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【囲碁本レビュー】布石の基本

詰碁と手筋の本のレビューが続いたので、本日は布石の問題集のレビュー。
先日ご紹介した「手筋の基本」と同じ高尾紳路九段の基本シリーズの一冊です。

こども教室で二桁級層に薦めている本ですが、私の好みに漏れず(?)幅広い棋力層向けの一冊です。

1.どんな本?

実質、定石の問題集ですが、定石を通して布石の考え方を学んでいくことのできる一冊です。
収録されている定石は13型ですが、分岐も含めるともっと載っています。最初に習うような星や三々、小目の定石のほか、中国流と両ガカリの5つの章に分けられています。

出題は定石ごとです。
出題に入る前には基本形とその流れがレクチャーされていて、問題に入りやすくなっています。

巻末には図も使用した囲碁用語集(布石に特化)があります。

2.対象棋力の目安

本の帯にも書いてあるのですが、初級者~初段くらいまで幅広く対応した内容になっています。

星の定石(三々含む)を扱う第2章あたりまでは初級者向け。
小目を扱う第3章あたりから10級前後以上といったところでしょうか。
選択肢がついている問題が多いので、第3章以降でも初級者の方も解きやすいと思います。

ちなみに具体的にどんな定石が載っているかというと、基本の星の受け定石から一間バサミ、三々(単三々・シマリや受けのある三々)、小目のツケヒキ、ケイマバサミ、大ゲイマガカリ、ハサミのある両ガカリなどです。

ピンと来ない定石のある方は、棋力関係なく読んでみるのもいいかもしれません。(私の表現が悪くてピンと来ない可能性もありますが……)

3.オススメポイント

・ 定石の選び方がわかる
「定石を覚えて二目弱くなり」という格言がありますが、あれは一生懸命手順を覚えても使い方がわからなくて、実戦で適した場所で使えないことを指しています。
この本では定石の選び方も問題で出題されているので、手順を覚えながら使い方も一緒に勉強できます。

また定石の手順自体に関しても、基本形はどうしてその流れになるのかを丁寧に解説してあるので、その点もグッドポイントです。

・ 定石と布石の考え方が同時に学べる
定石の使い方(選び方)を通して、一緒に布石の考え方を学ぶことができます。
解答欄には見出しに考え方のポイントが載っているので、そこを逃さず読みたいところです。

・ 定石外れに対する打ち方も載っている
相手が定石じゃないことを打ってきても咎められずにいる方には、超オススメポイントです!

・ 使える定石ばっかり載っている
収録されているのは、わかりやすくてなおかつ有段者になってもよく使うものばかりです。

4.教材資料としてのオススメポイント

級位者の方に定石を教えるときに指針となる一冊です。
何を教えるか、どんなふうに教えるかの参考になります。

問題図に至るまでの手順も書かれているので、図を作りやすいのもポイントです。

5.個人的な使い方

我が家にあるこのシリーズは、基本的に級位者の母が買い揃えたもの。
それを私が教材資料用に自室に拝借している感じです(笑)

4の教材資料としてのオススメポイントにも書いているのですが、何を教えるべきか悩んだときによく使っています。

それと自分自身は、幼少時に機械的に定石を覚えさせられたタイプなので、改めて定石の意味を考えるきっかけになりました。
自分が打つ分には、自分の感覚が意味をわかっていればいいのですが、人に教えるときはそれを言語化しないといけないですから。

基本定石をマスターしたい方、もれなく布石の考え方も学べるこちらの本はいかがでしょうか?

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