タコの天敵・タコの漁法・タコの再生能力



< タコの天敵 >

 続いて、天敵。これは多くの人が知っていますね。そうウツボです。タコもウツボも狭い岩陰を住処にするからタコにとってはとても面倒な相手です。出会いたくないのに出会ってしまう確立の高いところに行かなくてはならない。ちょっと可哀そうです。そして出会ったらもちろん戦いが始まります。とは言っても基本的に攻めるのはウツボ。防戦一方で耐えるのがタコ。ウツボはタコの頭部(腹部)を噛んでくる。タコは足(腕)でソコを守りつつ吸盤でウツボのエラを押さえて窒息させる。相手と戦う手法としてはウツボが有利すぎますね。タコのやり方は暗殺者の手口としてはいいですが、出会頭の戦いではとても効率のいいものとは言えませんね。忍者は身を隠し不意を突いて敵と戦いますが、正面切って戦えば侍には勝てないと聞きます。実際、稀にタコが勝つこともあるようですが、殆どの場合ウツボが勝利するようです。ウツボを捕獲して胃袋を確認するとタコが出てくることがよくあるそうです。


< タコの漁法 >

 そして漁法。基本的に『タコ壷漁』がメジャーです。昨今ではその壷も焼き物は少なくなっていてプラスチック製のものに変わってきています。ちょっと風情が感じられませんが仕方がないですね。漁師さんにしてみれば割れる心配のないプラスチックのものが扱いやすいに決まっています。実際に今まで数個蛸壺を店のディスプレイ用に手に入れましたが、割れてはいないものの全部にヒビが入っていました。それに蛸壺ってかなり重い。海底に沈めるからある程度重くなくてはならないですが、どちらにせよ強度が求められ結果的に厚みが必要。だからかなり重い。重いから雑に扱いたくなってきますが、そうすれば割れる。プラスチックに移行するのは漁師さんの立場からすると当然です。ところでこのタコ壷、とあるリサイクルショップの社長さんと話したことがあるのですが、結構高値で売れるそうです。花を活ける目的であったり、インテリア用であったり、外国人が買って帰ることも珍しくないそうです。

 蛸壺漁の他には、兵庫県明石市と対岸の淡路島にあるとある漁場では、底引き網で漁をすることがあるそうです。ということは海底が岩場でない海域なのかな? そういう場所でも漁が可能なのかな? っと思ってしまうのですが...。


< タコの再生能力 >

 最後に再生能力。タコの足(腕)は基本的に再生します。ウツボに襲われた際、トカゲの尻尾のように足(腕)を犠牲にしてその間に逃げることに成功することもあります。私の店に送られてくるタコも足(腕)が途中でなくなっていることがよくあります。その切断面から新しく細い足(腕)がニョキニョキッと生えているのをしばしば見かけます。凄いものです。ただ、再生しないケースもあります。タコは強いストレスがあると自分の足(腕)を食べることがわかっていて、その場合再生はされないと言われています。では何故自分で食べたときは再生されないのでしょう? 実はこれもはっきりわかっていないらしいです。ただ一つの説としてタコが自分の足(腕)を食べるのは、相当なストレスを抱えている環境であり栄養状態も非常に悪い。結果、

『脳が再生の指令を出しても、その再生に必要な内分泌ホルモンが合成できなくなるのではないか?』

ということだそうです。これを読むと『うんうん、なるほど...。』と納得しちゃいそうになるのですが... ただ思うのです。ウツボに襲われて足(腕)を食われるのって... ソレってもの凄いストレスじゃないですか? 結構な確率で死んじゃうんですよ。足(腕)だけじゃ済まないのですよ。だから結局は栄養状態だけが原因じゃないのかな? って。それともストレスの質が違うのかな? 学者さんごめんなさい。
因みにいろいろ調べたのですがタコがウツボに襲われたときに逃げられる確率はわかりませんでした。もし、知っている方がおられれば教えていただければと思います。また、ついでに余談ですがタコ、ウツボ、イセエビは3竦(すく)み関係であるとまことしやかに言われています。ヘビ、カエル、ナメクジがよく知られていますね。同じように(ちょっと違う部分もあるかな?)、

『タコがイセエビを食べ、イセエビがウツボを食べ、ウツボがタコを食べる。』

って... 

「いやいや、イセエビがウツボを襲って食べるってそれはないでしょう。」

皆さんもそう思うでしょ!!? 
っで、実際はイセエビがウツボの住む穴に入り込むことがあり、それを狙ったタコをウツボが待ち伏せして襲う。そういうことみたいです。そう、イセエビとウツボは共生関係であるとも言えます。だいたいイセエビがどうやってウツボを襲うんでしょう? 誰が言い出したのか? 誰が信じるのか? ウツボの穴にいるイセエビを見つけた漁師、もしくはそれを聞いた誰かが思い違いをして話を広げたんでしょうね。


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