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救急車を呼んでメンチカツを食べた夏の日の2023

つい先日の私の46歳の誕生日に沢山のコメントをありがとうございます。あ、間違えた。47歳だったwww
その中で、私はこんなコメントを返しています。


凛さんありがとう

そう、まさにこれが現実になったのはそれから3日後なんですよね。

7月半ばの猛暑日、私は大汗をかきながら帰宅すること17時半。
さっさとメイクを落とし、身体中の汗をふき、ビールを一気に流しこんだ。
職場近くにある肉屋の美味しいメンチカツを買ってきたので、夕飯は米を炊いて、味噌汁を作ってキャベツを万切り(←卑猥な意味は無い、私が切る千切りは万切りという)にするだけだ。実家の父と母にもお裾分けする為に多めに買ってきた。1個140円、高級住宅街価格にしては良心的だ。
それにしても夏い。暑い。

プルプルと携帯が震えた。見ると階下に住む82歳の父だった。出るや否や、

「今すぐ来てくれ。肩が痛い」

まだ夕飯の支度には少し時間があるし、何よりメンチカツがあるから大丈夫。私は父の所に行った。

「肩が痛い。死ぬかもしれない。お願いだから薬を貰ってきてくれ。ここの整形外科に行って薬を貰ってきてくれ」

その日は水曜日、診察券を見ると「休み」と書いてあった。
こういう時に思う。日本は医師の診断が無いと薬が貰えない不便な国だと。薬局はいっぱいあるのに薬剤師は何の権力も無いのだと哀れに思う。
そんな訳で私は近くのドラッグストアに買いに行こうと、一旦自分の家に戻り携帯と財布を取りに行くと・・・
「ロキソニン貼り薬」
少し前に、ママさんバレーで薬品会社に勤めるメンバーから貰ったものがあった。まさにナイスプレイ!私はそれを持って父の所に行って、肩にペタペタと貼ってあげた。
安心して自分の家に戻って、ビールの続きを飲んで米のスイッチを入れると、また携帯が震えた。

「肩が痛い!救急車を呼んでくれ!汗が止まらない!いいから早く救急車を呼べ!!!」

え?救急車呼ぶの?肩が痛くて救急車って呼んでいいの?
とりあえず私は様子を見に父の所に行った。

確かに猛烈に汗をかいている。
もしかして肩に湿布を貼り過ぎたのか?痛い痛いと言うからでっかいのを4枚も貼ってしまったが、効き過ぎて熱くなっちゃったのか?

「痛い痛い!救急車救急車!!!痛い!痛い!痛いんだよー。早くしてくれー」

うるさいなー、少しは我慢しろよ

と思ったけど私は言わない。
それにしても、こんなんで救急車って呼んでもいいのか?私は迷ったけど、父がうるさいから119に電話をしてしまった。

「82歳の高齢者です。肩が痛くて全身から汗をかいています。すみませんが本人が救急車を要望しています。」

すると救急隊員から一言

「今救急車が全部出払っています。そちらに向かうまでに時間がかかりますが大丈夫でしょうか?」

そうだよな、こんな猛暑日で恐らく熱中症が続出してるから、死ぬか生きるかっていったら熱中症だよな。肩が痛くて救急車なんて呼んだらそりゃ後回しにされるよ。

「大丈夫です」

と言って私は電話を切った。
救急車を要請したが後回しにされた事を父に話したが、相変わらず父は「痛い」「救急車」の連呼でうるさい。しまいには、「女房を呼べ!あいつは何をしているんだ!俺がこんなに生きるか死ぬかの瀬戸際で、あいつは何をしてるんだ!」と怒り出した。

誰がどう見ても生きるか死ぬかの瀬戸際じゃねーよ

と思ったが言わなかった。
私はうるさい父を放っておくわけにもいかず、二番目の兄に電話をして事の顛末とこれからどうすればいいかを相談した。兄は「今からすぐにそっちに向かう」と言ってくれた。代々木の家から一時間かけて来てくれるとの事だった。私は近くの総合病院に救急対応が出来るかどうかの電話をして、父をタクシーで連れて行くことにした。なにせ私はビールを飲んじゃったから。

とりあえず、もう一度119に電話をして救急車を断ろうとしていたら、逆に救急隊員から直接電話が来た。「今、〇〇にいますがこれから向かいます」と言われたけど私は断った。「ご迷惑おかけしました。これから総合病院にタクシーで向かいますので大丈夫です。」

とりあえず断ってホッとした。
たぶん、救急隊員の人が来たら迷惑がられるかもしれないと思ったからだ。

私は父の部屋に向かうと、父が母に八つ当たりをしていた。
「なんでお前はいつもそんなに俺を心配しないんだ!笑うな!お前の笑ってる顔なんて見たくない!」
と言って、父は母をタオルでひっぱたいていた。

ムカつく…

と思ったけど私は何も言わなかった。
こんな父と母なんて見たくないから、私はとりあえず一旦家に戻って自分の出かける準備をした。
娘がちょうど帰ってきてたから「ごめん。お母さんこれから病院行くことになった。オカズはここにメンチカツがあるからさ、あとはキャベツを百切りにしておいてくれる?」とお願いした。すると娘が「お母さん、頑張って!」と言って、私の口に厚切りクッキーを放り込んでくれた。なんていい娘なんだ。

私は支度をして階下に行き、父が変わらずわめき散らしているのを冷ややかな目で見ながらも、アプリでタクシーを呼んだ。父がなかなか用意が出来ないからタクシーを5分ぐらい待たせてしまったが、玄関から出て来た父は恰好付けて帽子までかぶっていた。

ちょ!痛いんじゃないのかよ!!!
しかも母までひょっこり玄関から出てきてるし

私「なんでお母さんまで付き添うの?」
母「だってお父さんがうるさいんだもん」
父「付き添うのは当たり前だろ!俺の女房なんだから!たまには付き添え!俺の姿を目に焼き付けさせなきゃダメだ!」

ジジイ何言ってるんだよ。こんなゾロゾロとみんなでお出かけじゃねーんだよ

と思ったが言わなかった。

そして私たち一行は総合病院の救急外来に向かうのであった・・・


*ごめんなさい、長くなってしまったので②に続きます。
心の声が醜くてどうもすみません。














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