見出し画像

「なんか天使みたいだな」

痛みがどんどん強くなって
冷や汗かいて、吐き気がして、
耐えられない痛みにのたうちまわる。

そんな急激に状態が悪くなる時がある
 
もしかしたら
大きくはれ上がった腫瘍が破裂したのかもしれない。
 
そんなときってね
本当に、じぶんはなんでこんなに役立たないいんだ
この痛みをどうしたら少しでも楽にしてあげられるんだ
と思ってしまうね。
 
この痛み止めを使って、
気持ちを楽にする薬も使って、
背中をさすって、
身体の向きを整えて、温めたりして。
 
でも、冷や汗も痛みも止まらない、
辛いよね、苦しいよね。
 
悩んだすえに
鎮静剤を本人へすすめる
 
「もう楽になるなら、なんでもお願いしたい」

ほんとだよね。
でももう身体が限界だ。
苦しさが取れるのと引き換えに、
もしかしたらレベルも下がってしまうかもしれない。
 
家族へも相談して
家族も痛くないように辛くないようにお願いしますと。

 
鎮静剤を使って少し経って
うとうとしてるとき
その方が「楽になったよ、ありがとう、なんか天使みたいだな」
そんなことを言った。
 
もとからよく冗談をいう方だったけど
こんな状態でも、
わたしのことまで
気にかけてくれて笑わせようとしてくれるとは。

  
そのあと、レベルが落ちて
ご家族に見守られて旅立った。

ご家族の言葉に
必死に反応しようとしてるのがわかった。
最後のときには
「うん、ありがとう」と最後の呼吸をしたと家族が教えてくれた。


どんなに痛かっただろう。
でも、ただの一度もこちらに対して八つ当たりしたりしなかった。

治る希望を持っていた、
でもどこかで死に対して考えていたに違いない。

長い付き合いではなかったけど、
このかたはそうゆう方だった。

本人が生きる希望を持っていること
生きてほしいと願う家族の希望となるからだ。
 

家族の治ってほしいという思いを
十分に受け取ってその時間を過ごしていたのだろう。
  
そんないろんなことを受け取って
気持ちがいっぱいになったわたし。

ご家族と一緒にエンゼルケアするとき
涙がにじむ。

「いっぱい奇跡を起こしたよね
 最後待っててくれてありがとうね」とご家族が声をかける。
 

違う看護師さんが対応したら
もう少しいのちが長らえたのだろうかとか
思ってしまったりもするけど
それも、わたしが出会う必然。
 

本当にこれでよかったのかモヤモヤするわたしに、
朝、先輩から「あなたが看取ってくれてよかったよ」
そうに言ってもらえてまた涙がにじむ。
 

わたしも、
そうに声がかけられる人であろう。

 

____________

人間まるごと捉えるホリスティックヘルス塾


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?