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「BOUM!BOUM!BOUM!」でアイドルの自由について考えさせられた話

2019年6月6日、香取慎吾氏の日本初個展に行ってきました。Twitterに載せたイラストレポート(2枚)はこちらです。

会場で待っていてくれたのは膨大な数の作品

香取慎吾氏が絵を描くのが好きだということは、ファンの間では周知の事実です。その作品は、ジャニーズ事務所時代からたまに目にすることができました。しかし、グループ活動にくわえ個人でもさまざまな番組やドラマに出演しているわけですから、彼はどう考えても多忙です。そのため私は「仕事の合間に趣味として少しずつ描いてるんだろうな」という認識を長年持っていました。

しかし、実際に目にした作品は、趣味のひと言では片づけられないようなボリュームとクオリティでした。慎吾ちゃんの作品から感じられたのは、ほとばしる情熱と、何よりも描かずにはいられない衝動。幾重にも重ねられたぶあつい絵の具の層を見て、同じ次元に存在していることを感じ入りつつ、その熱に圧倒されました。

何にも縛られない、自由を体現している作品群

彼が段ボールに絵を描いていたことは知っています。そして、この個展では実際にそれを目にすることができました。絵画のキャプションなどから察するに、昔の彼はキャンバスというものを知らず、身近にあって大きくて絵を描けるものとして段ボールを活用していたようです。

そして、絵の具を使うときに色を選ばないというのは一番の驚きでした。TBS系列で放送された「人生最高レストラン」で観た、絵の具を見ずに手に取って「あっ、この色かぁ~、じゃあこうしちゃう?」という様子が、ほんとに楽しそうで。偶然を楽しめる余裕、自分の意思でない選択すら積極的に取り入れていく創造力は、強烈な個性としかいいようがないように思います。

色にも、画材にもとらわれない自由さ。フリーダムな発想で創られた彼のアートは、現実や空想といった垣根すら取り払った、ほかに類を見ない自由さに満ちています。

さらには自分の心臓の鼓動、腕、歯形、レントゲン写真などなど、”超プライベート”な部分をモチーフにしているのも驚きでした。

何よりも「自分自身をどう見せるか」「自分のどの部分を見せていくか」が重要なアイドル業界で、長年トップを走り続けてきた彼だからこそ思いついた「表現」なのかな、と感じています。

自由を求めたアイドルについて考える

個展を見終わったあと、私はこれまでほとんど気にかけたことのなかった人のことを考えていました。嵐の大野智くんです。

嵐が活動休止するときの会見で、大野くんは「自由な生活がしたい」と言っていました。グループの活動休止自体、彼が発端となったことはそのへんの事情にうとい私でも知っています。

大野くんのいう「自由」とは、誰にも説明できないものだと思います。しかし、アイドルが自由の少ない生活を送っていることは想像に難くありません。

毎日分刻みのスケジュールをこなし、まともに休みもなく、趣味に打ち込む「自由」な時間がない。あるいは、行く先々でカメラを向けられ、プライベートであっても行動を詮索され「自由」に行動できない。どれも、相当な不自由を強いるものだと思います。

アイドルに限らず芸能人は多かれ少なかれ、一般人とは種類の異なる不自由さを感じているのでしょう。大野くんの思いは、私などには永遠にわかり得ないものですが、この短い言葉の裏にどれだけの辛苦や葛藤があったのかと想像するだけで胸が痛みます。

願わくば、自由であってほしい

香取慎吾の個展で見せつけられたのは圧倒的な「自由」であり、それに私は驚愕しました。10歳からアイドルとして生きてきた彼は、私の及びもつかない次元での自由さを獲得して、それを満喫していた。長いこと彼のファンをやってきている私は、それがうれしくてたまりません。彼には自由があった。キャンバスのなかに。

しかし、自らの中に無限の宇宙を持ち、そこを悠々と飛び回るような「自由」は、誰しもが手に入れられるものではないはずです。

だからこそ、大野くんを思うと、「どうか彼が求める自由を手に入れて満喫できますように」と願わずにはいられません。

私はこれまで、SMAPというアイドルに幾度となく奮い立たせてもらってきました。だからこそ、アイドル自身がアイドルとして生きることに不自由を感じて苦しくなるようなことは望みません。

自由とは、どこにでもあるものかもしれない。でも、どこにもないものかもしれない。基本的人権が絶対的なものとして存在する世の中で、自由は個人によって色を変え形を変えるものになってきています。

人に夢を与え、ときには励まし勇気づけるアイドルを含めて、誰もがその人なりの自由を謳歌できる世界になればいいと願うばかりです。

BOUM!BOUM!BOUM!公演概要

開催日時:
2019年3月15日(金)〜6月16日(日)
※休館日:3/19、4/2、4/16、5/7、5/21、6/4

開演時間:
10:00、11:15、12:30、13:45、15:00、16:15、17:30、18:45、20:00

開催場所:
IHIステージアラウンド東京 東京都江東区豊洲6-4-25

チケット料金:
一般:3,500円/高校生・中学生:3,000円/子供(小学生以下):2,500円(全席指定/税込)

公演概要は公式サイト(https://boum3.com/)より抜粋しました。

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