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祈りのぐるり

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特定の信仰を持たず、それでいて目には見えないものを頼りにしてきた自分がこの度牧師を務めとする人と結婚するにあたり「祈り」について考えたり、言葉を拾ったりしたものを書いてゆきます。
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2023年10月の記事一覧

親愛なる身体への便り

 身体はままならない。ずっとそう思っていた。心の在りように反して痛んだり、心の在りようを増幅させ痛んだりする。気持ちをうまく抑え込んでも、身体は痛みや苦しみを体現する。私の精神より自由なやつ。もしも内臓に性格があるなら持ち主とそうかけ離れてはいないだろうに、私よりずっと繊細で癇癪持ちでまるで幼い子のようにも思えた。その子は大きい声で泣ける。その子は痛みを不平とする。その子は自分が一番がいいのだ。だから、胃腸なんかは私にとって最も気を遣う相手だった。いつからか従えようとするので

祈りの中に、こころみの中に

 「我らをこころみにあわせず、悪より救い出したまえ」  この祈りを、別の言葉で、信じるものによらず、別の場所で、異なる名の、あるいは名もなき、おおきな力に向けて、祈っている人で溢れているのが、わたしたちのいるこの世界だ。今日生まれるかもしれない人に向けて世界のことを教えるとしたら、この世界には様々なものを信じる人がいることを教えたい。そうしたことが時に困難な世界であるけれども、しかし必ず可能であるべきだという希望を、希求する心を教えたい。生まれたばかりの人のつややかな瞳、ただ