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夕陽が好きだ。

小学校3年生の夏。家族と親戚で奄美大島に旅行にいった。初めての飛行機に緊張した。親戚のお姉さんが乗り物酔いが酷く、私の隣で死んだように寝ている。機内食がでるのだと信じていて待ち続けたが、結局飲み物しかでずがっかりした。私はすごく食いしん坊だ。奄美大島で食べた初めてのおひる御飯が美味しくて、10年後高校生になった時思い出して作った。鶏飯だ。暖かいご飯に、レタス、錦糸、鶏肉などをのせて、鳥スープをかける。料理名を忘れたくなくて、京阪電車の京阪と鶏飯をかけて覚えた。

白い砂浜と澄んだ海が幼い私を魅了した。一度海に入るとなかなか出てこない。シュノーケリングを覚え、まるで魚のように泳いだ。海の生き物たちと会話ができているかのような錯覚がおこり、楽しく時間をわすれた。

ガイドのようにお世話してくれたおじさんが、夕方車で夕陽を見に連れて行ってくれた。すこし小高い山の中腹まで行き、海が見渡せる道路の脇に車を停めた。

奄美大島の美しい海。真っ直ぐ伸びた水平線に、少しずつ沈む太陽。オレンジ色の光が海に吸い込まれて行く。あまりの美しさに言葉を見失った。地球てすごいと子供心に感動し、絶対またここに来よう。大人になり自分のお金で来る。と誓った。

それから数十年が過ぎたいま。私はあの美しい夕陽に再会できていない。でも夕陽を見るたび思い出す。あの時の心染みていく幸福な時間を。コロナが私達の生活を一変させた。いつか行こう、いつか会えると思っていたのに、いつ?行けるか分からない。たくさんの思い出は人に勇気を与える。今日、窓から見える夕陽をみて、夢見よう!また奄美大島の夕陽が見れる日まで、頑張ろうと。

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