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妄想デート

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2020年5月の記事一覧

#Hotel 10 妄想デート それがたとえ欲望のためのシステムだったとしても。

街にクリスマスソングが溢れ、冷え込んだ空気とは裏腹に街は少しだけ浮き足だっている。 彼女を待つカフェに流れる音楽もクリスマス一色だ。 どんなアレンジを加えたとしても、クリスマスソングはクリスマスソング。 いい加減辟易し始めたころ、ようやく仕事終わりの彼女が現れた。 盛り上がる街を一気に抜け、円山町の外れのラブホテルに入る。 食事もアルコールもない体だけの関係。それが昔から彼女との距離感だ。

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#Hotel 09 妄想デート 世の中はみんなSMでできている。

平日の昼下がり、大久保のドンキホーテの前は韓流の店を冷やかす若者でそこそこ賑わっていた。 店の前では大きな水槽の中で凶悪な顔をしたウツボが気持ちよさそうにまどろんでいる。 海のギャングと呼ばれているのはウツボだったかシャチだったか。。。 水槽を眺めながらそんなことをぼんやり考えているとやってきた彼女に肩をたたかれた。 振り向くと久しぶりに会う彼女の顔があった。 気取らない笑顔とざっくばらんな話し方からは想像しがたいが、彼女の職業は「女王様」である。 ドンキから歩いてすぐの

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#Hotel 08 妄想デート 特別編 灯月いつか×フクサコアヤコ

モデルとして撮影会や舞台などで活躍する灯月いつかと私フクサコアヤコの出会いは4年前。 その頃、私は「アンダーグラウンドイベント東京」という本を出版した。 その名の通り、東京で夜ごと行われるフェティッシュからサブカルまで様々なアングラのイベントを紹介したフォトガイドだ。 その本で紹介していた「フェチフェス」というイベントに本の物販ブースを出展していた時、この本を持ってわざわざブースを訪ねてくれた子がいた。 「私この本に出会って、この世界に入りたいと思えたんです!」と目を輝かせ

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#Hotel 07 妄想デート ロリータと緊縛。

彼女とはあるハプニングバーで知り合った。 大人たちがハプニングを期待して集まるその場所に場違いな子がいるなと気になったのが始まりだった。 ロリータファッションに身を包んだあどけなさの残る彼女に声をかけた。 話を聞くと、彼女は緊縛に興味があり、友達と一緒に緊縛の練習をしにきたのだと言う。 私にも過去に少し緊縛の心得があったことから話が弾み、その日は何のハプニングも起きずに終わった。 そして本来禁止されていることではあるが彼女に連絡先を渡してみた。 まさか返事が来るとは思わずに

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