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自分の中の違和感を見過ごさないということ

私には、大好きなマンガがたくさんある。
その中でも、ずっと探していたものに出会えたなぁ…!と思えたのが、田村由美『ミステリと言う勿かれ』。

主人公は、整(ととのう)という名前の男子大学生だ。
きっと、整くんは私という他者を必要としないだろうが、私はもし彼に出会えたなら、三顧の礼を尽くして交友を結びたいと思うほど、彼のことが好きだ。

それは、整くんが素晴らしいカーリーヘアの(もう、くるんくるん!)人物だから。

カーリーヘア大好き。落書きすると、大概出てくる。
だけど生来カーリーヘアの日本人に素敵ですね、と愛を伝えても、「天パで昔から苦労したの…」と、中々受け取ってもらえないの。切ない。

私が整くんのことを大好きなのは、彼がもうくるんくるんのカーリーヘアだから、ってカーリーヘア大好きな私にしては全体の1割程度の理由でしかなく、残り9割は、彼が【違和感に気づいて行動する】人だからなのだ。

これは、自分の中の違和感を見過ごさない、という話。

…僕は常々思うんですが。

と始まる彼の持論は、長いものに巻かれろの考え方の人には、『黙っときゃいいのに』と言われることかもしれない。
でも私には、よくぞ言ってくれた、と喝采を叫びたいことばかり。

ひとつ例を挙げるなら、ひとの弱さについて
アメリカの刑事ドラマをよく観るという彼は、あちらでは刑事がハードな体験をしたら、必ずカウンセリングを受けさせる。カウンセラーのOKが出ないと、仕事に復帰出来ないんだと言う。

それは、人の弱さを認めているからではないか?
と、整くんは言う。

翻って、日本ではどうだろう。相変わらずの根性論で、弱さを認めない。
弱くて当たり前だと、誰もが。思えたらいい。

日本は…そうかもしれない。
個々を見ていくと、ひとは弱くて当たり前なのに、そこを無いものにしているような、先にあるべき型、のようなものが用意されてる気がする。

あるべき型、で思い出したこと。
昔、某歌舞伎役者が暴力沙汰に巻き込まれて、怪我を負って帰宅した際、『なぜ内々に処理しない』と、妻が警察に通報したことを責める声が上がったよね…

そう責めた人たちは、彼のどこを見ていたのだろう。そして、彼の妻のことを、何だと思っていたのだろう。

個、から物事が考えられていないんだね。


「自己責任」という言葉があるが

ちょうど、荻上チキさんがファシリテーターを務めたトークセッションを聴いた。
彼のことを、ヨシタケシンスケさんとの共著、『みらいめがね それでは息がつまるので』という本を読んで「独自の視点を持った方だなぁ」と感じていたので。

日本社会にはびこる「自己責任」という概念について、哲学者と社会学者と三つ巴で議論が交わされる様が、とても興味深かった。
…まだ情報処理が追いついてなくて!
配信終了後に送られてくるという、グラレコを首を長くして待っている。

ここは、自分の中でしっかり整理をして、後で加筆する。


ここで、自分の違和感をもっと俯瞰できる書籍を

noteを始めて、「伝えたいことはシンプルに、あれこれ引用して情報過多にならないように」と心がけているんだけど…
今日はドバドバ引用する。

最初、もうすぐ息子も10代に突入するし、どこか客観的に読み始めたが、
そんな言い方じゃ聞き入れてもらえないよ
このフレーズで自分自身が閉じ込められた記憶がよみがえった。

とにかくこれを主張したいのに、と発した言葉にそのフレーズを返された途端、対等な関係性でのコミュニケーションが、「聞いてやる側」「聞いてもらう側」と、上下の関係にすり替えられる。

非ネイティブに対して「日本語お上手ですね」と言うのも一緒。褒めているつもりだろうけど、相手が言いたいことそのものに耳を傾けてない

むき出しの個と個としてのやり取りを徹底的に避けて、間に線を引き、相手を遠ざける。
それは相手を認めず、時には立場の弱い方に追いやり、切り捨てる言葉にもなる。

個として発した言葉が聞き入れてもらえず、個としての弱さも認められない。

「そんなものだ」とラベルを付けることで前に進めることもあるが、その言葉はやがて、ただのラベルから自分の全てを覆い尽くしてしまうような、そんな危惧がある。

自分は「そんなもの」じゃない。
本当は誰だって、プライドがあるくせに。
いや、その言い方は違うな。
誰だって、プライドがあっていいんだ。
プライドがあってしかるべきなんだ。
その上で、どうやって他者と、社会とつながる?という話で。

私だって、相手の言葉そのものではなく、『ニホンゴオジョウスデスネ』的なズレた返しをしてしまうことがある。
しちゃってる、と気づいたからには、どう軌道を修正するかが今後の課題。

違和感を無いことにしない、という整くんに倣って、自分の内側に耳を傾ける寒い夜。

ありがとうございます!自分も楽しく、見る人も楽しませる、よい絵を描く糧にさせていただきます!