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不安のかたまりを小分けにする。 ひとつずつと膝を突き合わせて、ひとつずつに時間と心を分ける。ひとつに取り組んでいるあいだ、他の不安とは向き合えない。向き合えないのだから、向き合わない。ひとつひとつじっと見て、考えたり、ひらめいたりしながら、一緒に移動してゆく。すこしずつ見えてくる。わかってくる。なんとなく大丈夫になる。 ひとつの不安が大丈夫になったかろやかさをよろこびながら、残っている他の不安の隣へしゃがみこみ話をする。そのうちまた一緒に歩き出してみる。ゆっくりのびやか
いただいた栗、500gほどを茹でて、皮をむいてゆく。初めての栗仕事を黙々と続ける台所がもうひんやりしている。その夜は炊きあがった栗ごはんと思いがけない肌寒さのために急いでこしらえたシチューが食卓に並んだ。つまさきが冷える。珈琲がまたたく間に冷めてゆく。秋が秋らしからぬ鮮烈さでやってきた。人も草木も鳥も魚もこの夜の寒さに驚いているんじゃないだろうか。ふるえるひとりひとりに、ひとつひとつに、何か小さな拠り所があればと願いながら、ブランケットに包まったらあっという間に眠ってしまっ