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読ログ#7『東京を生きる』大好きで大嫌いな都市、東京

私は東京が大好きだ。

あんなに小さいのに、
あんなに大きい。

東京が本当に好きだ、とよく言う私は、何がそんなに好きなん?とよく聞かれる。

まずは、高層ビルが好き。大好き。
ど田舎で育ったからなのか、高層ビルを見ると胸が騒ぐ。
私もここで働きたい、高層ビルに囲まれてバリバリ働く自分をイメージするのがとんでもなく楽しい。
東京駅周辺、大手町や銀座、日本橋
高層ビルに囲まれていると、私の野心が、血が、昂ぶる。

そして東京に住む多くの人がそうかもしれないが、私もその例に漏れずお洒落な場所が好きだ。
代官山や恵比寿、表参道、青山、六本木
私は東京に行くと必ず代官山と恵比寿、六本木に行く。(用事があるからという理由もある)

そしてあまり理解されないのが最後の理由なんだけれど、
新宿や渋谷の隠しきれていない”闇”みたいなものが好きだ。
なんと表現したらいいのか、汚くて、ごちゃごちゃしたものを無理やり再開発で綺麗にしようとしている感じ。
でも滲み出てくる汚さというか、乱雑さというか、人間の闇みたいなものを感じる。
なんと言うか、とても日本的だと私は感じるのだ。
そしてその汚さと綺麗さが並存している、人間臭さ。愚かさ。
それに気づかないようにしているのか、気づいているけど隠しているのか、隠しきれていないのか、分からないがそんな都市に住む日本人がどことなく愛らしいと思う。
東京に限らず、私が都市を好きなのにはそういった理由がある。

ちなみに私は東京に滞在する時、その滞在期間ずっと同じプレイリストを再生し続ける。
滞在期間のどこかで、毎回”東京街ぶらり”みたいな感じで何十キロも歩く日を作るのだけど、街を歩いている時も、移動の電車の中でも、そのプレイリストを再生し続ける。
関西に戻った時もそのプレイリストを聞けば、その東京での滞在期間に感じた気持ちや、景色を思い出すことができる。


2020年の春は、
向井太一の道、清水翔太のmy boo、simple planのsummer paradise、レペゼンのLife goes onなどを聞いていた。
ちなみに選曲だが、毎回適当にその時に聞いているものが自然とプレイリストになる感じだ。my booは2年前くらいに自分のブームだった事をふと思い出して聞いたら、再ブームが来た。

今回は特に「道」を嫌になるほど聞いた。

「道」を聞いていると、東京に行った初日の夜、恵比寿の事務所を出て代官山に向かって歩いたことを思い出す。
気持ちいい夜風を浴びながら、一足しか持って行っていなかった就活用の黒のパンプスで痛い足を引きずりながら、重い荷物を両肩に提げて、代官山のTsiteに向かって坂を登った。
「東京って最高ー!」と思いながら。


「道」を聞くと、
とある会社の最終役員面接を終えてミッドタウンを出るとき、

この場所がいつの日か懐かしく思えるように
もっと上へ まだ遠くへ
続いてる

という、歌詞を聞いて「たとえ落ちても、その日を懐かしく振り返れるような未来にしてやる」
そう決心したのを思い出す。

絶対に次回はぺたんこの靴を持って行くんだぞ、自分!!!




私はまだ、東京を語れる程、東京を知らない。


何度行っても、まだまだ行ったことのない場所がある。
東京を制覇するには何年かかるんだろうか。

私は東京に住んだことがない。
東京に住む人は、どんな気持ちで住んでいるのだろう。

あんなに人がいて、
だけど私はひとりぼっち、みたいな夜を過ごす人はどのくらいいるのだろう。

私は夜の東京がちょっと怖い。


世界中の女の子が憧れる都市は、決まっている。パリ、ニューヨーク、ロンドン、東京。
私はそれらの都市を、身に纏いたかった。
東京という都市の殻を、自分の身に。

その殻を纏えば、自分はこれまでとは違う自分になれる。洗練された人になれると信じていたし、全身で「東京の人」になろうとしていた。

こういうのが「東京の女の子」なのだと思うかたちに、自分を近づけていくのは、楽しいとか苦しいとかではなく、そうすべき義務のようだった。
「東京の女の子」になるために東京に来たのだから。

私は東京に来てから、うっかり方言を使ったことは一度もない。同じ地元の人に「魂を捨てた」と罵倒されたこともある。心の中では、「魂を捨てる気がないのなら別の土地になんか来なければいいのに」と思っていた。魂を捨てて、私は何を得ようとしていたのだろうか。

ときどき、何を捨てずにいる人を見かける。喋りたい方言で喋り、怒りたい時に怒り、洗練なんかを目指さない人を。
私の思う「東京の女の子」は、そんな人ではなかったのに、そういう人は、東京の主役のように見える。
なんの殻もまとわず、ただ自分自身でそこに立っていて、世界のどこへ行っても、そのままの人であり続ける人。野蛮で美しく、いびつで、でもそのことが洗練そのもののように見える人。
私がなりたかったのは、そういう人ではなかったのだろうか。
東京の殻を纏うことができた、と感じた瞬間、東京で主役になれるのは、殻を纏うような女の子ではないと知った。


私は東京でどんな女になるのだろうか。
殻を纏おうとするのだろうか。

上手く纏えるのだろうか。


ちなみに私は東京が大嫌いでもある。
疲れていても座れないカフェ、
東京の駅は、本当に人に優しくない。
出口も分からん。
人にぶつかっても謝りもしないし、
東京は、ヒールを履いて歩きたいのに毎回のように靴づれするし、
着たい服はどれもバカみたいに高い。
ちっぽけな自分、
みんな何を見て、どこに向かっているのだろう。
周りを見ている人はいるのだろうか。



それでも、私は東京で生きたい。

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