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妄想デート

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2020年4月の記事一覧

#Hotel 05 妄想デート 結局女という生き物は生まれた瞬間から死ぬまで女なのだ。

彼女から久しぶりに会いたいと連絡をもらった時、正直少し驚いた。 知り合ってから何年か経つが、その間に彼女は誰かの恋人になり、妻になり、母になった。 子供もまだ小さかったはずだ。そんな時間がとれるのか聞くと、 「仕事は午後休とるので、保育園のお迎えまでの時間で」 と返してきた。こちらとしては断る理由はなかった。 午前中で仕事を抜け出してきた彼女と13時に新宿で待ち合わせをした。 向かったのは歌舞伎町の東のはずれ、比較的安いホテルが軒を連ねる一角だ。 昔彼女とよく利用したホテル

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#Hotel 06 妄想デート 彼に愛されていると感じれば感じるほど、どうしていいかわからなくなると彼女は言う。

待ち合わせに少し遅れてやってきた彼女に、第一声、 「ひさしぶり、幸せそうだね」と声をかけた。 それくらい、彼女は誰が見てもわかるくらい、幸せな空気を纏っていた。 最近彼氏と同棲を始めたことはSNSを通じて知っていた。 だからこそ彼女がこの誘いに応えたのが意外だったし、なぜなのか興味を持った。 近況を報告し合いながら(主に彼女の近況だが)円山町の一角のホテルに入る。 彼氏と上手くいっていて、最近変わった仕事も順調、何より「愛されている」と感じる日々だという。 部屋に入ると早

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#Hotel 04 妄想デート 相手の性癖だと思って足を踏み入れた場所は、実は自分自身の闇へとつながっている。

その日選んだホテルはSMプレイ用の部屋がある新宿のホテルだった。 拘束用の鎖があらかじめ備え付けられているその部屋に入るなり、彼女はいそいそと持参した拘束具を取り出し、ベッドに並べ始めた。 そして一通り並べ終えると振り返り、期待に満ちた目で私を見る。 彼女は自らの要望を口にしない。なぜなら彼女は「犬」として扱われたいのだから。 性癖はシナプスが形成される幼少のころに形成されると何かで読んだことがある。 彼女の幼少期に何があったのかはわからない。おそらく本人さえも自覚してはい

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