白樺 青空 南風



北海道人は北海道を隅々まで旅しない。
修学旅行や出張以外で旅先を「北海道」と考えガイドブックを買って比較検討して旅する人がどれだけいるだろう?自分が暮らしているところから離れれば離れるほど「スペシャル感」が増すのはしょうがないけれど、それってもったいないよね。人ってほんと無い物ねだり。


北海道は広すぎます、500km直線で走っても海に落ちないほど広いのです。時間がたっぷりあれば風光明媚なドライブコースもたくさんあれど、魅力的な土地が彼方此方に点在。網羅しようとすれば長すぎる陸路、このご時世にまったく安くならない空路、北海道回遊はなかなか厳しいものです。
枕が長くなりましたが、昨日チャンスがありSKY TRECという日本初の会員制小型航空機チャーターサービスの機材に乗るチャンスをいただきました。丘珠から飛び立ち知床でターンして戻って3時間半のショートトリップ。プライベートジェットとは違いこの「目」でリアルに大地を感じ取ることが出来る速度と距離感が醍醐味。


眩しいほど白く輝き、雲海と山肌の境目がわからない冬の旭岳、網走沖の流氷と海面との境目に生まれる美しいブルー、人を寄せ付けない自然の隆起そのもの知床半島の突端、どれもこれもハイビジョンや4Kなんか所詮「データだべ」と言い放ちたくなるほどのド迫力。


冬山の尾根なんか女性のボディラインのようにセクシーだし、雲間から覗く山頂は北斎も筆を取ってしまうほどの「あゞ絶景かな絶景かな。」でありAmazing!な風景がギュウギュウ詰めになっている、それが北海道なのです。

山間に人々の暮らしがありその暮らしをつなぐ道路や送電線が、挑戦的に連なる山並みに巡らされている光景も圧巻。吉永小百合さんが若作りして開拓時代を演じている映画を思い出しながら、先人の労苦といまこの瞬間も生活インフラを支えてくれる関係者の皆様への謝意を感じずにはいられませんでした。

こんな贅沢なショートトリップをわたしみたいな平民が「普通」に利用出来るようにはならないだろうけど、狸小路で山のようにお土産買ってもらう事より、こういう北海道の素晴らしさを目指して来る観光客に対応できる仕組みがあるといいなあ。
新緑と紅葉の時期にも飛べたら最高!
日本人は季節で記憶を刻む数少ない民族なんだって。四季を楽しめる土地に生まれて幸せだよね!ってもう寒いの飽きた!はやく来い、北国の春。



アヤコフスキー@札幌。ディレクター・デザイナー。Salon de Ayakovskyやってます。クロエとモワレの下僕。なるようになる。リトルプレス「北海道と京都とその界隈」で連載中 http://switch-off-on.co.jp