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レトロ印刷で多色の冊子を刷った話

こんにちはムラヤマアヤノです!
突然ですがリソグラフってすごく魅力的ですよね。
印刷物ではあるのですが手作業感があったり、版によってズレが違ったり。
出来上がったものそれぞれに個性がある点がとっても気に入っています。

しかし、実際印刷するとなるとけっこう大変!
普段とはちょっとデータの作り方を変えないといけないし、
ページものはさらに複雑…

私はリソグラフファンとしてもっとたくさんの方の小冊子が見たい!
ということで今回はあえて「見開きごとに色が違うイラスト集」の印刷に挑戦しました。入稿はレトロ印刷さんにお願いしました。入稿データと刷り上がりの写真を公開するのでぜひとも制作の参考にしてください。ちなみに実物はこちらで購入できます。


STEP1:構想を練る

今回は12種類の見開きイラストを1つの冊子にまとめるというテーマで制作に取り掛かりました。
冊子は作れるページ数が決まっています。
12種類の見開きが必要なので24ページ+奥付け2ページあればちょうど良いのですが、ページの関係で28ページ用意する必要があることが判明しました。

イラレのアートボード上で構成を決めていきます。

画像は私が制作の時に仮組したものです。
表紙と裏表紙はカウントから外します。
ページ数をアートボード外に記載します。(青い文字で紙の枚数をカウントしています)
1枚の紙に裏表印刷するので4ページ分おさめることができます。
最初のページと最後のページは必ず半ページになるので注意が必要です。

STEP2:同じ色のページを整理する

そして同じ色にしなければいけない組み合わせをこの時点で考えます。
全部同じ色の組み合わせで印刷するならこの作業は必要ありません。
 今回は各イラスト2色で表現する+見開きごとに色を変えるという条件になります。

私が作った28ページの冊子だと、
・中表紙(p1)と奥付け(p28)が1枚目表
・P2とP27が1枚目裏に印刷、P3とP26が2枚目表に印刷。この4ページは同じ色になる。
・P4とP25が2枚目裏に印刷、P5とP24が3枚目表に印刷。この4ページは同じ色になる。
・P6とP23が3枚目裏に印刷、P7とP22が4枚目表に印刷。この4ページは同じ色になる。
・P8とP21が4枚目裏に印刷、P9とP20が5枚目表に印刷。この4ページは同じ色になる。
・P10とP19が5枚目裏に印刷、P11とP18が6枚目表に印刷。この4ページは同じ色になる。
・P12とP17が6枚目裏に印刷、P13とP16が7枚目表に印刷。この4ページは同じ色になる。
・P14とP15が7枚目裏に印刷。
という考え方になります。
一番ミスが無いのは紙を使って自分で組み立ててみることです。

STEP3:イラストを作成する

構成が決まったらイラストを作成します。
構成さえしっかり決まっていればイラストは自由に作成できます。

色、濃度ごとにレイヤー分けする
濃度はレイヤー濃度で調整します。ブラシ濃度は100%で描いた方が修正しやすいと感じました。

実際のデータです。各レイヤーを乗算にして擬似的にリソグラフ印刷を再現します。レイヤー分けできれば基本的にどのアプリケーションを使っても問題ありません。私はプロクリエイトで作成しました。
ここで作成したイラストがそのまま刷り上がりのイメージとなります。

STEP4:イラストを版分けする

作成したイラストの版分け作業です。今回は2色使うので1つのイラストデータから2つの版データを作ります。

手順は
1:先ほど作ったイラストの同じ色のレイヤーを統合。

同じ色を選択して⌘E

2:統合したレイヤーで片方の色は削除。レイヤー効果のカラーオーバーレイで#000000を適用。グレースケールに変換してレイヤーは統合。

黒色適用前にグレースケール化すると正しいデータになりません。
青版
黄色版

これを全てのイラストで行います。データ名はページ番号と色の名前をつけるのがわかりやすくて良いと思います。
このデータはそのまま入稿には使いません。

STEP5:入稿データを作る

いよいよ入稿データを作ります。
入稿データは1枚ずつ、裏表それぞれ別のデータで作ります。
入稿データの名前は印刷会社さんのルールに従います。
レトロ印刷さんは「honbunページ数_裏or面_色」になります。

表面入稿データサンプル

左綴じの場合、表面は左半分が偶数の古い数、右半分が奇数の若い数になります。
欄外にページ数を記載すると混乱が少なくなります。
私はillustratorでデータを作りました。
右ページ、左ページでそれぞれクリッピングマスクを作り、「リンク」タブの「リンクを再設定」を使って画像を入れ替えてデータを作っていく方式です。

裏面入稿データサンプル

裏面は左半分が偶数の若い数、右半分が奇数の古い数になります。
2色刷りのページはデータを複製して色の違うデータのリンクを再設定をして作ります。

2色刷り28ページのデータはこんなかんじ

表紙の入稿データは本文とは分けて作成します。
私は今回、用紙をねずみ、若草1色のツヤプリにしました。

ミシン糸の製本はとてもかわいい。

入稿は極力ミスがないことが重要ですが、大きな間違いがあれば印刷所さんが連絡して指摘してくれます。
私もサポートしてもらい、今回の入稿を完遂することができました。

仕上がったページはこちら。

p10,p11
p18,p19

こちらの該当ページの入稿データは以下になります。

5枚目裏p10.p19 青
5枚目裏p10.p19 黄
6枚目表p18.p11 青
6枚目表p18.p11 黄

作るのは確かに大変なのですが、仕上がった冊子を手に取った時の達成感はかなりのものです。
私も上手く解説できた気はしないのですが、少しでもやってみたいなと思う方が増えたら嬉しいです!

ここまでご閲覧ありがとうございました!

濃度と色の重なりで様々な表現ができます!

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