会社役員・人事担当者が知っておきたい!女性のヘルスケア問題〜超入門編〜
はじめに
はじめまして。産婦人科専門医・産業医の三輪綾子です。臨床を10年間大学病院や分娩施設で働き、現在臨床をしながら子宮頸がんに関する啓発や女性のヘルスケア問題について各所で講演会を行わせていただいております。
兼ねてより、女性のヘルスケア問題について啓発を行うにあたって律速段階になるのが、男性職員の理解不足でした。というのは、女性自身はある程度当事者意識をもっていますし、ヘルスケア問題を話したときの理解が良い。
一方で男性職員はというと、女性と同じ内容で講演会を行った時に全くついてこれなかった、というのが現状です。月経困難症?はて。月経前症候群?はてはて。といった印象でした。わからなくもありません。全く知識のないところから話を聞くのはとっても面倒だし労力のいるものです。
まず最初に女性ヘルスケアの問題に会社が取り組んでいくことが何故大切なのかお話します。
1つ目はダイバーシティー&インクルージョンの問題です。多くの方が既にご存知のことと思いますが、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括)=「多様性を受け入れ、それぞれが能力を最大限発揮できるように特徴を活かしていこう」というものです。これは会社が様々な局面に置かれたときに、あらゆる立場からの意見が得られるため、会社の弱みや注意すべき点が明らかになる可能性が高く「守りそして攻めのつよい組織になれる」というメリットがあります。
2つ目に労働力の問題があります。日本は超高齢化社会であり労働力の人口はすでに減少してきています。15〜64歳までの人口は2015年には7,728万人から2065年には4,529万人へと約4割も減少するそうです。現在すでに雇用総数の約44%が女性労働者ですが、今後更に進んでいくに違いありません。そういったときのために、女性がいかに快適に働けるか、そういうことまで気遣いのできている会社こそ雇用にも困らずに生き残ると思っています。
そして最後にジェンダーギャップ指数というのをご存知でしょうか。
(https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html)日本は153カ国中121位という超不名誉な結果です。
これには政治の女性進出が不足しているということがおおいに関係していると思っています。政治に女性が進出していないから、女性に対する制度ができない。誰も理解してない、当事者問題意識がないためどんどん先送りになる。そうやってここまで落ちてきてしまったのだと思っています。
正直、私は今まで女性だろうが男性だろうが、最高に能力のある仕事ができる人間が権力のある役職に付けば良いと思っていました。
しかし今はそうではないと思っています。そういう実力主義の未来になるためには、最初は形だけでも女性がいることが大切。言い方は間違っているかもしれませんが、最初はその女性がどんなにへっぽこであれ男性だけでは見えてこないような視点を与えてくれるはずです。そしてその場に女性がいることで周囲の認識が変わります。それを見ている女性が「私も目指せるかもしれない」そういう意識になることが大切なんだと思っています。このジェンダー差別が多い日本を足元から変えていくためには、アンコンシャス・バイアスを外すためには「女性役員を登用すること」は必要な第一歩だと思っています。登用しやすい環境を作るためにも女性ヘルスケア問題に少しづつでも取り組んで行くことは必要だと思っています(ちょっと無理矢理でしょうか・・)
とにかく。今回目的にしたのは、ちゃんと社員のことを理解してあげないといけない立場の人、会社全体のヘルスケア問題を解決していかないといけないような人事部の人、そして会社の明るい未来を描いている人!!!
そういう方々にできるだけ簡単にわかりやすく、ポイント抽出型で女性のヘルスケア問題について解説していこうと思います!
【内容】
①月経
②妊娠・産褥
③不妊
④更年期
⑤女性特有の良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症)
⑥女性特有の悪性疾患(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、乳がん)
などを予定しています。お楽しみに。
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