見出し画像

救える命と救えない命 第四話

PM16:37~坂之上出張所~

高瀬:眠い…
○○:少し仮眠したら?
高瀬:そうします…
中元:そういえば、今日の夕飯の担当って誰でしたっけ?
○○:今日は...齋藤だな...
高瀬:・・・
京子:今日はいつもより頑張ります
佐藤:ちなみに今日の夕飯のメニューは?
京子:ナポリタンです
高瀬○○絢音中元坂井佐藤:・・・
丹生:皆さんどうかしたんですか?
○○:いや、なんでもない…
丹生:?

指令:ピロピロピロ。中層建物崩壊。第一出動。中区坂之上日向坂1丁目2番8号。出動隊。坂之上、坂之上救急、坂之上ミニ、中第二、中指揮、中ミニ、中第一救急、中第二救急、坂之下、坂之下救急、坂之下ミニ。40分

○○:建物崩壊?
絢音:どういうことですか?
○○:わからん…
坂井:とりあえず、現場行くぞ!
○○京子絢音高瀬山崎:よし!
佐藤中元丹生:はい!

~坂之上出張所前~

○○マイク:消防車災害出動します!消防車災害出動します!

救急車:救急車が出動します。ご注意ください

ウーーーーーウーーーーーウーーーーー
ピーポーピーポーピーポー

~現場前~

○○:後方よし!降車...
絢音:降車...
京子:どうなってるのこれ...
○○:隣の工事現場のクレーンが倒れてきたのか...
中元:隊長...YMATの要請をお願いします...
佐藤:ああ...そうだな...
○○:隊長...SRの要請を...
坂井:ああ...

佐藤無線:坂之上救急から消防横浜...

坂井無線:坂之上救助から消防横浜...

下救1:坂之下救急隊現着...
下救2:何これ...
坂下1:と、とにかく準備するぞ!
坂下2:よ、よし!

坂井:SRの現着が遅れるそうだ...
絢音:何でですか!?
坂井:SRは西区で起きた建物火災と鶴見区で起きた水難救助事案に対応中だ...
絢音:そうですか...
坂井:とにかく、SRが来るまでは坂之上隊と坂之下隊、中隊で検索を実施する。各自準備してくれ!
全員:よし!

中指1:中隊は玄関から、坂之下隊は裏口から、坂之上隊は横側から検索をしてくれ
全員:よし!

~現場建物前~

坂井:入れそうか?
○○:なんとか入れそうですけど…いつ崩壊するかわからない状態です…
坂井:そうか...気を付けて侵入しろ!
○○:よし!

~現場建物内~

○○:足元気を付けろよ!
絢音:よし!
○○:階段は塞がってるか...

~現場前~

中元:準備はどうしますか?
坂井:とりあえず、トリアージタグ頼む
中元:はい
丹生:・・・

~現場建物内~

○○:誰かいませんか!横浜消防です!
絢音:誰かいませんか!
京子:居たら返事してください!

中二1無線:要救助者発見
中指1無線:了解

○○:あっち側で要救助者か...

坂下1無線:要救助者発見
中指1無線:了解

京子:こっち側でも見つかりました
○○:ああ...
絢音:要救助者発見!
○○京子:!?
絢音:大丈夫ですか?
女性1:あ.足が...
絢音:足?
(女性の足が瓦礫に挟まってる)
絢音:!?今助けますからね!
○○:鈴木待て!
絢音:え?なんでですか!?これならすぐ除去できます!
○○:いいから待て!

○○無線:佐々木から坂井隊長。要救助者発見。足が瓦礫に挟まれておりクラッシュシンドロームの可能性あり。YMATを要請します

絢音:!?
京子:今お医者さん来ますからね

~数分後~

~現場前~

下救1:収容します!

坂井:どういうつもりだ!
絢音:・・・
坂井:お前は救助隊員だろ!クラッシュシンドロームも知らないでどうする!
絢音:すみません...
坂井:佐々木が居なかったら大変なことになってたぞ!
絢音:はい...

~坂之下救急隊車内~

女性1:あの...家族は?
下救2:旦那さんも息子さんも無事ですよ~
女性1:娘は!?娘は無事なんですか!?
下救12:!?

~現場前~

下救1:大変です!娘さんがまだ中にいるそうです!
全員:!?
中指1:先ほどと同じように検索しろ!
全員:よし!

~現場建物内~

○○:誰かいませんか!
絢音:横浜消防です!
京子:居たら返事してください!
○○:居ないか...
京子:要救助者発見!
○○:大丈夫ですか?
女性2:は...ぃ…

○○無線:佐々木から坂井隊長。要救助者発見。意識レベル二桁。足がクレーンに挟まれてる状態です。YMATを要請します
坂井無線:わかった。向かわせる
○○無線:それと、我々の技術では救出ができません。SRはまだですか?
坂井無線:まだ掛かるそうだ…
○○無線:了解...

京子:エアバックで救助するのはどうですか?
○○:いや、エアバックを使うとクレーンのバランスが崩れる可能性がある…
深川:YMATです
○○:お疲れ様です
深川:状況は?
○○:要救助者は女性。足がクレーンに挟まれている状態。意識レベル二桁です
深川:救助は?
○○:今は安全確認が出来てますが、救助を始めれば安全確認ができないため我々では救助出来ません…
深川:そう...
秋元:どうしますか?
深川:足を切断する…
秋元:わかりました
○○:鈴木。ライト持ってこい
絢音:よし
深川:わかりますか?
女性2:は...い...
深川:今、あなたは足が倒れてきたクレーンの下敷きになっていて、抜け出せなくなっています。ですが、早く抜け出さないと危険な状態です。なので今からあなたを助けるために足を切断します。よろしいですね?
女性2:...は...い..
深川:ライトください
絢音:はい
秋元:消毒掛けます
深川:お願い

~数十分後~

~現場前~

○○:救急隊!
中元:そこにストレッチャー置く!
丹生:はい!
中元丹生:1.2.3!
中元:ストレッチャーに乗せて
絢音京子:1.2.3!
深川:大丈夫ですか!?
秋元:CPAです!
深川:圧迫する!
秋元:除細動付けます!
深川:1.2.3.4.5.6.7.8.9.30!
秋元:戻りません!
深川:時間取って…
秋元:はい...17時56分です…
深川:死亡確認...
全員:・・・
絢音:そんな...
丹生:大丈夫ですか!?今助けますからね!1.2.3.4.5!
(胸骨圧迫をする丹生)
中元:丹生ちゃん...
丹生:1.2.3.4.5…
○○:丹生!
丹生:!
○○:この方はもう亡くなってる...諦めろ...
丹生:そんな...😢
中元:丹生ちゃん...

中指1:これより、建物内の最終検索を実施する!
隊員達:よし!

~数時間後~

~坂之上出張所~

○○:隊長。出動報告書です
京子:隊長。私も書き終わりました
坂井:そこに置いておいてくれ
○○京子:はい
丹生:・・・
中元:隊長。出動報告書置いておきます
佐藤:ああ
丹生:・・・
高瀬:出動報告書書き終わりました
山崎:は〜い。そこに置いておいて~
高瀬:は~い
丹生:・・・
○○:丹生。大丈夫か?
丹生:大丈夫じゃないです...
○○:丹生。この仕事は要救助者や患者を必ず助けられるわけじゃないんだ...一人の死を引きずるとすぐ限界が来るぞ…
丹生:じゃあ…○○さんは助けられなかった人のことを忘れるんですか!?私にはそんなこと...😢
○○:忘れろなんて言ってない。俺は助けられなかった人のことを忘れたことなんか一回も無い
丹生:じゃあ…どうすれば...
○○:忘れる必要なんてない。次に同じことが起こった時に助けられるように訓練や練習をするんだ
丹生:・・・
○○:もう…同じ理由で亡くなる人を出さないために。それが…俺達がやるべきことだ...
丹生:...○○さん、ありがとうございます
○○:俺は何もしていないぞ?

指令:ピロピロピロ。救急指令。急病。第一出動。中区坂之上日向坂1丁目3番8号、共同住宅メゾンド・ヒナタ201号室。出動隊。坂之上救急。43分

○○:ほら、行ってこい!
丹生:はい!
中元:あ、○○さん。誘導...
○○:はいよ~

~坂之上出張所前~

○○:すみません。救急車出ます!

救急車:救急車が出動します。ご注意ください

ピーポーピーポーピーポー

○○:ご協力ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?