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秋は可分

 いただいた栗、500gほどを茹でて、皮をむいてゆく。初めての栗仕事を黙々と続ける台所がもうひんやりしている。その夜は炊きあがった栗ごはんと思いがけない肌寒さのために急いでこしらえたシチューが食卓に並んだ。つまさきが冷える。珈琲がまたたく間に冷めてゆく。秋が秋らしからぬ鮮烈さでやってきた。人も草木も鳥も魚もこの夜の寒さに驚いているんじゃないだろうか。ふるえるひとりひとりに、ひとつひとつに、何か小さな拠り所があればと願いながら、ブランケットに包まったらあっという間に眠ってしまった。

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