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ヒトの作り出すアート

日本の友人が唐紙の動画を送ってくれた。木版模様と和紙のテクスチャーが懐かしく、何より色目が美しく心に沁みた。

自然の色鮮やかで光眩しい南国に暮らしていると、ヒトの作ったアートが無性に恋しくなることがある。儚さ、奥床さ、微細さ、さりげなさ、隙間の取り方、そういった " 計らい " が、実は心に大切な潤いをくれるものだと思う。そこには一生懸命さ、磨かれたセンス、努力などの想い、いわば直接的ではない "愛" があって、そのちょっとした遠慮にホッとするからかもしれない。そして、そこには作り手と受け手の交流があり、時空を超えた温もりがある。

作品を作っていた時の作者の集中力と究極まで研ぎ澄ました先に生まれる自由さ。その感覚は見る側に伝わる。作品を作り出すことそのものが歓びで、周りからの評価は大した問題ではない、という見返りを求めない無償の愛。自由は歓びで、歓びは愛。その愛にはヒトであるがゆえのためらいのような繊細さがあって、それが心を麗してくれる。


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