんな行為をされたのは自分に落ち度がある」「知らない人について行ってはいけないと言われていたのに、その約束を破ったからバチが当たった」「痴漢された私は汚れている」と無意識にその記憶を抑え込んでいた。

近年の#MeTooムーブメントに私は「セクハラされている女性って気の毒だな、なんで被害にあった時に言わなかったんだろう」程度にしか考えていなかったのだが、エプスタインのドキュメンタリーの後半で、被害者である女性たちが「#MeTooムーブメントのおかげで『自分も性被害をうけた』と声をあげれるようになり、同じ経験をした女性がいると分かり苦しみが軽減された」と聞いて改めて考えるようになった。彼女らは性的に搾取され、さらにはねずみ講のように別の少女を紹介する人身売買のスカウトとして働かされ、罪の意識にさいなまれながらもその体験を事細かに語っているのだが、性的虐待や痴漢された女性は決して汚れていない、悪いのは私ではなく加害者だと声をあげることが正しい思考だと分かり、やっと自分が正当化できるようになった。痴漢された私は決して汚れていない。

実生活でもネット上でも強い女性でありたいと思うがため、過去に痴漢された事実を認めることができず、いままで否定して生きていたが、それを開放する事によって同じような経験をしてきた人を、同じように罪の気持ちから開放してあげれるのではないかと思い、今回この記事を書いた。

まだ書きたい事があるのだが、長くなり焦点がずれそうなので、今回はここまでにしておく。続きは気が向いたら書こうと思う。

追記:私がこの記事を投稿するきっかけになった、友人の渡部アキちゃんのInstagramの投稿をシェアします。性被害とは違えど、摂食障害に悩まされている人の救いになればと思います。

他にも自身の性被害の体験や、実際に痴漢行為を目の当たりにした体験について書いているnoteを見つけたので、こちらも合わせて読んでみてください。

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