夏はギャル
コンビニで働いてると色んな人が来る。これはコンビニで起こったなんでもない話のきれはし。
19時。
きた。
いつもこの時間帯にソルティライチを買っていくおねーさん。なんかいつも憂鬱そうなんだよな。
夏だもんね。熱中症こわいよね。
「袋、けっこうです。」
環境問題に取り組むギャルサイコーだな。と思いながらPayPayをスキャンする。
今日はPayPayくじ当たったのに全然嬉しそうじゃなかった。
大当たり!
PayPayのテンションの高さってなんかサムくて温度差に震えた。
それから彼女は毎日なんにもない表情でソルティライチを求めにコンビニへ来ていた。
たまに新作のグミとか一緒に買ってたっけな。
ギャルはいつ何時でも着色直径14.5のフチありカラコンにゴージャスなマツエク、アイラインぐりぐりのばっちりメイクだった。
ブルベ夏、かな。
パープルとブルーのぎらぎらなグリッターは彼女によく似合っていた。
ある日、ぱたりとおねーさんはコンビニへ来なくなった。
なにげに推しだったので微妙に落ち込んだもののわたしは淡々と勤務しシフトを消化していった。
「すみません。」
顔を上げるとどこか見覚えのある色白の肌の女子。
ギャルだ。
しかし今日は珍しくすっぴんだったので気付くまで間があった。
「肉まんください。そのままでいいです。」
ノーメイクだと意外なほどに童顔な真ん丸な目をほころばせて彼女は微笑んだ。
もうソルティライチはいらない。ギャルが夏の終わりを告げた。
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