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手紙を書くこと

手紙を書いていると、ふいにお返事の手紙をいただきます。
懐に飛び込んでくるようなやわらかでやさしい言葉たちが、いろんな町から。
手紙の企画(「星渡りの便り」)は一対一のものだと思ってはいますが、別の角度から見たらわたしはわたしを語ることをたくさんの人に聞いてもらっているということでしょう。
(いつだって、なんだって、もうずっと、そうかもしれない。むしろそれ以外のことがあるだろうか、)
それでも、こうして手紙を受け取るとわたしはあなたがあなたを語ってくれることがうれしい。
ありがとうございます。
お返事が毎月の手紙の発送のタイミングになってしまい申し訳ないですが、住まいを変えても私の名に手紙がやってくることのよろこびと感謝の気持ちを日々感じています。

「星渡りの便り」にはいつも手書きのお便りを入れていて、入稿を終えたら印刷物が届くまでの間はスーパーお便りタイムとしてせっせとおひとりずつに書いています。
備考欄に書いてくださったメッセージへのお返事、いただいていたお手紙へのお返事、などなどひとりずつに手書きの手紙が書けるよろこび。時間はかかるけれど、ここに時間が割けないならばこの企画をする意味がない。効率を、生産性を、重んじないでいても誰にも咎められたりしない。私は私の仕事として、ひとりでひとりへ手紙を書いている。
その人の名前を書くとき、これはこの人が一番たくさん書いてきた名前なのだと、そんなことをつい思ってしまいます。顔も見たことのないひとの手に手を重ねているような、生きてきた歳月に触れるような、厳かな気持ちになる。知らないけれど、知っている。見えないけれど、生涯見ることはないのかもしれないけれど、想像している。たくさんのあなたのことを。

手紙を書くことに飽きたりするだろうか。
話しかけるように詩を書くことに満足したりするのかな、いつか、これ以上の手立てが見つかれば?人間に話しかけることに疲れたら?先のことはわからないけれど、一生やっていたいなって思えることが見つかってよかった。私はラッキーだったなあ。

宛先があってこその、手紙。
書かないと、届かない手紙。
生きているから、出逢えるひと。
生きているから、受け取れる手紙。

いつもありがとうございます。
ここで満たされています。
この星にてさまざまな感情に生きながらも
こうして言い切れるのは、こんな風にあなたにふれられるから。


「星渡りの便り」は今月と来月で終わりです。
半年間の旅に連れ添っていただいている方々、いよいよです。

今月は12月8日まで受け付けています。


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