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芥川賞『ハンチバック』を読みました

賞を取ったものは、なるべく読むようにしているので、芥川賞を取った『ハンチバック』も、立川に出かけたときにジュンク堂で入手しようと立ち寄りましたら、品切れ。

それほど話題なんですね。早速重版がかかっているようで。後日会社の近くのくまざわ書店にて、入手しました。

ハンチバックとは「せむし」という意味。
著者の市川沙央さんは、筋疾患先天性ミオパチーという疾患のせいで、背中が曲がっている。小説の主人公もそうです。

重度障害者が賞を取ったというので余計に話題性があるわけで、障害者の立場に立って、なんというかわりと説教ぽい話のようなイメージだったのですね。

そうしたらもう、全然そういうことじゃない、文学として度肝を抜かれました。健常者にはわからない視点が当然描かれているんですけど、「どうせ健常者にはこういうことがわからない」ということが、ここまで相手の心臓を貫くようにわからせる文章力は、障害とは別のところの文才だと思います。

これを出すのは、周りのことがどうとか考えているとできないし、その覚悟というか、もう何もかもすごい。

「うわー…」
「すごい…」

と何回言いながら読んだか。

もはや私は書く人間の端くれとして、筆を折りそうです。どうあがいでも、こんなすごいインパクトを与えるものは書けないじゃないかと。

ドキュメンタリーよりずっと、障害者の生活への理解が深まる気がします。30代以降になって読んだほうがいいかな。

やっぱりすごい本に出会うと、映画を見るよりかなり頭に刻み込まれます。

原田あやめ

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