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「力技」という言葉に魅了されて

数ヶ月前に家のトイレの引き戸が壊れた。

レールから戸車が外れて開閉しずらい状態になり、修理屋を呼ぶのが面倒でそのまま使い続けていた。ある日、「私だってカリスマ職人の血が流れている。じっちゃんの名にかけて、母の名にかけて、私がこの引き戸を直す!」と言って、私は力技で扉を外した所、それまでよりもっと酷くなった。毎回トイレの扉の開閉をするたびに「バキバキバキっ」と大きな音がするようになり、中二の娘が夜中にイラついて扉をボコボコにする音を聞いて「扉が崩壊する前に、家族が崩壊する」と危機感を抱き、私はようやく重い腰をあげて修理を依頼した。

時に「力技」は大きな効力を発揮することもあるが、マイナスに働くこともあるのが現実。

(早く修理依頼しろよって話なんですがw)

そんな力技だが、私は決して嫌いじゃない。
仕事上、なんでもかんでもデジタルで済ませてしまいがちだが、仕事仲間が最後の最後で「あとはどうにもならないので力技です」と言ってアナログ的な手法を用いる場合がある。

よく「力技に頼るのはよくない」とか「みんながみんなに出来る方法で」とか、お手手繋いでゴールみたいなことを物申す人がいるけど、「力技」は力任せに頼るのではなくて、その人がその人なりに身につけた「技」であることも確かだということ。数ある手法の中で、その場で臨機応変にスピーディに解決するために力技を用いることは、私は決して悪いことだとは思わない。
なんだかかんだで、色んなやり方が出来る人は頼もしいとさえ思う。

そんな力技だが、私みたいに「自分には力技がある」と勘違いして引き戸を壊してしまう人もいるので気をつけて欲しい。

そうそう、「力技」の「勘違い」で思い出したエピソードが1つあるのでどうか聞いてほしい。

今から20年以上前、私は女子高時代から仲のいい、A子とB子とC子と4人で飲んでいた。
場所はA子の豪邸と私の家の中間地点で、B子とC子はそのままA子の豪邸に泊まることになっていた。私とA子は1駅違いなのでお互い自転車で来ていた。
その日もそれはそれは酔っ払った。
いつものごとく大喧嘩大会が始まり、20代半ばの女4人が泣く、わめく、怒鳴る、罵るのオンパレード、恐らく周りから見たら「こいつら大丈夫かよ」と思うかもしれないが、酔って誰も覚えていないのが現実で、私達にとってこんなのはいつものことだった。

それでも多分、その日は私が一番酔っていたと思われる。

いつもなら家に帰るところを私はA子の豪邸に泊まっていた。気付いた時にはA子の豪邸の床に寝ていて、A子の広い部屋のクイーンベッドにはB子とC子がピロートークをしていた。別の部屋からA子がきて、「なんで私が自分の部屋のベッドで寝てないのよ!しかも平山、なんでアンタが私のパジャマ着てんのよ。意味わかんないわ」
酔っ払いのすることは意味がわからない。
私達は散々前の晩にバトルをしたにも関わらず、翌日も二日酔いの中、昼過ぎまでA子の豪邸で喋り狂っていた。

そろそろ帰ると言って、私はA子の豪邸を出た。そして、玄関の前に停めてある自分の自転車を見て悲鳴を上げた。

ギャーっ

私はA子とB子とC子を急いで呼んだ。
すぐさま私の自転車を見て、3人は腹を抱えて笑い始めた。

私の自転車は、鍵がかかった後輪を力任せに1.5キロもの距離をズルズルと引きずったおかげで、見るも無残な程にパンクしていた。
それを見て、B子とC子が必死に前の晩の帰りを思い出している。

「泥酔しているアヤチを1人自転車で帰す訳にはいかないと思った」
「鍵のかかった自転車を運ばないといけない使命感に駆られた」
「アヤチが必死になって鍵の番号を唱えていたのを必死に無視した気がした」
「2人(B子とC子)で力を合わせて自転車を運んだと思っていた」

と言いながらも、

「自転車なんて店に置いてきゃいいじゃん、バカじゃねーのwww」
と最後は皆でツッコミを入れながら笑い転げた。

そして、そんな無残な自転車をズルズルと引きずりながら帰る私を見て、A子とB子とC子は腹を抱えて笑っていた。
それはそれは私も自転車同様無様な姿だったけど、笑いが提供出来たから良しとするか、と思いながら3キロ以上もの距離を自転車を引いて帰った。

これが、力技で、正義感を出して、勘違いして、(酔っ払って)、私の自転車をパンクさせたB子とC子の話です。
なんかそう考えると、男性は「力技」で成功するケースはあるけど、女性は「力技」があると思い込んで失敗するケースが多そう。

本来、力や体力はやはり男性の方があるのが科学的データベースでも明らかになってるから、差別とか平等とかの前に、男性、女性、お互いの特性を理解しながら生きていくのがいいと私は思います。

ということで、力技はほどほどに、今週も頑張りましょう。








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