✴︎ハイビスカス✴︎花言葉の様に。

1人旅で訪れた旅先。

空港から降り立ち。

レンタカーを借りて、何処に行くとも決めず。

走らせた海岸沿い。

温暖な気候の中で鮮やかに咲き誇る

ハイビスカス🌺青い空、どこまでも広がる海。

青しか無い情景の中に、

赤く咲き誇るハイビスカスはとても愉しげで

心を奪われた。

脳裏に焼き付いて、一瞬で好きになった花。

そんな事を思い出したのは。

友人に紹介され、初めて彼に会った時。

温かく、穏やかな空気感。

優しい眼差し。

にこっと笑った笑顔。

色を失った深い青の世界に、

赤いハイビスカスが

咲いた様に思えた。

対極の色を持ち合わせていたからか、

惹かれ合うのは、ごく自然だったように思う

お互いの時間が重なり合う瞬間は、

海の深い青に

差し込む、陽射し。

一筋の太陽に照らされたかの様に、

様々な色が

様々な感情が

私の世界に咲き誇った。

失うのが怖いぐらいに、

穏やかな陽射しに包まれた、

温かい優しい時間だった。

昼間の明るさから、夕暮れになり日が沈むように。

関係性も変わってしまった。

「迷惑だったら言って」

曖昧をハッキリさせた瞬間。

咲いていたはずの花は萎んで

枯れてしまっていた。

それでも、

気づかぬように、

見ないように。

水やりをし、

土を替えて、

栄養剤を与えた。

鉢を替えて、陽当たりを良くして。

萎んで枯れてしまったハイビスカスが

また咲き誇る様に願って。

遠いからこそ、

見えなくなり。いつも時間を空けたらまた

前みたいになるのではないか。と

淡い期待を抱き。

時間を作っては逢いに行った。

また、空港から降り立った時の

ハイビスカスと、どこまでも青い空と海と。

そんな穏やかな

空気感を願った。

会う度に変わりゆく姿を。空気感を。

移り変わる季節の様だと感じた。

もう。萎んでしまい、枯れた花は

咲かないのだと認めたのは。

3年後。

紹介してくれた友人と共に、

逢いに行った時に最後に

見せた顔は。拒絶だった。


温かい陽射しはなく、

見せた光景はまるで

冷たい風と雨のように思えた。

激しく叩きつけるスコールのように。

降り注ぐ拒絶の感情。


見て来なかった、気持ちを。態度を

否が応でも見せつけられた。

もう終わっていたのだと、

もう咲かないのだと。

もう満開に咲いてたハイビスカスは

とっくに枯れていたのだと知った。

最後には。ありがとうの意味を込めて。

精一杯の笑顔で。

ハイビスカスのように明るく振舞った。

また、群青色に戻った世界。

ハイビスカスの花言葉は。

「繊細な美」「新しい恋」

きっと。旅先で見たハイビスカスは。

1日しか見られない美しさだったのだ。

情熱の赤は。

きっと、勢い良く命を燃やす色だったのだ。


彼の中では。

もうとっくに、忘れて。

違う花が咲き誇り。

違う人生を歩んでいたのだ。

1日花に恋した3年間。

時は、変わりゆく。

この瞬間も。

咲いていた頃の美しさは

脳裏に焼き付いて離れないけれど。

花にも寿命があるように、

恋にも寿命があるのだ。

満開に咲いた

大好きだった、ハイビスカスはもうとっくに

枯れてしまい、いないのだ。

日が沈み、また闇が訪れた私の世界。

陰極まれば、陽となる。

また、新しい花を咲かせる事が出来る様に。

花言葉「新しい恋」

いつか、また。色彩が戻る日が来るまで。

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