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ベストセラーではなくロングセラー

*本記事は、以前、自身のブログに掲載したものを編集し直して、noteに投稿しています。

出版社を舞台にしたあるテレビドラマで、こんな場面があった。社長が主人公が編集した本について「ベストセラーにはなりませんが、ロングセラーになるでしょう」と言う。その本は多くの人に読まれるものではないが、長く時代を超えて愛されるだろうという意味で、主人公がこだわり抜いて仕上げた本が、ついに出版されるというラストシーンだ。

最近オンラインで目にする記事のタイトルや文体は似たようなものばかりになっている感が否めない。すぐに“バズ”らせること、多くの人に“いいね”をもらうことが目的だからなのかな、と思う。

偉そうに評論しているが、我が振り直せだ。このブログを読み返しても、投稿によって文体が全く異なる。どこか女性向けの旅行雑誌の文体を真似したようなものもあるし、突然ガイドブック調な観光客向けのような文章もある。

SEOやSNSのことなどを気にせず、ただ自分の思うことだけを書いていきたい。だったら自分の日記で書くだけで十分なのであるが、このように、自分の体験や思ったことをブログという形である程度まとまりのある文章にして表現し、対外的に表現することのメリットはいくつかある。

まず思考が整理される。なんとなく普段ぼんやり思っていることを言葉にすることで、論理的に説明できる。そして、うまく表現できないことや何を言いたいかわからない事象については、自分でもまだ結論が出ていないのだなと自分自身を理解し、省みることにつながる。とはいえ、これだけだと自分だけしか読まない日記でもできそうな気もする。

ブログでは加えて、言葉の使い方をさらに意識して練習できる。読んでいて美しいなと思う言葉や表現に敏感になり、それを覚えようと思ったり書き留めようとする。反対に、あまり美しくないな、と思うような雑多なコピーや他人のSNSの投稿からは離れていく。普段触れる言葉に敏感になることで、自分の中に取り込まれていく考え方そのものも、美しいものが増えていくようになる気がする。その結果、自分の過ごす有意義な時間が多くなっていくように思う。

もちろん、このブログではロングセラーを狙っていこうとかそういう意気込みがあるわけではない。ただ、自分のその日起きた良いことや、普段の生活でなんとなくいいなと思っていること、ぼんやりと素敵だなぁと思ったことを文章にすることで、その時の私にとっての最高な瞬間や出来事を記録することができる。そして、こうした小さな経験を表現することで覚えておき、これが将来の自分へ自身の気づきにも繋がるのではないかと思う。
#Communication

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