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『傾国の仕立て屋』カラコ製作記#1

地獄の終わりと始まり。

時は、2021年の12月24日までさかのぼる。
サンタクロースのような慈悲の心をもって、〆切をギリギリまで伸ばしてくださった印刷所様のおかげで、私は何とか、冬コミ合わせの同人誌を脱稿することができた。
書き上げた新刊は『『傾国の仕立て屋』のコスプレがしたくて、ローブ・ア・ラ・フランセーズ』を作ってみた話』。
これを書いている現在、同人誌はめでたく完売している。ホント買って下さった皆様に感謝です。いつもありがとうございます。

先ほどから出ている『傾国の仕立て屋』は何ぞや?というと、月刊コミックバンチで連載中の、磯見仁月著『傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン』のことである。
コミックス1-6巻発売中で、webでは第一話と最新よりちょっと手前の話が読めるので、みんな読んで、是非ハマって欲しい。

※尚、以降の記事には『傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン』のネタバレが出てきます。気になる方は、コミックス全巻を読んでハマってから読んでください。
同人誌では、このページのバナーにも使われている、第一話の口絵で、主人公ベルタンが着ているドレスを、素人が悪戦苦闘しながら作るさまを書いた。
衣装を作りながら、それについての同人誌の原稿を書く。
割と長いレイヤー人生(そろそろ20年)とまだ数年の同人サークル主人生の中で、一番大変だった。〆切前3日間はまともに寝た記憶がないし、着用写真の撮影までこぎつけたのは、〆切3時間過ぎだというテイタラクだ。
(7時間待ってもらえたことになる。感謝しかない)

それでも何とか書き上げ、衣装も用意できた。あとは冬コミに行くだけ……とはならなかった。
まだ、やりたいことが残っていた。

「オ・グラン・モゴルへようこそ」がやりたかった。

この漫画の主人公、ベルタンは作中で(というより、歴史を元にしたフィクション漫画なので、実在の人物で実際にやっているのだが)自分の店「オ・グラン・モゴル」を開く。
そのシーンで、ベルタンは、カラコと思われる店の制服に身を包み、「仕立て屋オ・グラン・モゴルへようこそ」と登場するのだ。

私のサークル名は「AYA工房」だし、新刊で作例にしたドレスを着てスペースに立つのも、それはそれで全然アリだし、スケジュール的にはそれがベストだと思う。

でも、やりたかった。『傾国の仕立て屋』の同人誌を作って、コミケに出るなら、オ・グラン・モゴルの制服を着たベルタンのコスプレで、スペースに立ってみたかった。

もう冬コミまで1週間を切っている。でも、このチャンスを逃したら、次回があるかどうかはわからない。新刊が売れなかったら、多分心折れちゃうし。

結局諦めきれなくて、私は、残り少ない時間で、ベルタンの制服衣装を作ることにしたのだった。





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